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#5-9 イオフィリアの役割|追憶のオリジン~氷の女王の眠る街

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第9話 イオフィリアの役割


地上は白い雪に覆われて薄暗く、すっかり冬景色だった。
タトはマントの首元を押さえた。

「ふあ〜!!ミミはやっぱり外がいいな!」

ミミは大きく伸びをすると、

「ちょっと狩りに行ってくるー!」

そう叫ぶと、弾けるように冷えた森へと駆け出して行った。

ミミを見送ったあと、タトが言った。

「ボクはイオフィリアの所へ行ってくる」

「僕も行くよ」
すぐにレイが応じた。


塔の螺旋階段を上ろうとした時、イオフィリアが部屋の奥に立ってこちらを見ていた。

タが少し跳ねるように驚く横で、レイがサラリと声をかけた。

「ああ、イオ。ちょうどよかった。話がしたい」

「ええ。よろしいですよ」



塔の一室で暖炉の準備をすると、ルリが熱いお茶を淹れた。

「それで……結局きみは、何者なの?」

タがゆっくりと口を開く。タと同じ顔の、トの目線が鋭い。

「…私は、この世界の何者でもありません。観測し、反映されるのを待っています」

「観測し、反映…?」
レイが顎をつまんで反芻する。

「私は長い間この場所で、必要とされるのを待っています」

仮面の奥から抑揚のない声が響く。

 
「あなたは、人間なの?それとも、人間とは違う種族なのかしら?」

ルリの問いに、少し間を置いてイオは答えた。

「人間ではありません。けれど、“新しい種族”とも言い切れません。
私は、こことは違う場所からきました」

「その仮面は何のため?」

眉をわずかにひそめてトが尋ねる。

「この世界を映すためです。」


「…観測者と言うなら、この世界について何か知っているのかい?」

レイが身を乗り出す。

「私はあくまで“蓄積された記憶”を扱う存在。
ですが、そこから法則を導くことはできます。
ただ――私の機能が完全であったとしても、それは、この世界の誰かが語らない限り、私は知りえません。」

その時、遠くで爆発音がした。

タトにはすぐに分かった。
火柱が上がる音だ。
大きい。

「ミミだ!!森へ行く!」

タトは、装備を一気に掴むと走り出した。

教会の裏手へ出た時に、塔の上からイオが指を指した。

「北西の方向です。」

よく響く声でそう言うと、崩れた塔の五階からふわりとタトの横に降りた。

「イオ…!飛べるのか?!」

「飛び降りたのです。さあ、向かいましょう。」

二人はちらつく雪の中、
森へ駆けていった。



(つづく)


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