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息子の背中。

高校受験を目前にした中学3年生の息子のお話です。息子は、中学入学と同時に、お姉ちゃんの影響でテニス部に入部しました。「やるからには、最後まで頑張ってほしいなぁ~」親として、はじめはそう思っていました。

ところが、そんな親の心配もどこへやら…。毎日部活に励み、いつしか、「テニスができないのなら、学校に行く意味がない」とまで言う始末。「それくらい勉強してくれたら良いのにな~😅」受験生を持つ親として、誰もが経験する通過点を感じる一方で、「でも、こんなにもテニスが好きなんだ…。」そんな、テニスに対する息子の情熱に、心から感動している私も確かにいるのです。

私は、そんな息子に看過され、ふと自身の中学生時代を振り返ってみました。「自分が中学生の頃、果たしてこんなにも何かに夢中になったことがあっただろうか…。」お互いを現役中学生同士として比べてみた時、息子の方が遥かにあの頃の私を超えていることを実感しました。

「絶対に勝つ!!優勝するまで絶対にあきらめない!!」…。そんな日々の練習のかいあって、2年生になった息子は、念願の区内大会に出場することができたのでした!!

「頑張れ~、頑張れ~っ!!」点数が入るたびに、私は自身の手のひらが赤く熱くなっていくのを実感しながら、ずっとずっと心の中で叫び続けました。「いいぞ~っ、その調子だ~っ😆!!」

そして、いよいよ決勝戦!!「あと1点、あと1点…」プレッシャーと大歓声が入り乱れる中、ついに息子のスマッシュが相手コートを完璧に捉えたのでした😆!!

「やったー!!」「やったぞ~っ!!」悪戦苦闘しながらも、強豪校相手に、学校創立以来の優勝旗が、ゆっくりと息子に手渡されたのでした😆!!

「おめでとう!!おめでと~う!!」そんな祝福ムードの中、優勝旗を手にした息子の中では、もうすでに新しい炎が灯っていたことなど、私は知るよしもありませんでした。

「来年も優勝だ!!」声をあげる息子に、私も思わず「優勝するぞ~っ!!」…。

あくる日も、またそのあくる日も、部活がない日は部員たちと近くのテニスコートで猛練習…。余計なことは言いまいと心に決めていたのですが、私は息子に一言だけこう言いました。「たまにはゆっくりと体を休めたら…。」

すると息子から、「明日、グリップを張り替えたい🎾」。そんな息子の情熱が、まるで時を早送りさせているかの様に、グリップをすり減らしていったのでした。

そして、いよいよ息子も中学3年生。相変わらず練習に汗を流す日々。「明日の区内大会も、絶対に優勝してやる~っ!!」そんな息子に、私は、「あした朝が早いから、もう寝なさい…。」そう言って、家族で朝を迎えることになったのでした。

“ジリリ~ン!!”“ジリリ~ン!!”みんなが寝静まる中、誰よりも先に息子の目覚ましがけたたましく鳴り響きました。「しっかり食べて、しっかり水分補給をして、気を付けていってらっしゃい😊」

昔から、親の背中を見て子は育つという言葉がありますが、私には、試合会場へと歩を進める息子の後ろ姿が、今までの何倍も大きく見えたのでした。

応援席に腰をおろすと、開会式の中に凛とたたずむ息子の姿がありました。試合前のウォーミングアップ…。張り替えたばかりのグリップの感触を確かめるかのように、息子がコートの脇で必死にラケットを振っています。

そして、いよいよ試合開始です!!「やったー😆!!」第1戦は息子チームの勝利!!その時の息子の笑顔を、私は一生忘れることはないでしょう。

そして、第2戦。この試合が、息子の成長を改めて感じる場面となったのでした。と同時に、こんなにも落ち込んでいる息子の姿を、親として今まで一度も見たことがありませんでした。試合の結果、優勝という目標が絶たれてしまったのです。

相手チームが満面で喜んでいる中、その歓声をかき消すように、私は精一杯の言葉を息子に伝えました。「良く頑張った😄!!。カッコ良かったぞ😄!!。」もはや、どんななぐさめの言葉も、息子の心に届くことはありませんでした…。

「もう、このままそっとしておこう…。」そんな私でしたが、最後に一言だけ伝えました。「いつも言っているように、あなたはかけがえのない宝物😊。そして、お姉ちゃんのことも全く同じ宝物😊。親として、子供たちのことを命がけで愛しているんだよ😊…。」

何を言っても聞く耳を持ってくれなかった息子ですが、私の最後の一言にだけは、涙を浮かべながらしっかりとうなずいてくれたのでした。

最終的には、上位3位に入ることができ、無事に市内大会への出場権を得たのですが、そんな息子いわく「今年も区内大会を優勝して、正々堂々と胸を張って市内大会に行きたかった…。」その一言に、もう、とてもとても中学生時代の私なんか、我が息子の足元にも及ばないことを認めざるを得ませんでした😊

そして、私は息子と交わしたあの時の約束を、一人の人間として最後まで貫く覚悟です😊その約束とは、「お父ちゃん、テニス部を引退したら、塾に行かせてください。それまでは、テニスをやらせてください」

私は、迷うことなく、「分かったよ😊その日が来るまで、勉強のことは一言も言わないよ😊その代わり、悔いのないように、燃え尽きるまで一生懸命にテニスに情熱をかたむけなさい😄」。

勝負…。それは誰しも勝ちたいもの…。と同時に、
あの時の息子の敗北が、親である私に、こうささやいてくれたのでした。

「きっと、いつものように、またすぐにグリップの交換をおねだりされるのでしょうね🎾」

「おはよ~う😄!」
その声は、いつもの明るい息子のものでした。

「行ってきま~す😄!!」
「宝物なんだから、気を付けて帰ってくるんだよ~😊」

負けたら引退…。
その現実の遥か頭上に輝く市内大会優勝という夢を胸に、学校へ向かう息子の背中には、今日もいつものテニスラケットが、いつものようにしっかりと背負われていたのでした。

『息子の悔し涙が、親である私を、ここに成長させてくれたのでした。』


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