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重版出来1~20巻/松田奈緒子


松田奈緒子さんの著書
「重版出来! 1~20巻」
を拝読しました📖´-
(2025,12,11~2026,1,4 読了)


本の業界についてもっと知りたいと思い、たどり着いた作品です。コミックですが、全巻図書館に揃っていたので、少しずつ借りながら読み進めました。

主人公は、柔道でオリンピック強化選手にまでなったものの、怪我によって競技を断念せざるを得なくなった女の子。
自分にはもう柔道しかないと思っていた彼女が、「では自分は何をしたいのか」と問い直したとき、原点として思い出したのが漫画でした。その想いから出版社への就職を目指し、数々の壁を越えて大手出版社の漫画編集部に配属されます。
本作は、彼女の成長譚であると同時に、本づくりの現場を驚くほど丁寧に描いた物語です。

正直、最初は「漫画だから」と軽い気持ちで読み始めました。けれど、その予想は良い意味で裏切られました。主人公の奮闘に胸を打たれるだけでなく、「本を読める」という当たり前の行為が、どれほど多くの人の想いの上に成り立っているのかを、何度も思い知らされます。

「重版出来」という言葉も、この作品で初めて知りました。
重版が決まり、本が再び世に送り出されること。その一言の裏に、どれほどの喜びと安堵、そして努力が詰まっているのか。本作はそれを、感情を伴って教えてくれます。

出版社で働く人たちの本への情熱、作家の苦悩、一冊の本に関わる無数の人の葛藤と仕事。気づけば何度も涙をこらえながら、それでも読む手が止まりませんでした。

印象的な言葉も、物語の随所に散りばめられています。

問題は、「どこで勝ちたかか」や。
自分はどがんなりたかか、自分の頭で考える。
考えて考えてゲロ吐くほど考えて、見極める。運ば使いこなせ。

「1巻」より引用


これは、主人公が勤める出版社の社長が、若き日に出会った人物からかけられた言葉。そして、その社長自身が、長い年月を経て辿り着いた答えが、次の一文です。

本が私を人間にしてくれたからです。

「1巻」より引用


この言葉には、深く頷くしかありませんでした。
私もまた、本に人間にしてもらった一人です。本が傍にあったから、ここまで生きてこられた。そう言うと少し大げさかもしれませんが、それほど本に支えられてきました。その環境を用意してくれた、元書店員である両親には、改めて感謝の気持ちが湧いてきます。

人が動く。人のために動くのが日本の「働く」
人のために動けばきっと誰かも自分のために動いてくれて、
そうして毎日は動いているんだ。

「6巻」より引用


本に関わる仕事をいつかしたいと考えている私にとって、本作は大いに参考になりました。それだけでなく、働き方や生き方を模索する上でも、たくさんのヒントを与えてくれます。たとえ今、望む場所に立てていなかったとしても、この言葉にあるような姿勢だけは、胸に抱いていたいと思いました。

『重版出来!』は、本の業界を描いた作品であると同時に、現代社会の生きづらさや、そこから抜け出そうともがく人々の物語でもあります。アナログとデジタルをどう共存させていくのかという問いも含め、本当に多くの気づきを与えてくれる一作です。

それでいて、決して堅苦しくはありません。登場人物たちは皆ユニークで、それぞれに共感できたり、新しい視点をもらえたりします。
2025年に出会った本の中でも、間違いなくベスト入りの一冊。ただ、その魅力を言葉にしきれないのが、もどかしくもあります。

だからこそ、これはもう、私の拙い言葉で語るよりも、ぜひ実際に読んで、それぞれの心で受け取ってほしい作品です。
ドラマ化もされているそうなので、いつかそちらも観てみたいと思っています。
そしていずれまた再読したいので全巻揃えていこう。





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