#1-3 運命の石|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜
第3話 運命の石
気がつくと、タトは夢中になってその光るものを掘っていた。
苔や土、絡みつく木の根を払い除け、地面を掘り返す。
現れたのは、20センチほどの透明な六角柱の石だった。
(……きれい。そうだ、教会で洗わせてもらおう)
教会の水場で石を洗うと、その光は一層鮮やかさを増した。
常に薄暗く、霧と瘴気に包まれたこの世界では、見たことのないような輝きだった。
まるで氷山の氷の欠片が、そのまま形を変えて宿ったかのように――透き通っている。
そこへ、教会に住む長老婆が静かに顔を出した。
「タトや。それはどこで見つけたんじゃ?」
「南側を、少し奥に進んだところに埋まってた」
「……そうか」
長老婆は、タトの腕の傷に気づくと、そっと中へ招き入れた。
手当をしながら、ぽつりと語りかける。
「タトは、この世界がどうしてこうなったか、知っていたかな?」
「……いや、知らない。それとこの石が、関係あるの?」
「そうか、知らんかったか。ならば、はじめから話さんとな」
長老婆はタトのそばに座りなおすと、窓の外の氷山に目をやった。
「あの巨大な氷山にはな、この国の女王が眠っていると言われておる。
そしてこの世界には、その女王の意志を色濃く継ぐ者――“オリジン”と呼ばれる者が存在すると言われておるんじゃ」
教会に、長老婆のゆっくりとした語りが、静かに響いた。
(つづく)
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