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AIが書く商品説明文が薄いのは、プロンプトのせいではありませんでした

商品説明文をAIに書かせる話です。ただ、私が一番時間をかけたのは、プロンプト(AIへの指示文)ではありませんでした。

プロンプト集を探してここにたどり着いた方には、期待と違う中身だと思います。合わなければ、ここで閉じてもらって構いません。

私は楽天でSOY(ショップ・オブ・ザ・イヤー)を受賞した店舗のEC部門にいて、AIに渡す商品データ側を担当していました。

先に言っておくと、うまくいった話ではありません。しんどかった話が中心です。同じようにECをやっていて、AIは気になるけれど何から触ればいいのか分からない、という方に向けて書いています。


1. AIが書いた商品説明文が薄いのは、プロンプトのせいではないかもしれません

結論から書きます。うちの場合、詰まっていたのはプロンプトではなく、AIに渡す情報のほうでした。

「AI 商品説明文」で検索すると、プロンプトのテンプレートを何本も配っている記事をよく見かけます。あれが悪いという話ではありません。よくできていますし、私も参考にしました。

ただ、うちが立ち上げのときにぶつかった壁は、そこではありませんでした。

AIの世界には GIGO(ガベージ・イン、ガベージ・アウト) という古い言葉があります。「ゴミを入れれば、ゴミが出てくる」という意味です。入力するデータの品質が悪ければ、処理する仕組みがどれほど優れていても、出てくる結果も価値のないものになる、という原則ですね。

(出典:ximix「Garbage In, Garbage Outとは?」 https://ximix.niandc.co.jp/column/what-is-garbage-in-garbage-out /2026年7月25日確認)

指示文を磨けば出力がよくなる、というのはそのとおりだと思います。ただ、磨いた指示文に渡す材料のほうが薄ければ、返ってくるものも薄いままです。うちで起きていたのは、そちらでした。

もうひとつ、先に明かしておきます。私は商品説明文そのものを書いていません。 書いていたのは別の担当者です。

私がやっていたのは、その人たちがAIに渡す材料をそろえる側でした。なので、この記事に「私のプロンプト」は出てきません。出せるのは、その手前の話だけです。


2. 正直に言うと、始めた動機は「取り残されそうだったから」でした

かっこいい理由はありません。

「なんか世の中盛り上がってて、やらないと取り残されんじゃね?」——当時の自分の頭の中は、本当にそれだけでした。

戦略があったわけでも、目標値を引いたわけでもありません。まわりがAIの話ばかりしていて、自分の店だけ何もしていない状態が落ち着かなかった。それが出発点です。

中小企業のAI導入では「AIを入れること自体が目的になってしまう」という失敗が指摘されています(ITワークラボ「中小企業がAI活用で『失敗した』事例から学ぶ3つの教訓」2026年7月1日 https://note.com/itworklab/n/ne7ace1f078a2 /2026年7月25日確認)。

今これを読んでも同じように感じます。まだ、取り残されるのではないかという恐怖心は完全にはぬぐえていません。

当時は、AIで何ができるのかも分かっていませんでした。分かっていたのは、商品説明文の作成に時間がかかっているという実感だけです。だから最初の狙いも「とりあえず商品説明文でやってみよう」くらいの粗さでした。

そんな入り方だったので、最初はうまくいきませんでした。


3. 最初にぶつかったのは、材料が店の中でバラバラだったことでした

結論から書きます。AIに指示を出す以前に、渡す材料が社内でそろっていませんでした。

散らばり方は、思い出すとだいたい4パターンありました。

① 本来サーバーにあるべき情報が、ある商品とない商品がある
管理の穴が虫食いのように空いている状態です。まとめて取り出そうとして、初めて気づきました。

② 仕入れ担当しか知らない情報がある
どこにも書かれていない。聞けば出てくる。つまり人の頭の中にありました。

③ 仕入れ担当ですら知らない情報がある
これが一番こたえました。「担当者に聞けば分かる」という前提そのものが崩れます。誰も知らない項目を、どうやって埋めるのか。

④ 社内フォルダの置き場所が、商品によって違う
探す作業そのものに時間がかかる。しかも「探したけど無かった」のか「まだ見つけていないだけ」なのかが判別できません。

厄介だったのは、これが「誰も整理していない」状態ではなかったことです。それぞれの担当は、自分の仕事の範囲ではきちんと整理していました。困るのは、1つの商品について全部まとめて出そうとしたときだけです。

ここで私が誤解していたことがあります。データがそろっていないというのは、入力漏れがある、くらいの意味だと思っていました。実際はそうではなく、そもそも「誰がどこに入力するか」の決まりを作っていなかった、という話でした。

この状態のままAIに投げると、どうなるか。あくまで私が見た範囲の話です。

情報がそろっている商品だと、「その視点もあるか」と思わせる文章が返ってくる場合がありました。こちらが考えていた売り方とは別の角度が出てくる、という感じです。毎回ではありません。ただ、そういうものが出てきたときは、材料を渡した意味があったと感じました。

逆に情報の少ない商品は、他と比べると見劣りしました。間違ってはいないけれど、必要最低限の内容、というイメージです。

指示文は同じでした。違ったのは、渡した材料のほうです。だからうちは、指示文を書き直すより先に、材料のほうを何とかすることにしました。

あなたの店では、1つの商品の情報が、何か所に分かれていますか。


4. うちがやったのは、商品説明文の前に「商品マスター」を作ることでした

やったこと自体は単純です。商品ごとに埋める項目を決めて、1か所にそろえた。 それだけです。社内では商品マスターと呼んでいました。

持たせた項目は、次のとおりです。

  • 商品コード

  • 商品名

  • サイズ

  • カラー

  • 素材

  • 生産国

  • 簡単な説明文

  • 用途

  • ターゲット像

  • シーズン

なぜ1か所にまとめたのか。人が探すのが面倒だから、という理由も少しはあります。ただ、本音はそこではありませんでした。まとめておかないと、AIに読ませるのが面倒だからです。

あちこちのファイルから情報を拾って、毎回コピーして貼り付けて渡す。それを商品の数だけ繰り返すのは、現実的ではありませんでした。渡す相手がAIになった時点で、材料が1か所にそろっていることの意味が変わったわけです。

ポイントは後ろの3つです。用途、ターゲット像、シーズン。

スペックだけ渡しても、刺さる文章は返ってきませんでした。楽天公式も、スペックだけを羅列するのはNGで、ベネフィットで語るように、という趣旨のことを書いています(楽天市場「セールスポイントとは?」最終更新2025年5月27日 https://www.rakuten.co.jp/ec/start/shohin_setsumei/ /2026年7月25日確認)。

ベネフィットというのは、お客さんがそれを使うとどうなるか、という話です。それを書くには、誰が・いつ・何のために使う商品なのかが要ります。寸法と素材名だけでは足りませんでした。

もうひとつ、正直に書いておきます。最初はExcelでした。 立派なシステムから始めたわけではありません。今はデータベースに移っていますが、始まりは表計算ソフトの1ファイルです。

項目を決めたのも、私を含めて2人です。専門のチームがあったわけでも、会議体があったわけでもありません。

この項目が正解だと言うつもりもありません。扱う商品によって、必要な項目は変わると思います。うちの場合はこの並びに落ち着いた、という話として読んでもらえたらと思います。

そしてAIへの指示文は、立ち上げのときに数名で書いて、少しずつ直していきました。ただ、今の運用はもう私の手を離れています。 この記事に書けるのは、あくまで立ち上げのときの話です。


5. 正直に言うと、ここが一番大変でした

時短の話をする前に、先に大変だった話をさせてください。手を動かした時間の大半は、ここに消えました。

大きく3つありました。

5-1. 既存データの棚卸し

どこに何があるかを、全部洗い出す作業です。地味で、終わりが見えにくい。

3章に書いたとおり、置き場所は商品によって違い、人の頭の中にしかない情報もありました。だから棚卸しは、ファイルを一覧にする作業では終わらず、聞いて回る作業になりました。

そして、一番しんどかったのがシーズンの確認です。

シーズンをどう付けるかにルールがなく、その人の判断で入力されていました。結果、入荷日から見ればどう考えても違うのに、スニーカーが秋冬(FW)商品になっていたり、夏物がオールシーズンになっていたりしました。

項目が存在することと、中身が正しいことは別だったわけです。それを1件ずつ見ていく作業が、本当にきつかった。

ここで気づいたことがあります。季節の情報が違ったまま渡せば、AIはその情報どおりに書きます。AIは、入っている情報が合っているかどうかを判断してくれません。

5-2. ない情報の穴埋め

そもそも、社内のどこにも情報がない項目がありました。特に「用途」と「ターゲット像」です。

考えてみれば当たり前で、これは仕様書にもメーカー資料にも載っていません。誰かが文字にしない限り、どこにも存在しない情報です。

AIに渡す項目を決めた瞬間、自分たちが商品のことを言葉にできていなかったと分かりました。 これが個人的には一番こたえた発見でした。

しかも先に書いたとおり、聞けば分かるとも限りませんでした。仕入れ担当ですら知らない、というパターンがあるからです。最後は商品そのものを見て、こちらで言葉にしていくしかありませんでした。

5-3. やる商品と、やらない商品の選別

うちはカラー違いまで1つずつ数えるSKU(商品の管理単位)が、数万規模ありました。

全部やるのは、現実的に無理でした。人手も時間も足りません。1件ずつ手で確認していく作業なので、件数がそのまま時間になります。掛け算した瞬間に、全部やるという案は消えました。

だから「やる商品を決める」より先に、**「やらない商品を決める」**ところから始めました。私が読んだ範囲では、AI活用の記事でこの話はあまり見かけませんでした。ただ、実際に手を動かすと、最初に来るのはここでした。

どういう基準で切ったかは、それだけで1本になるので次回に回します。ここでは「全部はできなかったので、選ぶところから始めた」という事実だけ置かせてください。

この章のまとめ

AIを入れれば楽になる、という順番ではありませんでした。先に手間が来て、後から少し楽になるという順番でした。


6. 体感は5分の1。ただし正確には測れていませんし、人のチェックも外せていません

商品説明文を作る作業は、体感で5分の1くらいになりました。

ただし、条件を先に書きます。まとめて一気に処理しているので、1点あたりの時間を正確には測れていません。 少人数でいろいろやっていて、工数を記録する仕組みがありませんでした。

だから「何%削減」とは書けません。書けるのは「体感で」までです。ここは正直に置いておきます。

もうひとつ限定しておくと、この体感は「商品説明文をゼロから書き起こす作業」についてのものです。ページを公開するまでの全工程ではありません。それでも、白紙から書き始めなくてよくなったのは大きかったと思っています。

そしてもうひとつ。最後に人が見る工程は、今も外せていません。 ここの負担はかなり残っています。

なので「自動化できました」とは言えません。感覚として近いのは「下ごしらえが速くなった」です。材料を切って並べるところまでは速くなりましたが、味を見るのは人がやっています。

人が見る工程で具体的に何を直しているかは、私の担当ではないので詳しくは書けません。ただ、そこが残っているという事実だけは書いておきたいと思いました。時短の話だけを読んで始めると、想定が狂うと思うからです。

チェックが外せない理由のひとつは、元のデータの側にあります。誇張や思い込みが混じっていると、AIはそれをそのまま、ときには少し足して出してきます。商品説明文は広告ですから、行き過ぎた表現は法令に触れる可能性もあります。ここは人が見るしかない、というのが今のところの私の判断です。

あなたの店では、AIに任せたあと、誰が最後に見ていますか。


7. 今日できる確認を、1つだけ渡します

手順は渡しません。代わりに、今その場で試せる確認を1つだけ。

売れ筋の商品を1つ思い浮かべてください。そして資料を一切見ないで、次の5つを書き出してみてください。

  • サイズ

  • 素材

  • 何に使う商品か(用途)

  • 誰向けの商品か

  • いつの季節のものか

書き出せない項目があったとしたら、それは今、社内のどこかに散らばっているか、誰かの頭の中にしかない情報です。

そして、そこはAIに渡せていない部分でもあります。渡していない情報を、AIが文章にすることはありません。

これは試験ではないので、埋まらなくても困ることはありません。むしろ、埋まらない項目が見つかったほうが収穫だと思います。

もし全部すらすら書けたなら、その商品はAIに任せられる状態にかなり近いはずです。あとは同じことを、2つ目、3つ目の商品でもやれるかどうかでした。少なくとも、うちはそこでつまずきました。

そのとき、いくつ埋まりましたか。

私も最初、埋まりませんでした。


8. 次回以降に書くこと

この記事は「整えるのが大変だった」で終わっています。具体的にどう整えたかは、書いていません。 そこは正直に言っておきます。

続きとして、こんなことを順番に書いていく予定です。

  • 数万あるSKUから、やる商品とやらない商品をどう選んだか

  • AIに任せると品質が落ちるパターン

  • モール内検索とキーワードの話

私もまだ勉強中です。先に手を動かした分だけ、お伝えできることを順番に書いていきます。一緒に確認していけたらうれしいです。

続きが気になる方は、スキかフォローをしてもらえると助かります。

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