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「次の暴落は2026年」は本当か ― 200年続く"18年サイクル"の正体

カイロの自宅から、おはようございます。エジプト社長です。

先日、読者の方からこんな質問をいただきました。

「経済は一定のサイクルでバブルと金融危機を繰り返していて、次のピークは2026年。2030年に大きな危機が来る、と聞いたんですが、本当ですか?」

結論から言うと、その話には"実在する元ネタ"があります。 ただし、「2030年に必ず危機が来る」と断定的に受け取るのは、少し正確ではありません。今日はこの"18年サイクル"説を、投資家目線で丁寧にほどいていきます。


そもそも、どんな説なのか

元になっているのは「18.6年・不動産サイクル」と呼ばれる考え方です。

ルーツは古く、1933年にシカゴ大学の経済学者ホーマー・ホイトが、シカゴの地価を約100年分さかのぼって分析し、ある周期性を見つけたことに始まります。それを現代に広めているのが、英国の経済学者フレッド・ハリソンと、豪州のフィリップ・アンダーソンです。

理論の骨格は驚くほどシンプルです。

  • 地価は約14年上昇し、約4年下落する

  • 下落局面のたびに、大きな株式市場の暴落を伴う

過去の暴落(1929年・1973〜74年・1990年・2008〜09年)が、おおむねこのリズムに乗っている、というのが彼らの主張です。

面白いのは、原因を「金利」や「インフレ」ではなく、地価そのものの投機的な高騰に置いている点。地価が上がりすぎて、まともな経済活動が割に合わなくなった瞬間にすべてが崩れる、という見立てです。


なぜ「当たる」と言われるのか

この説がここまで注目される最大の理由は、提唱者ハリソンの"実績"にあります。

彼は1991年の景気後退を約8年前に、そして2008年の住宅バブル崩壊を、なんと1997年の時点で予測したとされています。英国の財務相(当時)に対し、「2007年にピークを打ち、2010年に不況へ転じる」と警告していた記録も残っています。

2回連続で大きな転換点を当てた――だからこそ、彼が次に名指しした年が、いま投資家の間でざわついているわけです。

その年が、2026年です。


「2026年ピーク・2030年危機」の、正確な中身

ここが今日いちばん伝えたいところです。

ハリソン自身の説明はこうです。ピークは2026年。これは18年の景気循環のなかの"14年上昇サイクル"の終点であり、下落をはさんでサイクル全体が終わるのが2028年ごろ。

つまり、厳密には「2030年に危機」ではなく、

2026年にピーク → 2026〜2028年に下落 → 2029〜2030年ごろに底

という流れなんですね。「2030年」という数字は、この"底"のあたりが少し形を変えて伝わったものだと思います。ちなみにハリソンは、今回の調整を「2008年より深い」とまで言っています。

下の図にすると、流れが一気に腑に落ちます(緑が上昇局面、オレンジが下落局面)。

【ここにサムネ/サイクル図を挿入】


それでも、鵜呑みにできない3つの理由

実績のある説だからこそ、冷静に弱点も押さえておきましょう。

① 法則ではなく、あくまで"経験則" 擁護する立場の解説者ですら、「これは歴史的なパターンであって、保証された反復法則ではない」と認めています。実際、本来1938年に終わるはずだったサイクルは、第二次世界大戦という"想定外"で簡単に崩れました。世界大戦級の出来事には、サイクルは無力です。

② サンプル数が、そもそも少ない きれいに18年だった完全な周期は、数えるほどしかありません。「2回当てたから3回目も当たる」と考えるのは、データの世界では危険な飛躍です。

③ 2026年現在、ピークはまだ確認されていない 今この瞬間も、「株価が住宅ピークを越えて上がり続ける1920年代型のシナリオ」が警戒されています。一方で、プライベートクレジットの綻び、長期金利の上昇、ビットコインの大幅調整など、"サイクル終盤らしい兆候"は確かに顔を出し始めています。


投資家として、どう向き合うか

私の答えはシンプルです。

「いつ暴落するか」を当てにいくのではなく、「今、サイクルのどの局面にいるか」を考える道具として使う。 これに尽きます。

タイミングをピンポイントで当てるのは、プロでも至難の業です。けれど、「自分はいま上昇局面の終盤に近いかもしれない」という"温度感"を持っているだけで、レバレッジのかけ方も、現金の厚みも、出口の準備も、まるで変わってきます。

そしてもう一点、私たちが拠点を置くドバイやエジプトのような産油国・新興国市場は、欧米のサイクルと"位相"がズレやすいという視点も忘れないでください。同じ年でも、世界のどこに資産を置くかで、景色はまったく違うのです。


サイクルは未来を保証してくれません。でも、「今がどのあたりか」を教えてくれる地図にはなります。地図を持って歩くか、手ぶらで歩くか――その差は、4年後にきっと効いてきます。

それでは、また次のコラムで。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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