大純はる著『日根野の王』を 読了|歴史の理解が深まる物語
大純はる著『日根野の王』を読了しました。
この物語は、前関白の公家である九条政基が、1501年3月から1504年12月まで、和泉国日根荘に下向していた時に書かれた日記「政基公旅引付」をベースにした作品です。
室町時代の後期、「応仁の乱」の後の戦国時代への過渡期の物語。
舞台である和泉国日根荘は、歴史小説ではあまり取り上げられない、マイナーな地域です。
時の将軍は、11代目の足利義澄。
彼は細川政元のクーデター(明応の政変)によって、足利義稙を廃位した後に擁立された人物です。
その後将軍家は、義稙系統と義澄系統に分裂し、さらに義澄と細川政元の関係も良好ではなく、武家社会は混迷していました。
一方、九条家といいう公家の人物は、時代の中心からは遠い存在でした。
そんな時代に、日根荘で何があったのか、地元の人たちはどの様な考えを持って、どの様なくらしをしていたのか、現実感のある表現で描かれています。
程よく緊張感のあるストーリーは、読んでいる間中、その世界に引き込まれていました。
物語の背景を理解するのには、苦戦を強いられたのですが、その分、歴史に対する理解を深める上では貴重な機会となりました。
分かりやすくて読んでいて気持ちいい物語りは、快楽を目的にする場合にはいいのですが、成長を目的にする場合は、難しい物語を時間をかけて読むことに、大きな価値があります。
『日根野の王』は、快楽と成長の両方を体験できる作品でした。
