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彼から伝わる体温 #せりふ三題噺

「内緒だからな」
ドクン。ドクン。心拍数が上がっていく。

彼の第二ボタンは、とても温かくて少し湿っていた。長い間、握りしめていたからだと思う。その温もりを逃がさないように、駐輪場で自転車の鍵を探すときも、ハンドルを握りしめる時も、右手の中に第二ボタンを収めていた。

立ち寄った商店街で、友達とたい焼きを食べ歩きするときも、持ち手にうまく隠しておいた。いつもより、あんこが温かい気がする。

帰宅して制服を脱ぎ捨てる時も、私服に着替える時も、晩御飯を囲んで食べる時も、お風呂に浸かっている時も、眠るときもずっと握ったままだった。

どれくらい時間が経っただろう。ふと、握っていた右手を解いてみた。第二ボタンがそこにはなかった。あれ、いつ無くなったんだろう?

そういえば、あの時のたい焼き。1粒だけ硬くて、すり潰せなかったあんこがあったな。たしか、第二ボタンの熱を逃がしたくないから、たい焼きの中に入れたんだっけ。

ということは、私の身体の中。私の体温で彼の温もりを閉じ込めているのか。いつまで持続するかわからないけど、彼の熱が私の体温になり続けるなら、それでもいいか。

ドクン。ドクン。体内から声が聞こえる。
「内緒だからな」


参加しました。
恋の熱は、逃がしたくないですね。

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