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装具や車椅子は「あきらめ」じゃない。PTが本当に伝えたいこと

「そろそろ、車椅子を考えてみませんか」 「この装具をつけてみましょうか」

リハの場面で、PTや先生からこんな言葉をかけられたとき。

うなずきながらも、心の奥がすっと冷たくなった経験はありませんか。

「車椅子ってことは、もう歩けないってこと…?」 「装具に頼るって、この子の可能性をあきらめるってこと…?」

その夜、なかなか眠れなかった保護者のかたを、私は何人も見てきました。

今日は、そんな「補助具」にまつわる気持ちについて、PTとして正直にお話ししたいと思います。


なぜ「あきらめ」のように感じてしまうのか

補助具をすすめられると落ち込んでしまうのは、とても自然なことです。

私たちは、どこかで「自分の足で歩けること」を、成長のゴールのように思いがちです。だから、装具や車椅子の話が出ると、「歩く」という目標が遠ざかったように感じてしまう。

その気持ちは、決しておかしくありません。お子さんが自分の足で歩く姿を願うのは、親としてあたりまえのことだからです。

でも、、、その「補助具=あきらめ」という受け止め方は、実はPTが考えていることとは、少し違うんです。


PTから見た、補助具の本当の役割

正直に言います。

私たちが装具や車椅子をすすめるのは、「歩くことをあきらめたから」ではありません。「その子のできること、経験できることを、もっと増やしたいから」です。

少し具体的にお話しします。

車椅子やバギーは、「移動の自由」をくれる道具です。 自分で動くのに大きな力がいるお子さんにとって、移動はそれだけで体力を使い果たす作業になることがあります。車椅子があれば、その力を「お友だちと遊ぶ」「景色を見る」「やりたいことをする」ために使えるようになる。世界が、ぐっと広がるんです。

装具は、体を「楽な状態」に整える道具です。 足や体の向きが安定すると、立つことや座ることにかかる負担が減ります。すると、その分の余力で手を使えたり、視線が定まったり、呼吸や食事が楽になったりすることもあります。土台が安定するからこそ、できることが増える。そういう道具なんです。

つまり補助具は、「歩く」をあきらめるためのものではなく、「歩く・歩かない」とは別の軸で、その子の生活を豊かにするためのものなんです。


正直に言うと、ここは「変わる」

前に「リハで変わる部分・変わらない部分」のお話をしました。

補助具についても、正直にお伝えします。

装具をつけることで、歩き方が安定したり、立てる時間が伸びたりするお子さんもいます。一方で、歩くこと自体は難しくても、車椅子という「足」を手に入れて、行きたいところへ自由に行けるようになるお子さんもいます。

そのどちらも、後退ではありません。前進です。

歩けるようになることだけが「変わった」ではない。その子が、より自由に、より楽に、より自分らしく過ごせるようになること。それも立派な、大きな変化なんです。


最後に

もし、補助具をすすめられて落ち込んでいるなら。

それは、あなたがお子さんの可能性を本気で信じている証拠です。その気持ちは、どうか大切にしてください。

そのうえで、ほんの少しだけ、見方を変えてみてほしいのです。

その装具や車椅子は、お子さんの可能性を閉じる道具ではなく、お子さんの世界の扉を、もう一枚開く道具かもしれない。

不安なときは、「この道具で、この子はどんなことができるようになりますか?」と、担当のPTにぜひ聞いてみてください。きっと、あなたが思っている以上の「できること」を、一緒に思い描いてくれるはずです。

あきらめではなく、その子の世界を広げる選択。 そう思える日が、少しずつでも訪れますように。


このnoteでは、発達がゆっくりなお子さんや、重い障害のあるお子さんを育てる保護者のかたに向けて、理学療法士(PT)の視点から、日々のケアのヒントや気持ちに寄り添う記事をお届けしています。

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