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合皮シーグラス将棋 #せりふ三題噺

夏に入ってから、縁側で将棋を気持ちよく打てる気温ではなくなっていた。タライに溜まった氷水の中にはスイカが転がり、柱には風鈴を飾って自然に冷風を待っていた。

流れてくるのは熱風。縁側で脚を開いていても、自分の身体から水が出るばかり。このまま干されていても仕方ないので、少しだけ歩くことにした。引っかけておいた鞄を肩に掛けて、外を歩き始めた。

コンクリートで整備された車道に立っているだけでも暑い。こうも相性の悪い組み合わせが存在していると、裸足で熱を発散したくなるのだが、プールサイドと同じように、アッチアッチと言いながら、あっちこっちしてしまうので我慢する。
…プールサイドは、なんであんなに熱いのだろうか。プールから逃れられないようにするためか。釜茹で地獄のようだ。

今日の散歩には目的がある。先日の売店で観賞用に買ったシーグラスを、鞄の中に忍ばせておいた。キラキラ煌めく反射を、グラス越しに見渡せると思うと、ワクワクしてしょうがなかった。作り方を調べたところ、ゴミのプラスチックが海に揉まれて、綺麗なシーグラスになるらしいので、不法投棄をした人に対して、無関心ではいられなくなった。

この鞄も新しく買ったもので、合皮で作られたらしい。動物の皮が使われていない人工的な皮。この直射日光の前では、誰も肌を出したくない。日焼け止めを塗らなくて良いのが、合皮の利点でもある。それにしても、本革と変わらない見た目になっている。

さて、ここでシーグラスを取り出してみようか。つがいのホックを外して、片手でつまんだシーグラスを太陽にかざす。地面には、彩られた光が映る。とても綺麗で、揺らめく姿が海を想起させる。

自然に放たれた光が、人工物によって透かされ、また人工物に映る。プラスチックゴミのシーグラス。本革ではない合皮の鞄。車の重量に耐えられるコンクリート。縁側の模擬戦争をする将棋。人の感性から、人の手によって作られていた感動を味わっている気がした。

「調べない方がいいよ」
ところどころで言われたこのセリフは、これに気づかせない優しさが組み込まれていたのかもしれない。それでも、光は綺麗なままだった。
次第に服が濡れ始めてきた。シーグラスを鞄に戻して、道を引き返す。冷やしていたスイカを楽しみに帰ることにした。


参加させていただきました。

943文字の謎詩。


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