37日目:ザ・セカンドオピニオン

セカンドオピニオン
自身が納得して治療を受けるため
他の先生に意見を求める行為
1ヶ月待った。
再生治療はおすすめしないと
2人の整形外科医に言われた。
失意のうちにやけくそになりそうだった。
セカンドオピニオンで
希望的観測は得られないかと
一縷(いちる)の望みをかけた。
3人目
ヒザ治療の専門医
さて、どうだろうか?
「PRPは魔法の治療では無いので」
そう前置きしてから、
淡々と語る細身のお医者さん。
威圧的でない
遠慮するような物言いで
しかし、
私が調べたことと合致していて
まぁそうだろうな、と腑に落ちた。
「患者さんの期待と実際の効果の
乖離(かいり)が大きいので…」
失望するだけならまだしも、
文句を言ってくる輩が多いのだろう。
PRP経験者のそういう感想も見かけた。
まぁ、露骨に良くなると宣伝する
病院サイトやスポーツ選手の体験談が
やたら取り上げられ、目立つのも原因ではある。
多分、
何度も患者に
言って聞かせてあるのであろう。
PRP(再生治療)を
希望するという患者への
誠意ある言葉を私にも投げかける。
「手術する前に
できる限りの治療はしておきたい…
そういう患者さんが自費で選択します」
「効果のほどは個人差がありますが」
と、通販番組の最後にさりげなく言う台詞を
念入りに繰り返すあたり、
バランス重視の慎重な性格が見え隠れする。
「PRPなんてやるだけ無駄だよ」
と、自分の意見を押し付けるわけでもなく
「手術した方が確実に良くなるよ」
と断定し言い切るわけでもない。
あくまであなたの意見を尊重します、
という謙虚で丁寧な姿勢は
経験豊富なお医者さんだなと思わせる
しかし、同時にすごい不安になる。
知識もない専門外のこと、
断定してもらえば気持ちは楽になるし
任せてしまえば期待できるのに…
「結果が出るとは限らない」
「選ぶのはあなたです」
なんて、まるで人生みたいじゃないか。
いや、これは私の人生だった。
報われるとは限らない。
でも挑戦しなければ結果は出ない。
そういう理不尽さが「人生」だった。
そうだった…ちくしょうめ。
しかして、さてさて、どうしたものか。
「半月板の損傷は見られるんですよね?」
それは確定しているらしい
写真で見せてもらった黒い影、
その中にもやっとした白い線が損傷だそうだ。
「今すぐ手術をしないとまずい、
と言うほどではないですね、写真を見る限り」
それはそうだろう。
1ヵ月運動を控え、マイニーはすこぶる良好だ。
ハイジャンプにウサギ跳びだってできそうだ。
怖いからしないけど。
「今のところ、膝の痛みは引いてますし、
リハビリを続けながら様子見ですかね…」
と水を向けた私に、
「そうですね、1ヶ月後にまた来ますので、
その時にもう一度相談されますか?」
と医師は答える。
しばらく押しだまり
不安そうな顔をしていたからか
しょぼくれていた私に声をかける。
「PRPをやるんでしたら、
状態がひどくなる前に
受けた方が効果は確実です」
ふむ、その言葉だけでありがたい。
再生治療を今すぐ受けたい気持ちはあるが
自費故に上司に相談しなければならない。
『PRPでヒザは良くなりますよ』
という言質(げんち)が取れなかった以上
上司に次の3点を説明しなければならない。
① PRPを受けるなら症状が軽い今が良い
②半月板の損傷は確定、手術するほどではない
③ PRPの効果はあなたが思っているほどはない
…どうだろうか。
100日後に再生治療で治っているはずの私の膝。
そんな淡い夢は37日目にして早くも消えた。
残ったのはどこまでも現実的なリハビリと
煮え切らない選択肢。
これが人生かとしみじみ思う。
お医者さんの言葉が身に染みる。
「魔法ではないので」
私の膝が完全回復する(かもしれない)
まであと63日。
すでに敗色は濃厚だが
とりあえずこの形式であと2ヶ月
続けていこう、何はなくとも。
望んだ未来でなくとも。
2026年5月12日 16時
職業:スポーツインストラクター
状態:180cm/92.0kg 両膝の半月板損傷
予定:・6/9(火)9時セカンドオピニオン2回目
経費:セカンドオピニオン:¥390円
