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alinco_life
3月31日 #せりふ三題噺
夜桜は、スポットライトが当たらなければ、見向きもされない。
スポットライトは、桜が咲いていなければ、意味がない。
スポットライトの光がちらつく。 花びらがヒラりと散らばる。
桜吹雪を隔てて、君は立っている。スポットライトに当たらずに止まっている。 君は泣いているの?笑っているの? どこかに消えてほしくないから、とっさの「待っててね」に返事をしないで、ずっと動こうとしない。
3月31日。君が学生を名乗れる最後の日。 日付が変われば、君の名札は意味を成さなくなる。名簿はアップグレードされて、空欄には新入生の名前が入る。
ねえ。君はそのまま消えてしまうの?僕たちはもう会えないのかな? 夜桜は風に煽られて、君のことを隠してしまう。スポットライトは頑なに、桜吹雪を照らしている。
そして、桜吹雪が『さようなら』を祝い終えると、いつの間にか君は消えてしまった。 桜吹雪は匂いを変えずに『はじめまして』を祝い始めていた。
あれが散り終わる頃には、この夜のことを忘れてしまうのかな? 僕はスポットライトの後ろを通った。君の名前が書いてある花びらがどこかに落ちているはずだから。 でも、散り終わった花びらに光は当たっていなかった。代わりに枝に生えた新芽が目立っている。
「待っててくださいね」
あの新芽が咲いて、散った頃。僕は次の春に備える。
僕が見事な花吹雪を散らせたら、君は見てくれるかな?
参加しました。今回は、散文詩っぽくなりまして。
■セリフ 「待っててね」
■三題 ・アップグレード ・名札 ・夜桜
