柔キャについて考える
1.はじめに
はじめましての人ははじめまして。そうでない人はこんにちは。明治大学の美齊津です。また誕生日が取れなかったから変な日に書いてるよ!推しの誕生日が1日早ければなぁ…
以前から蓋の理論・実践といったところをまとめてみたいとは思っていたものの、「間違ったことを言ってしまったらどうしよう?」だとか「お気持ち表明されるの怖いな」などと思っており、執筆には二の足を踏んでおりました。しかし、蓋の陣を機に何か後輩たちに残せるものがあればな、などと思いましたゆえ、筆を取ってみました。
「柔キャ概論」などと銘打って書き始めましたが、柔キャだけに限らない考え方もいくらか紹介できればと思います。もちろん、皆がこのnoteに当てはまるわけではないのは重々承知ですので、「いや○○ではなく××ではないか」などの意見等お待ちしております。打撃は教えられません!教えてみんな!
また、理論とは言いましても何か科学的なデータがあるわけではないので、予め承知いただければと思います。
図式化するのが得意でないものですから、字ばかりになってしまうこと、予めご了承ください。
序論として、柔すか?笑柔キャって何?という話を簡単に。(後世の柔キャを使いたい初心者にも向けていますのでね)
柔キャとは、文字通り柔らかい蓋のことです。綾鷹とかフルーツオレ、カルピスの蓋などがそれにあたります。特徴として、バットに当たっても飛びにくいというものがあります。これを活かして、打たせて取る、ということができるのが1つの強みです。
2.制球とは
〜これがなければ始まらない〜
「制球」、これこそが蓋を投げる上で最大の難関と言えるのではないでしょうか。いくら速い球を投げれようが、とんでもない変化球を投げれようが、制球できないことには全く使えませんし、その選手を使う側の人間にとって、計算できない投手であるという不安も湧き上がることでしょう。
私自身は、制球というのは水物と呼ぶに相応しいと考えております。どんなに技巧派の投手でもダメな日はダメですし、逆にどんなに荒れてる投手でもいい日は必ず年に1回ぐらいはあるでしょう。現に私も今となってはダメダメですがそうした前提を踏まえまして、ここから制球の話をしていきます。
私が思うのは、「速球派は4分割、柔キャは9分割」です。これは、ストライクゾーンの話です。
速球派(ここでは硬キャと仮定します)は4分割でいい。何故なら、速けりゃ打たれないから。ざっくり制球できればそれで構わない。
ただ、柔キャは別です。ざっくり制球だと打たれます。遅いから、打者から見えます。見やすいというのは、蓋野球では致命的です。それだけで、被打率・失点率は大きく上がります。だから、打者が唸るぐらい制球できなきゃいけない。難しいですが、制球ができるようになれば、それだけで大きな武器です。
また、審判もストライクを取ってくれるようになります。蓋野球の審判は専門資格を持っている審判ではありません。ですから、人によって少しずつゾーンのずれが生じますし、審判にも自分の判定に自信を持てない人がいます。その時に「この人は制球がいい」という印象を審判が持っていたらどうでしょう?「見えなかったけど、この投手なら多分ストライクだろう」と思いますから、際どいところがストライクになる。打者も、「こんなに制球がいい投手の際どいところだから、入ってるんだろう」と思います。私も多分そうしちゃいます。だって見えないもん
それだけで、あなたの勝ちです。そう思わせた時点で、既に打者に対して有利に戦えています。
制球がいい、という印象は、こういったところで有利に働くわけですね。
更に、制球がいいということは捕手への優しさにも繋がります。
ふとした時、投手たちは捕手への感謝を忘れ、まるで自分1人のお陰で勝てたかのような錯覚をする。でも、そこに捕手がいなかったら、あなたの投げている蓋は全て振り逃げ・ワイルドピッチ・パスボールですからね?よもやそのことはお忘れになっていないですよね。
捕手への感謝は絶対に忘れちゃいけない。捕手だけでなく、チームメイト・審判・運営・体育館の方々。常に感謝を忘れない姿勢を持ちましょう。その方が気持ちがいいですし、その姿勢が思いがけない勝ち拾いに繋がるかもしれませんよ。
3.変化球とは
〜千差万別な個性の塊〜
※ここで変化球の投げ方は説明していません
「変化球とは」などと大きく出ましたが、まずは直球の話でもしてみようかなと思います。直球なくして変化球はないですし、変化球がないとせっかくの直球も活きません。
この界隈にも速い直球を投げる人が多いです。羨ましい。自分なんて全力で投げても62km/hがせいぜいなのに。
ただ、速い直球を投げてる人は全員活躍しているでしょうか?答えは否だと思います。
すごい速い。でもゾーンに入らないから振らなければ勝手に点が入る。何だか先ほどの話に戻ったようですが、これではいけませんね。
そこで、やはり必要になるのが変化球です。速球派であれば2球種ぐらい欲しい。今回は柔キャの話をしていますから、柔キャであれば最低でも3球種。実戦で使えるのが多ければ多いほどいい。遅い真っ直ぐが速く見えるというのは、それだけで大きな個性です。
ここで変化球の投げ方を色々言わないのは、あくまで「よそはよそ、うちはうち」の考え方があるからです。他人の変化球の投げ方は確かに参考になるかもしれないが、体の作りが違えば投げ方も違う。だから、同じものを投げようとしても違うものになる。
故に、アドバイスを受けて、最終的には自分の力で投げ方・軌道を見つけるものである、と思います。
一応参考になるかは分かりませんが、私なりの意見では、シュート方向に1つ変化球を持っている投手はやはり強い。
「シュートを投げられる投手が全員強いとは限らないが、強い投手はみんなシュートを投げる。」常々申しているところであります。
右投げであれば、右打者に強く出られます。スライダー方向を投げるのはそんなに難しくないし強いのを投げやすいけど、体側から入ってくる蓋・逃げていく蓋が得意な右打者に一生打たれます。そこで、やはり内に食い込む変化球があると大きく変わってきます。
色々アドバイスを受けながら、自分なりの変化球を探してみてね。
4.球速とは
〜遅い投手は柔にすべきか?〜
よく、こんな発言を聞きます。
あなたは遅いから、柔キャにした方がいい
言ってしまった・言われたことがある、という経験のある方もいるのではないでしょうか?
個人的には、半分正解で半分不正解だと思います。
柔キャとて遅ければ打たれます。(というか、打たれてナンボです)遅いから柔キャというのもノーです。硬キャだって自分の指に合うのであれば遅かろうが投げ続ければいい。柔キャだって、速い投手はいます。(残念ながら私はそちら側ではありませんが)
ここは投げてみないと分からないところでしょう。自分に合うか合わないかは、自分しか分かりません。だからこそ、たくさん練習に行って、自分の軸をしかと定めるべきでしょう。あれやこれやと手を伸ばしすぎるのはいけません。1つをまずは極めようとしてみましょう。
遅い=柔キャ、速い=硬キャ、と一概には言えないのは、その人に合う合わないがあるからです。
ただ柔キャで球速は必要ないというのも、半分正解で半分不正解です。私だって60km/hは流石に越えてますから遅すぎてもそれは当然打たれます。見えますからね。(例外もいます。遅い蓋で打たせて取りまくる投手も、それはそれで面白い)ただ、逆に速すぎるとどうなるか。その分、当たった時の飛び具合が半端ないので、折角柔にしている旨味が無くなります。
結局は、何事もちょうどいいのが1番いいのです。豪速球はいらないけど、ある程度は速度が出ないといけない。その塩梅は、練習しながら掴んでいくところとなるでしょうか。
5.理論と感覚〜「どちらか」は無い〜
ここまで、伝わりにくいところもなるべく言語化して話してみました。ですが、実際はここまで考えることはあまりないです。
「理論派」「感覚派」とはよく言いますが、実際には全て理論で行う人、感覚で行う人というのはいないと思います。本当は、理論派も感覚に頼るところはありますし、感覚派も理論をある程度理解しないことにはどうにもならないでしょう。「来た蓋を打つ」なんて言う人も実際はバットの出し方などは理論的でしょう。逆に、「来る蓋を研究して打つ」人だって、どのあたりで振るか、というのは長年の感覚に頼るところが大きいのではないでしょうか。投球も同じではなかろうか。
では、両方の面からアプローチするにはどうしたらいいか?以下にまとめてみました。
①たくさん練習する
②試合に出る
③色々な人からアドバイスを貰う
④プレー動画を見る(自他問わず)
①と②から。これは感覚を養うところです。ある程度理論を学んだならば、それを実践する機会が必要です。私自身はよく言いますが、「練習では考えて、本番では考えない」と。ここに隠された言葉としましては、「試合の時に悩み出すとどんどん悪い方向に行くから、試合では悩まない。練習で、考えて最適解を出し、それを体に染み込ませるまで繰り返す」というところが正しいかと思います。自分はできてません
③、④は現状把握といったところでしょうか。感覚でしか見れていなかったものを、他者目線から見ることで理論として定着させる。そういった面が強いかと思います。自分だけの目線だと、どうしてもバイアスがかかりますからね…
それに、蓋野球民は優しい方々が多く、敵味方関係なくさまざまアドバイスをくれます。ですから、「自分は自分だから、俺/私が正しいんだ」と一蹴するのではなく、色々と聞いてみるといいと思いますよ。
6.「打たせて取る」は正義か?
私自身、次のような成績になることがしばしばあります。

こりゃすごい。2024年のランキングなのですが、バビらせる(=ゴロアウト・フライアウトを取る)ランキング第1位、それも2位に2倍近く差をつけています。
よく言うのが、「バビらせるのは面白くない」という言葉です。打者からよく聞きますね。大体言ってるのはバビらない人間だけど
では問います。本当にそうでしょうか?
私は投げてる立場ですがとても楽しいです。打つ立場だとしても、毎回三振(バットに当たらない)ではつまらんでしょうよ。かと言って、当たったから絶対ヒットになるのも投手が面白くないでしょう。速い球を投げられない投手は、打たれた=ヒットでは投手ができません。でも、蓋野球は誰もが楽しめるものである。
だから、バビがあるんですよ。打たせて取る投手がいるんですよ。みんながみんな、豪速球で三振を取るなら、個性がなくなってしまう。
だから私は、「打たせて取る」というのも一種の正義ではないかと思います。
7.いざ試合!どんな心構えが必要?
ここまで様々、練習について話してきました。では、唐突ですが試合に行きましょう。
試合会場。緊張しますね。何回マウンドに立っても、やはり慣れないものがありますね。今日は捕手は遠い?近い?リリースの感覚は?ちょっと抜けてるかな?色々気になるところはあるかと思います。
(補足:マウンドに立って捕手が遠く感じる日は大抵調子が悪い日です。逆もまた然りです。)
やはり、投手として投げるのであれば、「その場の状況に応じて柔軟に変える」という力を、実戦を通じて身につけてもらいたいと思います。
今日はスライダーが入らない。ならば、スライダーはきっぱり使わない。逆に、いつも入ってない変化球が今日はいい。であるならば、その変化球を中心にしてみる。
前から言っていますが、投手にとって1番大事なのは制球です。ゾーンに入ってれば、いずれは何とか抑えられる。でも全部外れてればこれは絶望。相手は当然負けたくないから、蓋を見てきます。となると、四球連発。これでは、1回すら終わらない。
それではいけませんね。ですから、入るものを中心で組み立てていく。多少打たれるのは仕方ない。これぐらいの心づもりはやはり必要でしょう。柔キャなら尚更。
でもやっぱり打たれたくない、という気持ち、とてもよく分かります。でもそれで四球連発する方がカッコ悪い。自分も最近はずっとカッコ悪い。やはり、ある程度打たせて取るという気持ちは必要でしょう。というのが、実戦に臨むにあたっての私の所感です。
あと、意外と実戦だと制球はバラつきます。これは何も練習不足が悪いのではなく、「ゾーンに入れなきゃ」という気持ちが普段より強い以上、仕方ないことです。ここで、メンタルまで柔になってはいけない。柔キャは特に、メンタルは常にマッチぐらい硬くなきゃいけない。(内蓋はありでも無しでも)
だからこそ、比較的入る蓋を中心に組み立てていかなければならない。制球の重要性は既にここまでお読みいただければわかるとは思いますが、やはり難しい。難しいからこそ、完全にできた時には想像以上の効果を発揮します。だからこそ、普段からの練習は肝心、というわけですね。ここまでしてきた色々な話がまとまってきました。
8.総括
以上、拙筆ではございますが、柔キャの、特に思考面についてまとめてみた次第でございます。ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。何だか投手概論になってしまった気もしますが…前にも伝えましたが、感謝を忘れないこと。これは投手としてだけでなく、人として、あなたをもう1ランク上に引き上げてくれますよ。ここで示したのはあくまで一例です。皆さんも、皆さん自身で色々な形を見出して、唯一無二の投手になってください。
ところで、先日のnote(2025/12/17)で「沼」の話が出ていましたが、柔もやはり沼なのでしょうか…

