地中海を繋ぐ黄金のペースト「タヒニ」の物語
タヒニとは、ごまを丹念にすりつぶしたペーストのこと。
アラブ諸国で使われる、濃厚な練りごまのようなものだ。
アラビア語の語根
「ṭ-ḥ-n(挽く、粉にする)」に由来するこの響きは
まさに食材の本質をそのまま表している。
アラビア語の語根システムは
通常3つの子音(三語根)から成る基本形を核とし
そこに規則的な母音パターンや
接辞を付加することで
多様な派生語を生成する仕組みである
動詞は語根を特定のパターンに当てはめ
10種類の派生形が存在する。
私は、アラビア語を学んだが
ここで1度目はノートを書いていて
意味不明となり、諦めた。
(その後、2度目、3度目のリベンジも続いたが….。)
同じ語根から、動詞だけでなく
名詞や形容詞も派生する。
例えば、語根「ṭ-ḥ-n(挽く)」からは
動詞「ṭaḥana(挽く)」
名詞「ṭaḥīn(小麦粉)」
そして「ṭaḥīna(タヒニ)」が生まれている
ごまを挽くというシンプルな行為の中に
地中海沿岸の人々が
何千年にもわたって紡いできた
命の営みが凝縮されている。
ごまの歴史は、タヒニという言葉が
生まれるはるか昔に遡る。
約4,000年前の古代メソポタミアに残された
楔形文字の粘土板には
すでにごまに関する記述が刻まれている。
古代オリエントの世界において
ごまは単なる作物ではなく
食用油や灯火、さらには医療や
儀礼にまで用いられる神聖な恵みであった。
過酷な乾燥地帯を生き抜く人々にとって
ごまの小さな粒は
生命力を繋ぐ黄金の雫だったに違いない。
その古代の記憶が、粉砕と加工の技術と結びつき
料理としての「タヒニ」へと昇華していく。
次回は、この濃厚なゴマペースト
タヒニが実際にどのように料理に使われているのか?
ご一緒に探求していこう。
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