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マドレーヌは母の味

私が初めて一軒家に住んだのは5歳くらいの時だった。

記憶はおぼろげだけどそれまで団地に住んでいた私は家の中に階段があることが嬉しかったのを覚えている。

そして母が喜んだのは台所にビルトインのガスオーブンがあることだった。

母はそれまで作ったことのないオーブンでのお菓子作りに挑戦し始めた。

一番多く作ったのはマドレーヌ。
私も横でお手伝いをするのが楽しかった。

今日はそんな話しです…


卵の白身を泡立てる。
我が家のボウルは琺瑯ほうろう製で縁だけが赤い。
いつもそれを押さえるのが私の役目だった。

母は泡立て器を手にシャカシャカと軽快なリズムを刻む。
ドロンとした卵の白身がピンとツノの立つ真っ白のメレンゲに生まれ変わるのを見て

お母さんって魔法使いみたい。

いつもそう思っていた。
(ここまで書いていて小学生の時「お母さんは魔法使い」と詩に書いた記憶が蘇る…)

シャカシャカと泡立て器の音に続き、マドレーヌの材料を金型に流し入れると次はトントンという音が台所に響く。

これは材料の中に入った空気を抜くため。
これなら小さな私も出来る。

母と並んで
トントン…
トントン…

生地の入った金型を少し持ち上げるとテーブルに何度も落とす。
しばらくすると生地の上に小さな気泡がぽつぽつと浮き上がって来る。

それを私が竹串でツンツンつついてゴムベラで表面を慣らす。

大きなガスオーブンは大きな口をガバッと開ける。
いくつもの白い生地が並ぶ黒い鉄板をオーブンはバクッと一気に食べる…

温度調整のスイッチは大きなダイヤル式。
それを母は微妙に左右に回して調整すると黒くて冷たかった口はやがて赤く熱くなって行った。

火が入るとガラス面は熱くなるから触らないこと。
母は毎回私に伝えた。

しばらくすると台所いっぱいに卵とバターの甘くて優しい香りが漂い始める。

白いペッタンこだった生地は、こんがりふんわり狐色のマドレーヌになってガスオーブンの大きな口から出て来た。
今度はマドレーヌが冷めるまでしばしお預け。
その間に母が湯を沸かす。

母がマドレーヌを手に持てるまで冷めたらゴーサインの証拠。
さぁお湯も沸いたよ。
紅茶を入れてマドレーヌを食べよう。



実は先日、
これでも母さんときよこさんの企画応募の記事を拝見して、母とのお菓子作りの思い出がよみがえりました。

↑↑↑
これでも母さんは私たちの母さんの前に娘さんのお母さんだった(当たり前ヽ(*´∀`))

↑↑↑
きよこさんのお母さんは毎日お菓子を作っていたそうです。
その行動の源はきよこさんへの愛としか考えられないですよね。


結局制作が間に合わなくて応募出来なかったのですが、こちらでシェアさせて貰いました。


やっぱり私にも
母と幸せな時間があったこと。 
noteのおかげで思い出すことが出来ました。



もうガスオーブンのある家からは引っ越ししてしまい、今の実家にはガスオーブンはありません。

母と一緒に作ることは難しいけれど、幸い元気にしているので一緒に食べることができます。

今度会う時は、マドレーヌをお土産にこの話しを一緒にするのも楽しそうね。
そんなことを思いました。

ちなみに、私のマドレーヌの記憶はヘッダー写真のような丸い形です。

今回「マドレーヌ」
で画像検索したところ貝のような形のマドレーヌばかり出てきました
(なんで?(・・?))

昭和のマドレーヌと今のマドレーヌ。
お菓子の形にも時代で変化があるようですね。

追伸
これでも母さんの痛めた肩…
どうか早く良くなりますように…


読んでくれてありがとう。
出会えたご縁に感謝します。

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文子|ふみこ 最後まで読んで下さりありがとうございます🍀