月を拾った子ども
むかしむかし。
山あいの小さな村に、一人の心優しい子どもが暮らしていました。
ある秋の夜のこと。
子どもが川辺を歩いていると、水面がまぶしく光っています。
「なんだろう?」
そっと近づくと、そこには丸くて優しく光る月がありました。
空を見上げると、本当に月がありません。
「たいへん。お月さまが落ちてしまったんだ。」
子どもは両手で大切そうに月を抱き上げました。
不思議なことに、月は温かく、まるで「ありがとう」と言っているようでした。
家へ持ち帰ろうとすると、一羽の白い鳥が舞い降ります。
「その月は、空へ帰りたがっています。」
鳥はそう言うと、夜空へ向かって羽ばたきました。
子どもは少し寂しくなりましたが、月を抱えて山のてっぺんまで歩きます。
「お月さま、お家に帰ろう。」
そう言って空へ掲げると、月はふわりと浮かび上がり、ゆっくりと夜空へ戻っていきました。
その瞬間、村中がやさしい月明かりに包まれました。
帰り道。
子どもの手のひらには、小さな銀色の光が一粒だけ残っていました。
その光は、困っている人を見つけると、そっと道を照らしてくれたそうです。
だから今でも、満月の夜には、
「月を拾った子ども」が残してくれた優しさが、月明かりになって世界を照らしている。
村の人たちは、そんな昔話を子どもたちへ語り継いでいるそうです。
片桐みかんさんのこちらのお題に参加させていただきました👇️✨️
