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唐揚げと上級生と、冬の日の放送室

「給食のおばさん達へ」

 

それが私の最初に認めてもらえた文章のタイトルだった。何の変哲もない、小学生にとってのありきたりな課題。とりあえずみんなと同じように書いただけの作文が何故か選ばれた。しかもそれはお昼の放送にて自分で読むことになるらしい。決まってからそのことを伝えられて、責任の重さに驚いた。きっとその部分は聞き流していたんだろうと思う。 

他にも誰か一緒に放送室に行くクラスメイトがいるんだろうと思っていたら、私だけだと知ってもっと驚いた。どうして選ばれるようなことになったのかもよくわからなかった。友達には「すごいね」と言われたけど、私としては複雑だった。正直なところ「嫌だな、どうしよう」と思っていたくらいだった。前日は緊張してなかなか眠れなかった。

 

当日、給食の用意が始まる時間に上級生が私を呼びに来てくれた。仕方なく原稿用紙を持って放送室へと向かうことになる。季節は冬で、ぱたぱたと歩く上履き越しにじんじんと冷えが伝わってくる。誰もいないしんと静まった廊下を二人で歩いていく。他の教室ではそろそろ給食の準備が始まっている時間だ。おなかの音でも鳴ったらどうしようと思いながら歩いていると、上級生がこちらを振り向いた。

 「順番は最初の方だから早めに帰れるよ」
「あっ、そうなんだ」

心を読まれたような気がしてちょっと恥ずかしくなる。大体の説明を受けたものの、よくわからなかった。放送室は職員室の隣にあることをこの時に知った。ガラッと扉を開く。数人いた上級生が「急いで」と言った。気付けば放送が開始される五分前を切っていた。今後の展開を急速に実感し、だんだん心臓がうるさくなってくる。すーはーと何度も何度も深呼吸をした。

 

「一年生! 次だよ」

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読んで下さった方の心にぽっと灯りが残るような文章になってくれたら、と願いながら書きました。書き下ろし2作は2500文字以上とちょっと長めです。

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