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持続可能なワンコインの幸福感

ついつい呟いてしまう口癖がある。それは「何かいいことないかな」という言葉だ。気付けば口に出しているので、言霊的な意味ではあまり良くないものなのだろうと思っている。それはきっと「幸せが受動的に手に入ったらいいのに」という意味の言葉なのだ。つまり自分で幸せを取りに行こうとしていないということではないか。

フットワークを軽くして自分で楽しいことを見つけに行ったり、誰かと話して情報を得たりと新しいことにチャレンジするといいと聞いたことがある。本当はいろんな方法があると知ってはいる。だけど繰り返す毎日が単調で自由が利かない私にとって、それはけっこう無理な相談というものなのだ。

 

そんな中で久しぶりに思わぬ幸せが私の元へと舞い降りてきた。ある日母が何だか嬉しそうに白いビニール袋を差し出してきたと思ったら、そこには寿司の詰め合わせが入っていたのだ。

私は思わず「わあっ」と声を出していた。何故なら私は数年くらいずっと寿司が食べたいと折に触れて言ってきたからで、母はそれを覚えていてくれたからだ。たまたま割引で安くなっていたものを仕入れてきてくれたということだった。

 

十一貫入っていてまさかの千円以下。なんてお得なんだろう。私と母はあまり多く食べる方ではないので半分こで足りた。なんと一人分だとワンコインになる。マグロの赤身を母に渡し、私はサーモンをもらった。久しぶりに見た魚のネタがキラキラと輝いて見えた。脂の乗った何ともおいしそうなサーモンだった。

醤油をつけて早速一口。甘い香りがふわっと鼻腔を満たしていく。とろとろと口の中で溶けていくようだった。隣で母も久しぶりのマグロの寿司に目を輝かせていた。二人とも無言のまま、至福の時が流れていく。

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読んで下さった方の心にぽっと灯りが残るような文章になってくれたら、と願いながら書きました。書き下ろし2作は2500文字以上とちょっと長めです。

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