再開の空想|#3つのお題に空想のひらめきを 第30回
あ。久しぶり…だね。三四半世紀ぶり。私がいない間、75年間生きてくれたありがとう。うふふ、堅くなりすぎちゃった。だって、おじいちゃんになっちゃったんだもん、キミ。中身は変わらないし、変な感じだよ。
まさか天国に来るなんて思わなかったよ。だって、やんちゃしてたじゃない。…嘘。私のお見舞いには毎日のように来ていたもんね。心優しい人が地獄に落ちるわけないもの。
その手紙、一緒に燃やしてくれたんだ。嬉しいな、私の手紙が、ずっと消えない手紙になった。捨てないでね。捨てないか。生きている間はずっと持っていたんだもんね。またイジワルしちゃった。
もちろん、上から見ていたよ。あなたがいつもくれたお見舞いの花を買う花屋さんで木の苗を買って、キミの家で育てていたのを。雲の上の待合室からずっと。そう、ここから。
幹が大きくなるにつれて、年輪がどれだけ広がっているのかなって。もしかしたら、最初にできた年輪の大きさなら木の指輪にちょうどいいんじゃないかって。…えっ?造ってきたの?うふふ、考える事は一緒だったんだね。
この木さ、突然伐り出してどうしちゃったんだろうって思ってたんだ。まさか指輪にしてくるとは思わなかった。とても、温かいよ。この指輪。ずっと大切にするね。死んでから、一生の宝物ができちゃった。
キミ、私に初恋で両思いだったとはいえ、地上に奥様がいるでしょ?まずいんじゃないのかな?ううん、怒ってないよ。私が先に逝っちゃったし、束縛する理由もないから。手紙にも書いたでしょ。『素敵な奥さんを見つけて、私の3倍以上生きてね。』って。
受け取らないとは言ってないよ。ありがとうね。なら、左手の小指に付けようかな。奥様は私にとってお姉様的な存在だしね。…え?あぁ、指輪は一緒に燃やせないもんね。なら、今だけ薬指にはめてもらおうかな。今だけ。
今更、浮気になるんじゃないかって心配になってきたの?うふふ、イジワルだってば。私?私は、元から浮ついてはいるよ。ほら、脚ないし。地上じゃないから足もつかないね。あはは。
もとからそのつもりだったんでしょ。恋人らしいことはできないけど、キミの生きてきた想い、私に話して。彼女としてなんでも聴くよ。罰が当たって堕ちたとしても、一緒に着いていくからね。約束。
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