#3-13 帰る場所|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街
第三章 知を求めて
第13話 帰る場所
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ミミは、光る六角柱の石を手に持ったまま、うつむいていた。
唇をきゅっと結び、床の一点を見つめている。
タトは、小さく息を吸い、静かに口を開いた。
「……オリジンは、特別で完璧な人がなるんじゃないんです。
『誰でも』、なりうるんです」
その言葉は、魔力を持たない自分自身に向けたものであり、
隣にいるミミに、
そして――エリザに向けたものでもあった。
しばらくして、エリザが目を閉じ、深く息を整えてから口を開いた。
「……そう、だったのね……
私、何も気づかずに……正しいことばかりを追い求めて……」
タトは顔を上げ、まっすぐと彼女を見た。
「私は、女王の眠る氷山を目指そうと思います。
ミミを、連れていってもいいですか?」
しばらく、返事はなかった。
やがてエリザは、静かに立ち上がり、ミミの前まで歩み寄ると、膝をついた。
「……ミミ。ごめんなさいね…
私は、あなたに厳しくするばかりで……うまく導けなかった。
もっと、あなたを信じてあげれば……」
ミミが、ゆっくりと顔を上げた。
琥珀色の瞳には、今にもこぼれそうな涙がたまっていた。
「……エリザ……エリザ」
ミミは耐えきれず、ひしっとエリザに抱きついた。
エリザも、目を細めながら、その小さな背をやさしく抱きしめた。
*
和解の日から、時間は少しずつ動き始めた。
三人はしばらくフェリサリアに滞在し、エリザを支えた。
レイの助言のもと、街の整備が始まる。
水路の修繕、森の境界の維持、湿地にかける橋の建設――
フェリサリアは、少しずつ再生の兆しを見せていった。
*
そして、旅立ちの朝。
街の広場には、多くの人々が見送りに集まった。
エリザが言う。
「ミミ、ここはあなたの街です。いつでも帰ってきていいのよ。無茶しないで、体を大切にね」
「うんっ! エリザ、だいすき!」
「……二人を困らせないようにね」
ミミは晴れやかに笑った。
教会に、ミミは自分の赤い髪を一房、置いた。
それは、帰る場所の証として。
そして、この街を守る力として。
「ミミが戻るまで、みんな元気でねーっ! 行ってきまーす!」
そして三人は、再び歩き出す。
次なる塔――自信の塔の街、ヴァリスを目指して。
(第四章へつづく)
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