#2-1 北の森|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜
第1話 北の森
北の森は、しばらく誰も足を踏み入れていなかった。
街を守るのに手一杯だったのと、森が深くなりすぎて危険だったからだ。
長老婆と街の人の話からすると、かつては氷山を中心に環状に街道があり、それぞれの街はその街道沿いに作られていたらしい。
今は深い森に飲み込まれ、道は跡形もなかった。
「ここは近くの森と同じとは限らない。気を引き締めないと。」
森には魔現象と呼ばれる人体に被害が及ぶ攻撃と、瘴気で変異した動植物がいる。
伐採の仕事で森には慣れてるとはいえ、実際はとても危険で、少し歩くにもニナの作る特別な服が必須だ。
モヤの立ち込めるシンとした森を慎重に北へと進む。
氷山からの冷気は強く、木々は空を覆い尽くすように高く伸びていた。
景色は、どれだけ進んでも変わり映えがなく、日が傾く頃まで歩いても、まったく進んだ気がしなかった。
タトは思い立ち、久しぶりに木に登ってみた。
ナイフを使い器用に登る。
ここらへんの木は、ゆうに50メートルは越えていそうだ。
枝を切り落とし、幹の途中から見た景色は…
霧の中に広がる、広大な針葉樹林と、巨大な氷山だけだった。
「この調子なら、今夜はどこかで野宿だな…」
(つづく)
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