幸せ便
ある町には、ペンギン郵便局という小さな郵便局がありました。
そこで働くペンギンの郵便屋さんたちは、毎日たくさんの手紙を届けています。
でも、その中には少しだけ特別な配達がありました。
「幸せ便でお願いします。」
そう頼まれた手紙だけは、まっすぐ届けません。
ペンギンの郵便屋さんは、手紙を大切に抱えて町へ出かけます。
最初に訪れるのは、シロクマアイス屋さん。
「今日は、どんな幸せを届けるの?」
シロクマさんはにっこり笑うと、できたてのアイスをひとすくい。
甘くてひんやりした香りを、手紙へそっとまとわせました。
「暑い日も、心は涼しくなりますように。」
ペンギンの郵便屋さんは「ありがとう」と頭を下げ、次の場所へ向かいます。
今度は、パンダの音楽教室。
教室からは、やさしいピアノの音が聞こえてきました。
「この手紙にも、音楽をプレゼントしよう。」
パンダ先生が鍵盤に指をのせると、あたたかなメロディーがふわりと手紙を包み込みます。
「悲しい日でも、この音色がそっと寄り添ってくれますように。」
幸せをたくさん集めた手紙は、ようやく届け先へ。
受け取った人が封を開くと、不思議なことが起こります。
文字を読むたびに、甘いアイスの香りがふわりと広がり、どこからともなく優しい音楽が聞こえてくるのです。
思わず笑顔になったその人は、小さくつぶやきました。
「なんだか今日は、いい日になりそう。」
それを見届けたペンギンの郵便屋さんは、帽子をちょこんと持ち上げて、また次の手紙を届けに歩き出しました。
今日も町のどこかで、誰かの「幸せ便」が、小さな幸せのおすそ分けを運んでいます。
片桐みかんさんのこちらのお題に参加させていただきました👇️✨️
