体に貼るだけで、スイングが変わる。センサーが開く「個人の計測」時代
スポーツの世界で、計測の「場所」が変わろうとしている。
少し前まで、スイングを本気で計測しようとしたら、大きなホールに専用機材を並べた計測施設に行く必要があった。高精度の計測は、設備を持つ場所でしか受けられなかった。自分の体の動きを「数字として知る」には、高いお金と特定の場所が必要だった。
でも今、その前提が少しずつ崩れはじめている。
スタンフォード大学の研究グループが、背骨に2枚のコイン大のセンサーを貼るだけで、これまで研究室でしか測れなかった体幹の回転を計測できるデバイスを開発した。驚くのはその精度だ。従来の光学式計測との一致度を検証した研究では、ほぼ同等の数値が出た。
「ラボじゃないとわからない」と思われていたことが、コースでリアルタイムにわかるようになる。そのインパクトは、計測そのものより、計測できる人の数が変わることにある。
腕に巻いてスイングのテンポを測るデバイス、靴に着けてアドレスのずれを感知するセンサー。装着型計測を手がける企業には、往年のトッププロも投資家として名を連ねている。「選手が日常的に自分のデータを蓄積する」という新しい使い方が、静かに広がっている。
これはゴルフに限った話ではないと思う。計測の民主化、とでも言えばいいか。専門家だけが持てた情報を、個人が持てるようになる変化は、スポーツでも医療でも、少しずつ起きている。
大切なのは、センサーの精度が上がることより、そのデータを誰がどう使い続けるかの設計だと思う。
計測できることと、それで何かが変わることは、別の話だから。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!