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VTuber業界の沈黙の罠──尊重と抑圧を混同するな


📌この記事が語ること

Vtuber業界(ホロライブ)の異常体質と、それを取り巻くファンの反応について考える。
この業界の構造に対し、沈黙は美徳とは限らないことを主張する。
尊重と抑圧を混同する沈黙が、次の犠牲者を生む。

ホロライブ離脱の連鎖

先日、天音かなたが2025年12月27日をもってホロライブから「卒業」することが発表された。
Vtuberクラスタには周知の事実だが、ホロライブからタレントの離脱が止まらない。
当人のポストから読み取るに、大きな理由の一つは「過負荷」だ。

これは、直近の他のタレントの離脱の理由と全く同じだ。「過負荷」が原因でタレントが次々と離れていっているのだ。冷静な目で見ても異常事態だ。

現状の構造問題

業界に詳しいわけではないが、外から見ている限り以下のような問題が起こっていると推察される。

Vtuberとして仕事の範囲が広がる
→会社(カバー株式会社)は仕事を受注してくる
→タレントは広告塔として会社の案件に巻き込まれる
→会社は案件により利益を得る
→タレントは膨大な案件や庶務に忙殺され、リソースが摩耗する

こういった構図だ。
要するに、案件優先の構図がタレントの本来の創作活動を奪っている。
ポイントは、カバー株式会社の主な収益源は、業務委託契約のタレント次第、というところだ。
そしてこの構造は、周囲の沈黙によって温存されている
まるで、キャラクターというIPとそれを演じるタレントが成すペルソナが、会社の都合により引き剥がされようとしているかのようだ。

かなたそ氏

感情の正当性

ファンはもっと怒っていい。
感情任せの悲嘆や憤怒ではなく、タレントの環境を守るための怒りだ。
タレント個人を責めているわけでは決してない。
責められるべきは常に組織なのだ。
その声が、実際に会社を動かすこともあるのだ。ファンなくして会社は成立しないのだから。

業態の理想像

タレントとしての配信活動は不可欠だ。そこに異論の余地はないだろう。
であれば、タレントはただの広告塔であってはならない
クリエイターとしてタレントを扱い、会社はそれを支える側に回る、それが本来ありえた形だ。
カバー株式会社はこの点が歪だ。逆転現象が起こってしまっている。

補足になるが、同タレントの戌神ころね曰く、「会社からの仕事は極力断っている」という。この場合、彼女は自己防衛策を見事に張っているといえる。タレントにも拒否権は一応あるらしい。

ころね氏

二種類の沈黙

私はこの記事を通じて、ファンやクラスタに「沈黙するな」と伝えたい。
この場合、沈黙には二種類ある。沈黙は状況や心理によってさまざまな意味を持つが、ファンにとっては概ね以下のように大別できるだろう。

  • 尊重の沈黙
    タレント本人の意思を妨げないための沈黙。状況や心情を察してあえて声を上げない。

  • 抑圧の沈黙
    組織の構造的問題を見過ごす沈黙。あるいは集団・環境の圧力や、疲弊・無力感・諦めによって声を上げられない状態。

両者を混同してはいけない。抑圧は次の犠牲者を生む

ホロライブリスナーは比較的沈黙を好むように見える。
タレントを尊重する、という方向にエネルギーが向かうのだろう。
もちろんそれが悪いことだとは限らない。

しかし、一般企業において、個人が対応に追われて何もできなくなるくらいに仕事を押し付けられるとしたら、どうだろう。ブラック企業と謗られても文句は言えないはずだ。労働基準法の適用が曖昧であるという、看過できない問題もある。

急成長した故のマネジメント力不足なのか、組織自体の体質が硬直化しているのかはわからない。
しかし少なくとも、カバー株式会社ではそれが平然とまかり通っている。

他分野との比較

例えばリアルアイドルはどうだろう。
案件に追われてもパフォーマンスは続けられる。活動がそのまま公になるスタイルが多いからだ。そして何よりも、案件が本業に直結する。
しかし、Vtuberはそうはいかない。
我々の見えないところで、もっと言えば、タレント本人の見えないところで仕事が発生し、広告塔的案件に追われ、配信時間を削られ、創作活動そのものを侵食されていっている。
これではタレントが本来やりたかったことと乖離してしまうのも当然の帰結だ。

読者へのメッセージ

本記事の読者はおそらくVtuber業界に何かしら一家言ある人だと思う。
沈黙するな、声を上げろ。会社にだ。
この構造の異常さを理解し、企業への不満や疑問を抑え込まないこと、声を上げることが未来の犠牲者を防ぐ一歩になるはずだ。
この声は、多様な形を取り得る。
例えば、カバー株式会社は東証に上場している。株主の声になり得るケースもあるだろう。

希望はあるか

タレントが活動に集中できる世界を作ることは可能だ。
その証拠に、他の事務所ではそれができているところがいくらでもある。
カバー株式会社は確かに業界最大手の一角だが、客観的に見てもタレントのマネジメントを誤っている。
これもまた、マネージャー職の人物に感情の矛先を向けろといっているわけではない。組織の構造を責めるべきだ。おそらくマネージャー職もタレントとの板挟みで並々ならぬ苦労をしているはずだ。

このままではヤバい

天音かなた卒業の詳細を聞き、筆者はVtuber文化のいちファンとして、このままではヤバい、と思うに至った。
何よりも、近年の離脱理由が軒並み「過負荷」で一致していることがそれを物語っている。
先述の天音かなたのポストによると、年単位で体質改善を訴えていたとのことだ。
もはや現場を見なくても想像がつく。フローが間違った方向に硬直化している。
だから、現状の肯定ととらえられかねない沈黙は避けなければならないのだ。

筆者は、タレントがもっとのびのびと自由に活動できる環境を持てるよう、ここで声を上げる次第である。

補足

同タレントの獅白ぼたんが、本件を受けて会社とタレントの仕事について触れている。内情が垣間見える内容なので、興味のある方はこちらも参照するといいだろう。




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