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日常を、少しだけ底上げする一本。MM6 Maison Margiela

メルカリ徘徊日記#673

服は生活の背景であっていい、という考え方がある。

26SSのMM6が掲げたのは「高められた日常性」というテーマだった。ミラノの直営店近くの道路を白くペイントし、街そのものをランウェイに変えて発表されたコレクション。特別な舞台装置ではなく、歩道という日常の延長にこそ美学を見出す姿勢が、このブランドらしい。

ワイドなデニムも、その思想の延長線上にある。生地を裁つ工程では、体に沿わせるための計算よりも、揺れや余白を残すための引き算が優先される。針を通す職人は、シルエットを固定しすぎないよう、あえて緩さを縫い込んでいく。

想像してほしい。5月の昼下がり、日差しの強い舗道を、白いスニーカーで軽やかに歩く自分を。何かを主張するためではなく、ただ心地よく街に紛れるための一本。

きっちりとしたシルエットで気を張りたい人には、この緩さは物足りないかもしれない。でも、力を抜いた格好よさを探している人には、これほど自然体な相棒はない。

マルタン・マルジェラが築いた脱構築の系譜を、日常着として翻訳し続けているのがこのラインだ。手に入れたら、まず何も気負わず、いつもの散歩道を歩いてみてほしい。答えは、静かな余裕。

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