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【シナリオ感想】「スクライド」〜アツさを感じろ!そう思うだろおまえも〜

「名作から学ぶシナリオ」のコーナーです。
ここでは筆者の個人的な感想と、そこから自分が学んだことをアウトプットしていきます。
ガッツリネタバレもあるので、「ネタバレは嫌だよ!」という方は、このままページを閉じてくださいね


第12回目は「スクライド」の感想

2001年に放送されていた全26話のこのアニメ。
当時中学生だった私は夢中になって毎週見ていました。
監督は谷口悟朗さんで、脚本が黒田洋介さん。
とにかくアツい。格好いい。
「そう思うだろ おまえも」

今回のポイントはこの4つ。

①「カズマ」と「劉鳳」対照的な2人の主人公
②OPと各タイトルの演出
③アツすぎるセリフ
④意地と意地のぶつかり合い

①「カズマ」と「劉鳳」対照的な2人の主人公

舞台はロストグラウンド。
横浜を中心とした一部の土地が、突然の大隆起現象で日本本土から隔絶した場所。
ロストグラウンド生まれの2%の新生児は、アルター能力者と呼ばれる特殊能力を持つものおり、かれらはアルター使いやネイティブアルターと呼ばれている。
アルターを使って犯罪を行うアルター犯罪者を取り締まるために、武装警察機関HOLDの内にはHOLYと呼ばれるアルター能力者部隊がいた。この物語は、非合法の依頼を請け負う便利屋のアルター使いカズマと、HOLYに所属するエリートの劉鳳(りゅうほう)との出会いから始まる。

ーーというのが最初のストーリーライン。
主人公のカズマは、ロストグラウンドで相棒の君島と一緒に便利屋をしている少年です。
性格は短気で喧嘩っ早く、身勝手で負けず嫌い。
己の拳を変化させるパワー勝負の強いアルター能力を持っていて、負け知らずだったが、初めて劉鳳にボコボコにされて敗北してしまいます。

もう1人の主人公がこの劉鳳。
カズマとは対照的に冷静で頭がいい。HOLYに所属し、己の信じる正義を貫く男です。
かつて名家の子息だったが、母親を謎のネイティブアルターに殺害されたと思い、HOLYに入隊してネイティブアルター狩りをしています。
最初は実力差があったため、カズマのことを相手にしていなかったが、カズマがどんどん成長していき、やがてライバルとして認めていくようになります。

2人の取り巻く環境もそれぞれ。
カズマは、ロストグラウンド内の崩落地区の廃病院でかなみという少女と住んでいます。
荒くれ者のカズマですが、かなみの前ではアルター使いであることを内緒にしていて、優しいけれど甲斐性がない情けない男を演じています。
彼女と相棒で悪友の君島には心を開いており、彼にとってはかけがいのない2人です。また、一緒に戦いを共にしたネイティブアルター達にも情を持っていきます。

一方劉邦は、HOLY部隊の仲間達がいるものの、誰に対しても心を開けないでいます。幼馴染の水守(みもり)という科学者の女性や、同僚のシェリスから想いを寄せられていますが、その心は復讐心に囚われており、2人の気持ちに応えることもしません。

物語の序盤では、劉鳳をライバル視してボコボコにしてやりたいカズマと、復讐に囚われてネイティブアルターを探す劉鳳の姿が描かれます。

ところが、物語はガラリと動きだします。

②OPと各タイトルの演出

この作品の大きな魅力の1つが、ストーリーの進行とともにOPがどんどん変わっていくこと。

まず、カズマと劉鳳のアルターが進化するたびに、どんどん強化された格好いい絵になっていきます。
そして、登場人物がなくなると、その人物から色が消える演出が追加されます。

物語が大きく動くのは、カズマが相棒の君島を失う回
この12話を境に物語は一気に動き出します。

HOKYの作略で、悪者に仕立て上げられたカズマを助けようと、カズマの元に単身向かう君島は、その途中でHOLDの射撃を浴びる。
自分を鼓舞しながら、カズマをアシストする君島。
2人は勝利をおさめ、気がつくと君島はカズマにおぶられている。
たわいない話をしながら帰路につく2人。
しかし、かなみの待つ家についた時、君島はカズマの背中で絶命していた。

次の話から、OPの君島は色が無くなります。
あぁ、もう君島は死んでしまったんだ。。
とカズマと一緒に悲しい気分になる演出で、心をグッと掴まれます。

また君島がなくなる回には、第12話「君島邦彦」というストレートに彼の名前がタイトルになっています。
スクライドでは、タイトルに人の名前や、アルターの名前等ストレートなものが多いのですが、後半になっていくと、どんどん主要キャラクターが退場していくので、タイトルに名前がついた……ということはこの人もしかして死亡フラグ!?と結構ドキドキします。

さて、君島を失った事件がきっかけになり、カズマはHOLYそして劉鳳と全面対決することに。
君島を失った怒りで暴れるカズマと、カズマによって仲間を傷つけられて激昂した劉鳳は、激しい戦いになり、2人のアルターのぶつかり合いは異次元壁「向う側の世界」を開いてしまいます。

ここから物語はガラリと変わります。
時間がしばらく立って、カズマも劉鳳も行方不明になっており、彼らの周りにいた人々は心配しているのですがその消息がなかなか掴めません。

そんなある日、カズマと別れたかなみは、危機一髪のところを記憶を失った劉鳳に助けられます。
自分のことを忘れてしまった劉鳳はしばらくかなみ達と穏やかな日々をネイティブアルターとして過ごします。
また、カズマは自暴自棄になり闘技場でボロボロになるまで戦っているところを、劉鳳の幼馴染の水守に発見されます。

そう、カズマと劉鳳はそれぞれ自分がいた居場所を離れ、ライバルの大事な人と関わり、自分を見つめ直す時間があるんです。

カズマは大事な人達を失って、弱い自分と向き合います。
また劉鳳も、自分が信じてきたものが嘘だったと知り、ならば自分の正義とは何なのかということに葛藤していきます。

2人はお互いのことをだんだん深く知り、憎まれ口を叩き合いながらも認め合い、共闘していくことに。

ここで、OPの歌詞にも注目。
よく聞いてみると、たびたびカズマと劉鳳メインの映像が切り替わっており、歌詞も1番と2番に変わっているんです。
「奪え!全て!この手でたとえ心傷つけたとしても目覚めた本能(ちから)体を駆け巡る」
というカズマサイドの歌詞に対して、
「傷つくのが怖いのか?上手くズルく生きて楽しいのか?果てある旅路 何をカッコつける」
2番ではこのように劉鳳サイドになっています。

Reckless fireという井出泰彰さんの歌なんですが、回を重ねるごとに映像と歌詞がどんどん気持ちを盛り上げていく、素晴らしい作りになっているんです。

物語だけではなく、OPやタイトルからも視聴者の気持ちを盛り上げる工夫がされていて、放送時間の最初から最後まで目が離せない作りになっています。

③アツすぎるセリフ

スクライドの魅力といえば、何といってもそのアツすぎるセリフ達。

まずはカズマのセリフから。

「一度買うと決めたら、自分が選んだなら、決して迷うな。迷いは、それが他者に伝染する。選んだら進め、進み続けろ」

「うだうだ悩んでいる時間はねぇ、迷っている時間もねぇ!だったらどうする!やれることをしないで慌ててるだけじゃ、何も解決しないんだよ!」

「そうだ、死ぬのが怖いわけじゃない。何もせずに死ぬのが、怖い。なんの証も立てないまま、朽ち果てるのは、それだけは、死んでもゴメンだぁー!!」

この3個のセリフだけでも、カズマの真っ直ぐで乱暴な言葉遣いだけど、自分の信念を持っていることが伝わってきませんか。

一方の劉邦はこんなセリフ。

「俺にはわかる。俺の中にある何かが、おまえたちを開くだと確信させる。あぁそうだ、、、お前たちは、悪だ!」

「悪は処断されなくてはならない。罪は処断されなくてはならない」

「力が欲しいわけじゃない。ただすべての人々が正しく生きる場所が欲しかった。それだけだ…。あぁそうだ、今もそうだ。そのためにもこの男をたおさねばならないのなら、もはや他には何もいらない!いるものか!」

真面目で、己の中にある正義が垣間見えるセリフです。
カズマと比べるとアツいながらも知的で、理性的なセリフになっており、セリフを見ただけでも、この人だ!とすぐにわかります。

まだ絵がついていない脚本段階でも、この人しか言わない、このキャラクターが言った言葉だ!とすぐにわかるセリフ回しのオンパレード。

またこの作品で魅力的なセリフ回しといえばこの人。
HOLY部隊のクウガーというせっかちで、スピード狂の人物です。

「お前に足りないものは、それは〜情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!そしてェ何よりもォーーーーーー速さが足りない」

セリフ回しはこのように難しい単語を織り交ぜながら、めちゃくちゃ早口でまくしたてるように話します。
特にアルターを使って車を乗り回しているときや、攻撃しているときはこの口調であり、いつもおちゃらけていて、人の名前を正しく言えません。

ですが、想いを寄せていた水守との別れの決めのシーンでは、ずっと間違えていた彼女の名前を正しく言って。

「合ってるでしょ」

と一言だけ短く告げます。
こうやって、特徴的なセリフで印象付けておきながら、大事な決めのシーンでは、短く大事なことだけを言う
こうすることで多くのセリフを喋るよりもずっと、彼の覚悟や、彼女への想いがより伝わってくる素晴らしいセリフです。

④意地と意地のぶつかり合い

共通の敵を倒したカズマと劉鳳。
25話では、大団円の雰囲気になり、それぞれ想いを寄せる女性に対して別れを告げるシーンもでてきます。
これで、最終回でもまったく問題ないんですが、まだケリをつけていないことがあるんです。
そう、それはカズマと劉鳳の喧嘩の決着です。

ヒロイン達からすると、もうそんなこと意味ないからやめてくれ!!
2人ともお互いを認めて、共通の敵を倒したんだからもういいじゃん!
と思うような場面です。

しかし、そこは男同士の意地と意地のぶつかり合い。
なんと26話はカズマと劉鳳の本気の殴り合いでほぼ終わります。

意地と意地のぶつかり合いの結果、一人の腕が上がります。
土煙でどっちの腕かよくわかりません。

ところが、グッと握った拳の握り方は、カズマの特徴的な握り方そのものでした。

握られた拳のままエンドロールが流れ、その後少しだけ時間がたったロストグラウンドが描かれます。
カズマといつか会えると信じ続けている大きくなったかなみの語りのあと、以前よりアルターの力でボロボロになったカズマと劉鳳の2人が戦いに身を投じ続けている様子が映って……。
というラスト。

物語としては25話の時点で締めくくられているのですが、最後の最後にどちらが強いか、ちゃんと決着をつける。
お互いをよく理解したからこそ、2人は正反対でありながらよく似ていることを自覚します。

「そう思うだろ、お前も」

キャッチコピーで描かれたそのセリフ。
最後は、余計なセリフも、ストーリーもいらない
ただ、そのアツさ感じるラスト。

最後に

皆さんはこのラストをどう思いましたか。
26話にこの話がある意味。
この作品が貫いた男たちのアツいドラマに、
あなたの胸にも言葉で言い表せないアツい想いが宿ったのではないでしょうか。

★今日のやる気1%のシナリオのつぶやき

  • 主人公が2人いる場合はキャラクターの違いをハッキリさせる

  • OPやタイトルでも視聴者の気持ちを盛り上げる工夫をする

  • セリフだけで誰が言った言葉かわかる

  • セリフもストーリーもいらないラストシーンも魅力的


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