木と机とランドセル
春のやわらかな風が、窓からそっと部屋へ入り込みます。
木の机の横には、少しくたびれたランドセル。
六年間、毎日のようにそこに置かれてきた、大切な相棒です。
学校から帰ると、いつものようにランドセルを机の横へ置く。
宿題をした日。
お気に入りの本を読んだ日。
眠くなって、机に突っ伏してしまった日。
テストで百点を取って喜んだ日もあれば、思うような点が取れず、悔しくて涙をこぼした日もありました。
そんな毎日を、この木の机は静かに見守ってくれていました。
明日は卒業式。
だから、このランドセルを背負って学校へ行くのは、今日が最後でした。
筆箱を開けると小さくなった鉛筆や、角が丸くなった消しゴムが出てきます。
何度も開いた教科書。
少し色あせた時間割。
どれもが、この部屋で過ごした日々を思い出させてくれました。
私はランドセルをそっとなでます。
新品だった革は、今では少し柔らかくなり、小さな傷も増えていました。
その一つひとつが、六年間頑張ってきた証のように思えます。
窓の外では、夕日が街をやさしく照らしていました。
私は木の机に向かって、小さくつぶやきます。
「ありがとう。」
ランドセルも、木の机も、何も答えません。
それでも、この部屋には六年間の笑い声や「ただいま」の声が、今もそっと残っている気がしました。
明日から新しい毎日が始まります。
でも、この木の机とランドセルと過ごした時間は、きっとこれからも、私の大切な宝物です。
片桐みかんさんのこちらのお題に参加させていただきました👇️✨️
