僕だって煙草が体にいいと言っているわけじゃない
「僕だって喫煙が体にいいと言っているわけじゃない。
けれど、日々犯されている政治的、社会的、そして生態学的な非道に比べれば、煙草なんて小さな問題に過ぎない。
人は煙草を吸う。これは事実だ。たとえ体によくなくても、喫煙を楽しんでいる。」
──映画『スモーク』より
このセリフ、今でもすごく好きです。
最初に出会ったのは、漫画『バーテンダー』6巻の
「Glass40 葉巻の煙(前編)」で。
当時は私も、バリバリに酒もタバコもやってた時代でした。
最近、このセリフをまた目にする機会があって──
日本の依存症分野で著名な松本俊彦先生の本『みじかな薬物のはなし』、その中の「ニコチン」の章でも紹介されていて、懐かしさとともに、いろいろ考えさせられました。
もう煙草は吸ってない。でも、気持ちは変わってない
今はもう煙草も吸っていません。
でも、このセリフの本質には、いまでも強く共感しています。
「煙草が体にいいとは思ってない。
けれど、社会の中で日々起こっている非道に比べれば、それはほんの小さなことじゃないか。」
そう思うんです。
これは、「喫煙を肯定する」という話ではなくて、
「人の行動や選択を、切り捨てる前に理解しよう」という姿勢の話だと、私は捉えています。
煙草は、ある意味でハームリダクションを達成している
最近ではもう、煙草に対する社会的対応はかなり進んできました。
分煙
飲食店・公共施設での喫煙禁止
禁煙外来(保険適用)
受動喫煙対策
いわば、煙草は「ハームリダクション的対応」がある程度整った存在なんじゃないかと。
🌀 ハームリダクションって?
※参考:**ハームリダクション(Harm Reduction)**とは
薬物依存や使用に対して「完全にやめさせる」のではなく、
「それによって生じる害をいかに減らすか」を重視するアプローチです。
たとえば、清潔な注射器の提供や、安全な薬物使用環境の整備など。
使用を続ける中でも、命や健康を守るための取り組みです。
むしろ今こそ、アルコールのハームリダクションを
正直、今の日本社会において「悪役」にされやすいのは煙草です。
確かに健康への影響も大きく、対応が必要なのは事実です。
でも、その一方で、アルコールのハームリダクションはまだまだ進んでいないと私は感じています。
飲酒運転
アルハラ(飲酒強要)
深夜営業、飲み放題文化
家庭内暴力や依存症への無理解
「お酒=楽しいもの」という前提があるせいで、社会全体でアルコールに甘すぎるという現実。
僕だって酒が体にいいと言っているわけじゃない。
でも、だからこそ思うんです。
「日々犯されている政治的、社会的、そして生態学的な非道に比べても、
実は酒の方がずっと大きな問題かもしれない。」
このセリフを“煙草”から“酒”に置き換えてみたとき、
私は、過去の自分自身に強く重なるものを感じました。
最後に:依存に“良い”も“悪い”もない。あるのは「どう向き合うか」
煙草、酒、カフェイン、薬物、ギャンブル──
何に対してであっても、「依存」という言葉だけで一括りにして、切り捨てるのは簡単です。
でも、そこにその人なりの理由があることを、ちゃんと見つめる姿勢が大事なんじゃないかと思う。
それが、私にとっての「ハームリダクション」という考え方です。
