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映画『スクラップ・ヘブン』を観て

子どもの頃、自分が正義のヒーロー(ヒロイン)になって、悪の結社と戦うことをよく想像していた。  
けれど年齢を重ねるにつれ、そんな空想はどこかへ消えてしまい、現実のことばかり考えるようになった。

この映画は2005年に公開され、今回21年ぶりにリバイバル上映された。  
正義の味方を夢見て警察官になった主人公は、ある事件をきっかけに“テツ”と呼ばれる男と出会う。  
その男がふと口にした。

「この世の中、想像力が足りねえんだよ」

その言葉に主人公の心が揺れ、2人は“復讐代行”という名のゲームを始める。  
最初は遊びのつもりだった。  
けれど、そのゲームは少しずつエスカレートし、取り返しのつかない事件へと転がり落ちていく。

“テツ”は誰とも繋がれず、世界がどうなろうと自分がどうなろうと、どちらでもよかった。  
もうひとり、冒頭の事件に巻き込まれた薬剤師の女性は、世界から拒絶され、この世界そのものが消えてしまえばいいと願っていた。

絶望している二人よりも、むしろ主人公の未熟さのほうが痛々しかった。

主人公はとことん幼稚だった。  
行動には想像力が欠け、自分の犯した罪を受け入れられず、罪から逃げようとする。  
ただ映画は、主人公を否定も肯定もしない。  
観客に判断を委ねてもいない。  
それは主人公自身の世界であり、主人公の内側としてただ提示されている。

現実のことしか考えられなくなってから、久しく想像を広げることがなかった。  
それでも、この映画を観て、感想についてあれこれ想像することは、久しぶりに楽しい時間だった。

最後、フジファブリックが歌うエンディングで  
“おぼろげに見えるさきに、花を咲かせる”  
という歌詞が流れる。  
その“花”を感じるには、きっと想像力が必要なのだと思った。

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