サンダルで出かけた夜|シロクマ文芸部
サンダルで外に出た夜は、少しだけ冒険が始まりそうだった。
昼間はあんなに暑かったのに、 夜になると風が少しだけやさしくなる。
コンビニまでの道。
いつも通っているはずなのに、サンダルの音だけが静かな夜に響くと、知らない街を歩いているみたいな気持ちになった。
特別な目的があるわけじゃない。
冷たい飲み物を買いたかっただけ。甘いものを少しだけ食べたかっただけ。
夜に出かける理由なんて、それくらいでいい気がした。
田んぼの近くを通ると、かすかに土と水の匂いがした。
遠くで光る自動販売機。誰もいない横断歩道。閉まったままの小さなお店。
昼には見逃してしまう景色が、夜になると急に物語みたいに見えてくる。
子どもの頃、夜に少しだけ外へ出るだけで、秘密の冒険みたいに感じていたことを思い出した。
大人になると、冒険ってもっと大きなものだと思ってしまう。
遠くへ行くこととか、何かを変えることとか。
でも本当は、サンダルで夜風の中を歩くくらいの小さなことでも、心はちゃんと遠くまで行けるのかもしれない。
帰り道、コンビニの袋を揺らしながら、少しだけ軽くなった気持ちで空を見上げた。
今日が完璧じゃなくても、こんな夜があるなら、まあいいかと思えた。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました🌙✨
シロクマ文芸部さんのこちらのお題に参加させて頂きました👇️✨️
