ウケるコンテンツは賞味期限が短い理由
ウケるコンテンツ=「人間の欲求に刺さる」×「具体的なコンテンツ」
今、ウケるコンテンツを出そうとすると、「人間の欲求に刺さる」×「具体的なコンテンツ」になります。
「人間の欲求に刺さる」の例を挙げると、モテたい、結婚したい、稼ぎたい、痩せたい、目立ちたい、などが挙げられます。
たとえば「モテたい」をテーマにして具体的なコンテンツにすると、
「彼女いない歴=年齢の俺が、1か月で彼女を作った方法をすべて公開」
「1か月で100人の連絡先をゲットした必勝ナンパ術。50のTips」
といった形になります。
これが「稼ぎたい」の場合だと、
「ただの主婦がnoteで月商10万円を稼ぐまでの道のり」
「Xでフォロワーを1万人獲得してマネタイズするまで」
といった具合です。
こういったコンテンツは、出せばすぐ成果が上がり、収益も上がります。
「人間の欲求に刺さる」うえに「具体的なコンテンツ」だからです。
コンテンツを買う側からすると、自分の欲求を満たすための具体的な方法を知りたいので、こういったnoteには数千円以上払っても惜しくないわけです。
「人間の欲求に刺さる」コンテンツには賞味期限がある
この公式に当てはまるコンテンツは大量にあふれています。
しかし、こういったコンテンツは賞味期限が短いのです。理由は2つあります。
1つ目は、「人間の欲求に刺さる」コンテンツを提供しているクリエイターには、時間的な制約がかかりやすいこと。
例えば、モテるための具体的な方法を指南している人は、多くが少なくとも30代半ばくらいまでです。40代になっても「モテるためのメソッド」と言い続けると、年齢やライフスタイルとの不整合から違和感が生じてきます。
女性のコラムニストでモテについて語る人も多いのですが、だいたい30歳前後で「モテ」を卒業し、その後は結婚・出産を契機にコラムの内容が家族ネタへとモードチェンジしていきます。
2つ目は、「人間の欲求に刺さる」×「具体的なコンテンツ」の領域はレッドオーシャンで、同じジャンルを狙うプレイヤーが非常に多いこと。
たとえば「noteで稼ぐ方法」を売っていたとしても、瞬間風速的に稼げても、継続的に稼ぎ続けるのは難しいのです。
noteの有料配信で長く稼ぎ続けている代表格として、経済・投資のnoteを配信している元日経キャップの後藤達也さんが挙げられますが、彼の場合は「元日経社員」という経歴に裏付けられた専門性があるから可能なわけです。
専門性を獲得していない人は競合に勝る強みが乏しく、一瞬は稼げても持続は難しいのです。
「具体的なコンテンツ」は応用が効かない
さらに「具体的なコンテンツ」は応用が効きません。
家電製品に付属するマニュアルのように、「その通りに実行すれば一定の成果が出ますよ」という教本的な性格を持ちます。
ですから、そのコンテンツを購入して実行すれば、一定の成果は上げられるかもしれません。
しかし、その内容を他へ転用することはできません。エアコンのマニュアルを見て電子レンジを操作することはできないのです。
一方、外山滋比古氏のベストセラー『思考の整理学』という本があります。
これは、思考をどう深めるかという大きなテーマで書かれており、内容はまったく具体的ではありません。
思考の中には「ビジネスモデルをどう考えるか」「デザインをどう発想するか」など、あらゆる対象が含まれます。これらの大元にある「思考」の整理の仕方を学ぶことで、ビジネスやデザインといった枝葉へ応用できるのです。
つまり、特定ケースにはめたマニュアルのような「具体的なコンテンツ」は、イレギュラーが起きれば効力を失い、他へも応用しづらいため、一過性の効果にとどまります。
『思考の整理学』が包丁だとしたら、「具体的なコンテンツ」は卵カッターです。卵カッターは卵しか切れませんが、包丁は食材であれば何でも切ることができます。
「人間の教養を深める」×「抽象的なコンテンツ」
では、「人間の欲求に刺さる」×「具体的なコンテンツ」の反対は何かというと、「人間の教養を深める」×「抽象的なコンテンツ」です。
先ほど挙げた『思考の整理学』はこれに当たります。
YouTubeで言えば、海外の美術史を解説する山田五郎氏の「オトナの教養講座」や、ジブリ作品などアニメを解説する岡田斗司夫氏のチャンネルなどが該当します。
こういったコンテンツは、伸びるまでに時間がかかる傾向があります。
今の視聴者は即効性のある具体的コンテンツを求めがちだからです。
岡田斗司夫氏のチャンネルでは、「〇〇を解決する方法」といった具体的メソッドはあまり語られません。
しかし、切り抜きチャンネルでは岡田氏の動画を再編集し、「思考をアップデートする方法を徹底解説」などとリパッケージしています。
つまり、抽象的な内容を「人間の欲求に刺さる」×「具体的なコンテンツ」に変換しているわけです。動画単位の再生数を見ると、再編集した切り抜きのほうが上回ることも多いのです。
それでも長期視点では、「人間の教養を深める」×「抽象的なコンテンツ」のほうが寿命が長くなります。
具体的で即効性のあるコンテンツは、一度見て内容を知ってしまえば見返しません。
一方、抽象的なコンテンツは、見るたびに受け取る内容が変わるため、繰り返し視聴されやすい。
しかも他領域へ応用が効くため、時代が変わっても生き残りやすいのです。

瞬間風速のコンテンツか、長期的に見られるコンテンツか
結論として、今の時代はすぐに稼げる「人間の欲求に刺さる」×「具体的なコンテンツ」が人気ですが、賞味期限は短いという話でした。
こういったコンテンツは用途が限定された卵カッターであり、薬でいえば即効性のある痛み止めのようなものです。
対して「人間の教養を深める」×「抽象的なコンテンツ」は、応用が効く包丁であり、薬でいえばじわっと体に効いてくる漢方のようなもの。
立ち上がりの速さだけを見るなら前者のほうが圧倒的にコスパは良いですが、「コンテンツを作り続ける」ことを目的にするなら、後者のほうが継続可能性が高いのです。
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