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025. “自分らしさ”迷子、上等:アンチアイデンティティ入門

4月になりました。年度末を経たこともあり、卒業や新しいスタートに関する投稿やお話を耳目にしました。寂しさもありますが、同時に、新しい人生の幕開けでもあるので、僕はこの時期、結構大好きだったりします。

そんな僕も、SNSではあまり公にしてませんが、2025年度は、大阪と香川のお仕事を約半分ずつに減らすことになりました。Catalyskiという僕の会社としてはね、開業3年目にして、月の半分のスケジュールが空くという未体験ゾーンでして、もちろん打撃が無いわけではないのですが、抱えてばかりいて手放すことができないと、新しいものを掴むことはできないわけなので、会社としても次のステップに進むために、勇気を持って一歩を踏み出すことにしました。
完全に離れるわけではありませんので、引き続き、お世話になるとは思いますが、頻度が少なくなるので、ご了承ください。


という業務報告はこの辺にして、本題。
でも、実は全く関係のない話ではなくて、僕の働き方とある種の”いかがわしさ”は、今日のテーマと繋がっている部分があります。ということで、今日のお品書きは以下の通りです。

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1. その質問、そろそろやめてもらっていいですか?

「何をやってる方なんですか?」

僕はよくこの質問をされます。5枚の名刺を持っているからなのでしょう。業種も職種も全部違うことに取り組んでいることを話すと、相手はたいていキョトンとした顔で苦笑して、その後は踏み込んで聞いてこない。

そんな経験を繰り返すと、説明するのが面倒になり、聞かれる度に「節操なく色々やってます笑」とだけ、とりあえず答えるようになった。

昔から、僕はなんでもそれなりにこなすけど、何度となく”器用貧乏”だと色んな人から言われた。どうやら、この世の中は、幅広くこなすやつは"損"で、何か一点突破で強いものを持ってる人が"すごい"らしい。

色々なことをするというスタイル

そんな経験を経て、今ではこう思っている。
「何をしているかがわかりにくい」のが、むしろ自分なりのスタイルそのものなのだと。

たとえば、ひとつの肩書にこだわらず、いろんな仕事や人との関わりを持って良い。 たとえば、趣味は幅広く何個あっても良い。他者から見たら、一見バラバラだとしても、大事なのは、自分の中にちゃんと意味と《一貫性》があるということ。そんな働き方、生き方もあるんじゃないかと思っているし、否定される筋合いはどこにもないよね。


2. まだ誰も遊んでいないゲームを探して〜アンチアイデンティティという考え方〜

最近耳にした「アンチアイデンティティ」という言葉が、僕にはとても腑に落ちた。

これは、「自分はこういう人間だ」と決めすぎないことを大切にする考え方。社会では「選択と集中」が良しとされる傾向があるけど、あえてそれをせず、関心や活動を《分散》し続ける

なぜなら、まだ誰も手をつけていない“新しいゲーム”は、そうした分散の中にこそ隠れているかもしれないから。分散し続けた結果、何かと何かが組み合わさった先に新しい世界が待っていると思ったら楽しくない?


3. “いろんな顔”があるって、実は武器になる

「分人(ぶんじん)」という考え方がある。小説家・平野啓一郎さんが2012年に提唱した概念で、僕はこれまで何度もこの概念に救われてきました。

人はひとつの“個”ではなく、相手や場所によって違う“分人”として生きていて、たとえば、家族の前では優しく、仕事では論理的で、趣味の場では無邪気になる。 どれかが“本当の自分”ではなく、《分人すべてが自分》・・・そんな考えです。

アンチアイデンティティな生き方は、この分人という発想ととても相性が良いと感じています。僕自身、複数の分人を持っている自覚はあって、それらを混ぜて、行き来しながら、時に分人の間で影響を与え合って、分人を変容させながらひとつの"自分"を形づくっています。


4. 「〇〇界隈」をつなげ〜受粉を媒介するハチのような生き方

じゃあ、その分散させた分人をどうやって、変容・進化させていくのか。

そのヒントは、たとえば、最近よく聞くようになった「界隈」にあるように思います。 ここでも以前取り上げましたね。趣味や興味を共有する、ゆるやかな集まりで、そこに明確なルールや上下関係はありません。

僕はこの界隈という言葉の持つ感覚がすごく好きだし、僕は、複数の界隈に“所属”ではなく《接続》しているつもりだ。この、接続ってのが大切で、必要に応じて関わり、無理せず離れられることができる、そんなライトなつながりが、むしろ新しい刺激やアイデアと視点を運んでくれたりします。

そして、異なる界隈で得た感覚や経験を《ミックス》することで、 自分にしかない独自のスタンスや、新しい界隈が生まれてくる可能性もあるわけ。


5. “なんとなく”が世界を変える〜最適化しないという選択

もう一つの分散のさせ方は、偶発に身を委ねるということ。

今の社会は「最適化」や「効率化」を追い求めがち。コスパとかタイパって言葉もその延長だと思います。でも、すべてを最適化しようとすると、予想外の出来事や偶然の出会いが入り込む余地がなくなるという問題の深刻さにあまり気づかれていないように思うんです。

むしろ、「あいまいさ」や「よくわからなさ」を受け入れることが、新しい発想や価値につながる。 アンチアイデンティティなスタンスは、そんな偶然やズレを許容する《ゆるさ》を持っている。

そしてこれは、「自分らしさ」という基準を《固定》しすぎないことでもある。「自分はこういう人間だから、これはやらない」「これは似合わない」といった“らしさ”との照合を手放すことで、 もっと自由に動けるようになる。

僕自身、 「それが面白そうかどうか」 「その人と一緒にいたら、どんな化学反応が起きるか」 「それによって自分が変化・成長できるか」 といった、僕の中でも日々変化し続ける“変数”のような基準で考え、何かを選ぶことが多い。

だからこそ、執着することなく、手放しやすくなるのだと思います。 それが結果的に、創造性やセレンディピティを呼び込む《余白》になっているのだと思う。


6. 「赴く」ことで生まれる「趣き」〜移動と接続が運ぶ創造性〜

「創造性は累積移動距離に比例する」

そんな言葉があるけれど、これは物理的な距離だけの話ではない。

人と会う、場所に行く、違うコミュニティに顔を出す—— そうした行動そのものが、新しい視点や気づきを連れてきてくれる。

たとえば僕は、大阪で仕事をしていたとき、ふと香川のプロジェクトの話をした。 すると、「香川出身の人がいますよ」「実は香川に関わっていて…」と話題が広がり、不思議なご縁がつながっていったことがある。

共通点は地名だけ。
でも、そういう細い糸口からでもつながろうとするのが人間なのかもしれませんね。

移動距離10万km

ちなみに、昨年の2024年度、住まいの横浜から仕事で大阪・香川を毎週のように行き来したので、僕の移動距離はおそらく10万km近いと思われる。
これは地球を約2周するほどの距離らしいwww

ほぼ土日しか家にいない生活は移動コスト(お金も時間も)は高いし、効率も悪い。それでも、必要としてくれるのなら、その場所に赴(おもむ)くのが僕のスタンスになってきた。
だから、発想を転換して、どうせ家にいないのなら、家族も連れてお取引先のある土地に一緒に連れていくことにした。そしてお取引先に家族を紹介することもあった。そんな体験は息子にとっても刺激的で、新鮮だったみたいで、これもきっと息子の視野を広げるに違いないと思っています。

《おもむく》という言葉が持つ意味の深さ

ここで、ふと日本語の面白さを感じたりします。
「赴く(おもむく)」は「趣く」とも書きますよね。基本的には同じ意味らしいけど、「赴く」とはある場所に向かうことであり、「趣く」は思いや考えがある方に向かうことらしいです。機能的か情緒的かの違いみたいなことなのかな。

漢字の成り立ちや背景は置いておいて、僕の勝手な解釈ですが、「赴く」と「趣く」はお互いに影響し合っているように思うのです。
①とりあえず移動することで、結果的に、心が動くようなものに出会う可能性が増すし、②心の趣くままに任せてとりあえず動いてしまうというのもすごく良いと思うのです。

人は楽しいから何かをするのではなく、何かをしていたら楽しくなるって説がありますが、こういう情動論的なものが好きな僕としては、移動はとても重要だと考えています。

行動半径と接続数

だからといって、年間◯万kmの移動をしよう!などと物理的な距離で競い合うような安直な話をしたいのではなく、むしろ移動とは《アクション》とも置き換えることができると思っていて、距離以上に、「行動半径(行動範囲の広さ)」と「接続数」の方が大事なように思います。

人と会う、場所に行く、違うコミュニティに顔を出す—— そうした行動そのものが、普段とは違う新しい視点や気づきを連れてきてくれるので、結果的に創造性を育む可能性が高まりますよね。


Catalyski-2025のテーマは「運」

以上のとおり、分人を抱えながら生き、界隈を渡り歩き、赴くことで偶然に出会い、創造性が育まれ、趣になる・・・そんな生き方に魅力を感じる僕が、今年大切にしたいと思って年始に掲げたテーマが《運》でした。

2025年、Catalyskiは「運」をテーマに活動していく。 それは、“偶然に期待する”というより、“偶然と出会いやすくなる行動を選ぶ”ということ。

別にそういう生き方をみなさんに無理にオススメはしません。
でも僕は自分がやりたいからやる。そして、起こった良いことも、悪いこともここでネタとして発信する。それをこれからも楽しんでいただけたら嬉しく思います。

そして、よかったら、このnoteを読んでくださっている皆さんにも、ぜひ「セレンディピティ界隈」の一員として、 それぞれが接続している他の界隈に、セレンディピティや、今回のような価値観を“運んで”もらえたら嬉しいです。

せっかくなら僕をティーアップしてくれる方がいたら、それはとてもありがたい。僕1人の発信ではできることに限界がありますから。一緒にこの『セレンディピティ界隈』を盛り上げて欲しいです。

ちょうど、
界隈をまたぎながら受粉させるハチのように、
あなたが媒介者となることで、
新しい出逢いが生まれるかもしれません

おまけ

◽️自分の“分人”を書き出してみよう
紙でもスマホのメモでもOK。
あなたが場面や人によって自然と出している“顔”や“キャラ”を書き出してみましょう。

公式LINEアカウント登録者には、上記のワーク以外も+αで紹介する予定です。


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三上浩紀:Catalyski CEO | セレンディピティオタク| 点と点をつなぐ人 | 8枚の名刺 いただいたサポートは、私の知見を広げてくださる出会いとの交流に充てます。具体的には、お茶代、本代、もしくはここで繋がった方とのコミュニケーション代などです。それをnoteへの投稿で還元していきたいと思います。