眠れない三日月と、やさしい願いごと
夜の街が静かに眠り始めるころ。
窓の灯りがひとつ、またひとつと消えていく空の上で、三日月だけは眠れずにいました。
ふわふわの雲のお布団にくるまっても、お気に入りの絵本を読んでも、なかなか眠れません。
机の上の時計を見ると、もうすぐ午前0時です。
「どうして眠れないんだろう……」
三日月は、小さくため息をつきました。
毎晩、空の上からみんなの願いごとを聞いていたその子を、星たちはいつしか「眠れない三日月」と呼ぶようになっていました。
夜風に乗って届くのは、うれしい願いだけではありません。
「明日はうまく話せますように」
「大好きな人が元気になりますように」
「今日の涙が、朝には乾いていますように」
三日月は、そんな願いごとをひとつ残らず抱きしめていました。
誰かの不安も、寂しさも、悲しみも。
全部受け止めようとしていたら、胸の中がいっぱいになってしまったのです。
だから、眠れなかったのでした。
そのとき、机のそばにいた小さなくまのぬいぐるみが言いました。
「全部ひとりで抱えなくても大丈夫だよ」
くまのぬいぐるみは、まるで夜空の秘密をずっと知っていたかのように、優しく微笑みました。
「願いごとは、叶えるためだけにあるんじゃないんだ。誰かに話せた時点で、心は少し軽くなるんだよ」
三日月は、はっとしました。
空を見上げると、星たちが小さく瞬いています。
まるで「大丈夫だよ」と言ってくれているみたいでした。
三日月は、みんなの願いをそっと星たちへ預けました。
すると、不思議なくらい心が軽くなっていきます。
「今夜は眠れそう」
そうつぶやいた三日月は、ふわふわの雲のお布団にもぐりこみました。
優しい寝息が、夜空に静かに溶けていきます。
眠れない夜があるのは、きっと優しい証拠。
誰かのことを考えすぎてしまう日も、ひとりで抱え込まなくて大丈夫。
願いごとは、空に預けてしまおう。
明日の朝には、きっと少しだけ心が軽くなっているから。
🌙✨
おやすみなさい。
あなたの願いが、優しい星明かりに包まれますように。
片桐みかんさんのこちらのお題に参加させていただきました👇️✨️
