手をつなぐだけで痛みや不安がやわらぐ? 心と体の不思議なつながり
こんにちは。
メンタルウェルネスあおぞらです。
出産シーンをテレビやドラマで見たことはありますか?
陣痛に苦しむお母さんが、そばにいるパートナーの手をぎゅっと握る場面。実はこれ、単なる気休めではなく、本当に痛みや不安をやわらげる力があるそうです。
たとえば、どこかに足をぶつけたときに思わずその部分をさすったり、胃カメラ検査のときに看護師が背中をさすってくれたりするのも、同じ仕組みで私たちの心身を安心させてくれる行動だといえます。
自分の体験から感じたこと
私自身も、小さい頃に病院で注射を打つとき、母がそっと手を握ってくれたことを覚えています。
あのとき、針が刺さる痛みよりも「手の温かさ」や「握られている感触」の方に意識が向き、不思議と安心できました。
子どもながらに「一人じゃない」という気持ちが支えになっていたのだと思います。
触覚は痛みより優先される?
実際に科学的にも「触覚の感覚が痛覚より優先される」ことが知られています。
古くから提唱されている ゲートコントロール理論(Melzack & Wall, 1965) によれば、触れられたときの刺激は脊髄で痛みの信号を抑え、痛覚処理を弱める働きをするのです。
つまり、人は強い痛みを感じていても、同時に「触れる感覚」があると、注意がそちらへ向かいやすくなり、結果として痛みを軽く感じることができます。
共感とシンクロの力(Goldsteinらの研究)
さらに近年の研究(Goldsteinら, 2018)では、人と人が触れ合うことが痛みや不安をやわらげることが確認されています。
特に、パートナーが手を握るとき、その「共感の度合い」が高いほど、痛みや不安が軽減する効果が大きいことが示されました。
また、心臓の鼓動や呼吸、さらには脳の活動までがパートナー同士で同調(シンクロ)していくことも観察されました。
この「脳と脳の同期(ブレイン・カップリング)」が強いほど、痛みや不安がやわらぐことも報告されています。
まとめ ― ケアの現場にも生きる「触れる力」
薬のように即効性があるわけではありませんが、大切な人がそばにいて手を握ってくれるだけで、心も体も安心して痛みや不安がやわらぐことがあります。
医療や福祉の現場でも、この「触れる」という行為はとても大切です。手を握る、肩にそっと触れる、寄り添って座る――そうした小さなふれあいが、患者さんや利用者さんにとって大きな安心につながります。
ただし、そこに信頼関係がないとトラブルになったり、逆効果になることもあるので注意が必要です。
科学も少しずつ証明し始めていますが、昔から人が自然に行ってきた「ふれあい」こそが、人を支える力になるのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
引用元
ゲートコントロール理論:Melzack, R., & Wall, P. D. (1965). Pain mechanisms: a new theory. Science, 150(3699), 971–979.
脳の同期と痛み・不安の軽減に関する研究:Goldstein, P. et al. (2018). Brain-to-brain coupling during handholding is associated with pain reduction. PNAS.
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1703643115
