カエル化現象は免罪符か〜恋愛で幻滅する本当の理由〜
「カエル化現象」という言葉が市民権を得つつある。
交際相手のふとした行動に幻滅し、好意が雲散霧消する。そういう意味らしい。でも、この言葉を免罪符のように使う人を見ると、激しい違和感を覚える。
自分が選んだ相手に幻滅する。それは自分の見る目がなかったということだ。なのに、まるで相手の所為のように言う。そこに引っかかる。
言葉の由来
もともとは心理学用語だった。
グリム童話「かえるの王様」が元になっている。呪いで蛙にされた王子が、王女のキスで人間に戻る話。現代の用法は逆だ。素敵だと思っていた王子様が、気持ち悪い蛙だったと気づく瞬間を指す。
言葉の響きが可愛いからSNSで広まった。「カエル化しちゃった」と言えば深刻にならずに済む。その軽さが問題を覆い隠している。
どんな時にカエル化するのか。店員への態度が横柄。食事の仕方が汚い。元カノの話が多い。LINEの返信が遅い。趣味の話が長い。
気になる気持ちは分かる。でも冷静に考えれば、付き合う前から分かったはずのことばかりだ。何度か会えば、店員への接し方も食事の様子も見えてくる。
見ようとしなかっただけだ。
好きになった相手の欠点は、脳が自動的に排除する。見たいものだけを見て、都合の悪い部分は無意識に無視する。それを後から「カエル化した」と言うのは、自分の観察不足を棚に上げている。
もう一つの言葉
「肉便器化現象」という言葉も見かけるようになった。
「カエル化現象」の対義語として作られた造語だ。男性が女性の過去の恋愛遍歴や性的な経歴を知った時、急速に恋愛感情が冷める現象を指す。
言葉自体が女性を物扱いしていて、極めて侮蔑的だ。「カエル化現象」が比喩として成立しているのに対し、こちらは完全な人格否定。
でも構造は同じ。
相手の過去や一面を知って幻滅する。それを相手の責任にして、自分は被害者のような顔をする。結局、自分が勝手に相手を理想化していただけなのに。
逆の立場で
自分がカエル化される側だったら、どう思うか。
些細な癖や過去の恋愛を理由に、急に冷たくされる。「あなたのここが無理になった」と言われる。でも自分は何も変わっていない。最初からそうだった。
きっと理不尽に感じる。
相手が勝手に理想を押しつけて、勝手に失望しているだけだと分かるから。自分は何も悪くない。選んだ相手が悪かっただけ。
それなのに、自分が幻滅する側に回ると、途端にそれが見えなくなる。
選んだのは自分
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