その音は螺旋を描く
DJをやり始めてから、自分の好きな曲たちについて考えることが多くなった。何かと大量に曲が必要な趣味である。選曲を重ねていくうちに、自分の好みの音がなんとなくはっきりしてきた印象がある。今回はそんな自分の好みの音楽について書いてみようと思う。
音楽探しに使っているサイトは主にBeatport、Spotify。
まず初めに、Spotifyで自分の好きな音楽をあらゆる手を使ってピックアップ。基本的にメインで探している音楽はテクノ・ハウスではあるが、ジャンルにはあまりこだわっていない。ハウス、テクノ、ジャズやヒップホップ、ガラージなど、ジャンルに関してかなり節操がないが、私が好きだと思った曲をとりあえずひとつのプレイリストに詰め込む。
次に、Spotifyで作成したプレイリストの中から、さらに私の好みである曲、DJで使いやすそうな曲、私がフロアで聴きたい曲をひとつひとつ判断していく。そこで最後まで残った曲たちをBeatportのカートに放り込んでいく。
ここから先の音楽ディグはBeatportからである。Beatportはカートに入った音楽たちから、所属レーベルが同じアーティストの楽曲や、テイストが似通っている楽曲をリコメンドして教えてくれる機能がある。そのリコメンドから私の好みの音楽を抽出していく。抽出された音楽から、そのアーティストの他の楽曲を聴いてみたり、さらに同じレーベルのアーティストを掘ってみたり、あっちこっちと様々な音楽に触れ、自分好みというものを考えながら自問自答していく。
それを繰り返した結果、私の好きな音楽の傾向が見えてきた。
第一傾向【回転】
私は回転する音楽が好きらしい。そもそも回転する音楽とは何かという話ではあるが、私が勝手にそう解釈しているのは前提として置いておきたい。
簡単に言えばモーリス・ラヴェルのボレロである。
普段音楽を聴かない人でも一度は聴いたことがある超有名曲ではなかろうか。この楽曲の特徴のとして、同じメロディ、旋律がループすることにある。そしてそのループの中で楽器が足されていったり、はたまたソロパートがあったり、同じループの中で曲そのものが姿を変えていく。私はこのループが回転しているように思えてくる。同じループの中にいるのにひとつ回転したら同じループの中にはいない。音たちは螺旋を描いている。徐々に徐々にクレッシェンドされていく様はなんと雄大なものか。
ハウス、テクノはそもそも四つ打ちというドン・ドン・ドン・ドンという4/4ビート、等間隔で刻まれるキックやハットなどを基本構成とする音楽たちである。その中で曲たちの中には展開があって、例えばサビなんかも楽曲構成のひとつである。そのほかにも例えばブレイクと呼ばれる無音に近い小節があったり、小節ごとに楽器が抜き差しされたりするわけである。
実例①Thisiz House Music - Red Pig Flower
その曲の中で、私はBoleroのような曲を好む。
例えばこれ。
This is House Musicである。
主旋律はループに囚われているが、そのループの中で曲は展開を変えていき、ひとつループを繰り返すごとに曲の位置は変わる。先ほど述べた螺旋構造である。回転する音楽は、例えば16拍ループの上に、5拍のハット、7拍のスネアを重ねるなど、全体として“ズレながら進行”する印象を与える。これは周期の干渉であり、まさに「音が回っている」感覚を生む構造的要素となる。この曲には明確なサビが存在しない。曲は基本的に回り続けていて、通常のサビ部分のように突出した演出はない。私はこのループを繰り返す中で起こる音楽のズレ感、それの摩擦熱のようなものにグルーヴという感覚を見ている気がしている。
実例②Make Me - Elkka
Bolero以外にも回転しているような音楽はある。
今回はハウスやテクノではなく、どちらかというとガラージ的だろうか。
低音域が反復にて終始押し進めるけれど、完全に機械的ではなく、少しずつ「ズレ」「揺れ」を感じる構造。これはまさに回転しながら前進している状態である。音数が増えたり減ったりすることで、フレーズは同じでも景色が変わっていくように感じさせてくれる。短く切り取られたボーカルの声はリズミカルで、抜き差しをされることでループの中に物語を構築している。
実例③Factory 4 - Opal
続いては工事現場ライクな音、インダストリアルである
特筆すべきはキックとベースのループである。それを軸として、ハットやスネアが様々な角度からループにかぶさってくる。それはいわゆる立体的なループであり、ループを繰り返すごとに同じルートを通ってはいない。螺旋である。
また、ディレイやリバーブが常に揺れていることも回転していると感じる理由のひとつであると思う。
例えば、軽く歪んだパーカッションに着目してみると、その高音はフェーズをずらしながら定位を回遊しているような印象を受ける。これは音が動き回っているのである。ループはループにいながらも同じ場所に留まることはない。これも、私が考える回転である。
私の好みの傾向というものがまだいくつかあるのだが、一つの傾向だけで思いのほか文章が長くなってしまったので、これにて一旦締めさせていただく。文章を書いてみて思いのほか面白かった。普段から考えていたことなのでするすると言葉が浮かんでくる。また気が向いたら第二傾向を書いていきたい。しかしいつ書くかは分からない、書き始めるまでが大変なのだ。
また最近聴いていた音楽を貼らせていただく。暇があったら聴いてみて欲しい。そういえばDJの初現場が決まった。興味があったら私に聞いてください。
読んでくれてありがとう。良い一日をお過ごしください。それではまた。
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好