風船で旅するクジラ
夕暮れになると、空の海を旅する一頭のクジラがいました。
その大きな背中には、小さな家が一軒。
色とりどりの風船が、ふわり、ふわりとクジラを空へ運んでいます。
町の人たちは、その姿を見つけると笑顔で手を振りました。
「今日はどこへ行くの?」
誰かがそう尋ねると、クジラは潮の代わりに、きらきら光る星のしずくを空へ舞い上げます。
それは「次の景色を探しに行くよ」という合図でした。
風船は、ただ空へ浮かぶためのものではありません。
旅先で出会った誰かの笑顔。
「ありがとう」と言われた言葉。
もう一度会いたいという願い。
そんな優しい気持ちが、一つひとつ風船になって結ばれていくのです。
だから旅を続けるほど、クジラの空は色鮮やかになっていきました。
ある日、小さな鳥が聞きました。
「終わりの場所はあるの?」
クジラはゆっくり首を振ります。
「旅に終わりはないよ。世界には、まだ見たことのない朝焼けも、誰かが待っている空もあるからね。」
その言葉を聞いた風船たちは、夕焼け色の風に揺れながら、さらに高く空へ舞い上がりました。
今日もどこかで、風船で旅するクジラは、新しい景色と、新しい出会いを探して旅を続けています。
そして空を見上げた誰かが、ほんの少し笑顔になったなら。
その笑顔はまた一つ、小さな風船となって、クジラの旅に仲間入りするのでした。🎈🐋✨
片桐みかんさんのこちらのお題に参加させていただきました👇️✨️
