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おやすみの空想 3つのお題に空想のひらめきを【第31回】

毎晩、夢を見る前に『楽しい思い出』を作る。
ベッドに横になって、目を閉じたら、はじまりはじまり。

カタンカタンと、ベッドの脚が一歩ずつ駆けだした。寝室の窓をすり抜けて、ふわりと夜空へ飛んでゆく。このベッドは僕を運ぶペガサスで、毎晩楽しい思い出を作るために同行してくれる。今日もよろしくね。

冷たい夜風が頬を撫でる。煌めく星と月がまぶたを透かして、少しだけ眩しい。そこへ、ひょいとちらつくウサギの影が差し込んで、僕のまぶたを優しく包んだ。

今日も餅つきをするのかな?それとも、挨拶をしに来てくれたのかな?
真上の夜空に腕を伸ばして、手を振ってみた。手のひらを通り抜ける月の光が上下に瞬いた。きっとウサギの影が上下に跳ねていたのかも。僕は思わず笑顔になる。

***

頭上から「ポーッ」と汽笛の音が聞こえた。ガタンゴトンと音が大きくなる。ベッドが線路の近くまで運んでくれたようだ。銀河鉄道が近くにやってくる。

ベッドと並走している銀河鉄道は、汽笛を短めに3回ほど鳴らして挨拶。僕は、音の聴こえる方向に腕を伸ばして力強く手を振った。
「今夜も良い旅を!」
微かに聞こえた車掌さんの声。銀河鉄道は、さらに速度を上げて次の目的地へ向かった。終着駅まで着いていきたいけど、家に戻れなくなっちゃうから。お父さんお母さんが起きたときにビックリしちゃう。大人になって自由になれたら、どこまでも一緒に走ってみたいな。

***

この時間だけは、何が起こっても幸せを感じる。思っていたより、やさしい世界。夜空を駆けるベッドに身を預けて、いつの間にか眠っていた。

***

カーテンから透ける微かな光が、僕に「新しい朝が来たよ」と優しく起こす。夜を駆ける魔法が遅れて届く日の光によって溶けてゆく。
「おはよう。」

身体を起こすと、ふんわりトーストの焼けた匂いが鼻をくすぐった。それに反応するように少しだけお腹が鳴った。
僕は布団をきれいに直した。一緒に駆け抜けてくれたベッドがゆっくり休めるように。
昨晩の夜空にしまい忘れたものはないかな?
今夜もまた、『楽しい思い出』作ろうね。
「おやすみ。」


参加しました!
今回は、子供の頃を思い出しました。

子どもの頃にかけていた魔法が遅れて届く日に立ち会えたような気分です。
空にしまい忘れたものは未知数。けれど、少なくとも届きました。
忘れていた思い出を運んでくれる。思っていたより、やさしい世界

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