2025年度 漢方薬・生薬認定薬剤師試験 大問Ⅱ解説 / 便秘の漢方治療について
年が変わり、気づけば次の漢方薬・生薬認定薬剤師試験までもう半年🗓️
過去問中心で回していても、
「見たことのある形式は解けるのに、新しい切り口が出た瞬間に崩れる」
そんな感覚、ありますよね…😅
昨年の試験では、過去問にそのまま当てはまらない“新しめの出題”として、
**大問Ⅱ(便秘の漢方治療)**が登場しました📌
この大問は、暗記で押し切るというよりも、
✅ 症状のキーワードを拾う
✅ 病態をイメージする
✅ 方剤 → 構成生薬へつなげる
という流れで、**「病態→方剤→構成生薬」**の分岐ができるかを問う設計です🧠✨
この記事では、薬剤師さん向けにこの大問Ⅱの解説を行います👨⚕️👩⚕️
選択理由が「なるほど」と腹落ちする形で整理し、今年も似た問題が来ても戦える形に落とし込みます🔥
※試験対策としてだけでなく、現場でも役立つ視点を意識して解説しています💡
ぜひ最後まで読んでみてください🙌
それでは、問題と解説に移ります➡️

[問6]
本文のヒントは「急性便秘」「第一選択薬」です。
急に便が出なくなった状況では、まず“短期的に通じをつける(瀉下)”という発想が中心になります。
解答群の中で、この目的に最もストレートなのが大黄甘草湯です。
主薬の大黄は便秘に対して排便を促す方向に働き、急性の「とにかく出ない」をシンプルに解決しやすい。
一方で甘草が配合され、作用が強すぎて腹痛が出る方向をやわらげる役回りを持ち、組み合わせとして“シンプルで扱いやすい瀉下”になっています。
答え: ④ 大黄甘草湯(配合生薬:大黄・甘草)

[問7][問8]
「慢性」「水分が少ない=乾燥」「硬い便」という3語がそろった時点で、狙うべきは“瀉下(下す)”ではなく、潤腸(うるおして滑らせる)です。
慢性の硬便は、腸の内容物が乾いて摩擦が増え、便が“動けない”状態になりやすい。
ここで大黄だけを強く使うと、出る前に腹痛や下痢方向へ振れやすく、体力が削られやすい。
そこで第一選択になるのが
麻子仁丸あるいは潤腸湯。今回は選択肢から麻子仁丸とあるので⑤が正解。
問7の次に「配合生薬が腸内を潤す」と続くので、麻子仁・杏仁(潤す油分系)を連想させるのがポイントです。
答え:問7 ⑤ 麻子仁丸(配合生薬:麻子仁・大黄・杏仁・枳実・厚朴・芍薬) 問8 ⓪ 杏仁と麻子仁

[問9]
ここで問われているのは、便秘そのものというより、便秘に伴って起こりやすい腹部の“つっぱり・ひきつり・攣る感じ”をどの生薬でゆるめるか、という視点ですね。
この役割の代表生薬が芍薬です。
芍薬は、腹直筋が硬く張るような状態や、腸管が過緊張して起こる腹痛・しぶり腹などの「緊張」をほどく方向で理解すると整理しやすいですね。
また芍薬の効能を合わせて覚えておくと定着しやすいポイントとして
"こむらがえり"でよく処方される芍薬甘草湯は消化器内科の分野では"漢方のブスコパン"と呼ばれることがあります。
答え:⓪ 芍薬

[問10]
本文は「便秘するとお腹がはる(腹満)場合」とあります。
ここでのポイントは、便秘が単なる乾燥だけでなく、腸管が緊張してガスや便が停滞し、張って苦しいという病態が前に出ていることです。
そこで必要になるのは①腸の緊張をゆるめて動きを整えること、②停滞した便を出して詰まりを解除すること、の2本立て。これを同時に狙えるのが桂枝加芍薬大黄湯です。
構造で覚えると、ベースの桂枝加芍薬湯は「腹部の緊張・攣りをゆるめる(芍薬)」のが得意で、そこに大黄を加えることで「便を出して腹満を抜く」力が上乗せされます。
つまり、芍薬=張りや痛みの原因になる緊張をほどく/大黄=通じをつけて詰まりを取るという役割分担。問9で押さえた“芍薬は腹部緊張を緩める”が、そのままこの設問の根拠になります。
【補足】
実際の臨床では桂枝加芍薬湯でも当てはまる可能性があると思ったため補足的に解説します。
本文は “便秘すると”お腹が張る(腹満) との記載があります。
つまり、腹満の主因が「腸のけいれん」ではなく 便秘(通じの停滞)に伴う張り だと明言している。
桂枝加芍薬湯:
これは基本、**腸の緊張・攣急(差し込み、しぶり腹、腹痛寄り)**に強い。
でも 瀉下薬(大黄など)が入っていないので、「便秘の解除」そのものは狙いにくい。
だから、本文が「便秘が原因」と言い切っている以上、“張りをゆるめるだけ”では設問の狙いから外れる、というのが試験の理屈だと思われます。
(※現場で便秘が軽くて、ガス優位・攣急優位なら桂枝加芍薬湯を考える場面はあります。でも“試験本文の誘導”としては便秘が主役。)
答え:② 桂枝加芍薬大黄湯(配合生薬:芍薬・桂皮・大棗・甘草・生姜・大黄)

[問11]
「より強い便秘腹満痛には[問11]」とあり、問10より一段階“強い状態”を想定しています。
ここでイメージすべきは、単に張るだけでなく、便が硬く詰まり、腹部膨満が強い=腸の中に熱を帯びた内容物が停滞している(実熱・熱結)という方向です。
このタイプでは、腸の緊張を整えるだけでは追いつかず、詰まりそのものを強く動かして排出する(峻下)が主役になります。その代表が大承気湯です。
大承気湯は、大黄で下し、芒硝で便を軟らかくし、さらに厚朴・枳実で腹満(ガスや停滞)をさばく構造として理解すると良いです。
答え:⑥ 大承気湯(配合生薬:大黄・芒硝・厚朴・枳実)

[問12]
この設問の決め手は「便秘」そのものより、いらいらと心下痞(みぞおちのつかえ)がセットで出ている点です。
心下痞は、胃のあたりが重い・詰まる・ムカムカしてスッキリしない感じ。ここにいらいらが加わると、「体の上のほう(胸〜みぞおち)に熱っぽさやモヤモヤがこもっている」状態を想像します。
ここで①の処方名の「瀉心」に注目します。
※ 瀉=余分なものを外へ出す、心=心臓ではなく“心下(みぞおち)”のあたりを指すことが多い。
つまり「心下にたまった熱やつかえを、下へ流して抜く」という意味合いです。
三黄瀉心湯は、黄連・黄芩で熱っぽさやいらいらを冷まし、さらに大黄で便通をつけて“こもったものを下へ抜く”構造。
乾燥便を潤す麻子仁丸や、強い腹満を峻下する大承気湯とは狙いが違い、
いらいら+みぞおちのつかえ=瀉心で抜くがこの問題の答えになります。
答え:① 三黄瀉心湯(配合生薬:黄連・黄芩・大黄)

✅ まとめ📝
この大問は、便秘を「一括り」にせず、タイプ(病態)を見分けて方剤を段階的に選べるかを問う問題です。
キーワードは、以下の 3つの軸で整理できます🔍
① 便秘の時間軸:急性か、慢性か⏳
急性便秘
→ まず“通じをつける”が最優先
✅ 大黄甘草湯(問6)=シンプルに瀉下で短期決着慢性 × 乾燥硬便
→ 下すより“潤して動かす”が主役
✅ 麻子仁丸(問7)
✅ 潤す生薬は 杏仁+麻子仁(問8) 🌿
② 腹部所見:緊張(攣り)や張り(腹満)があるか🤲
腹部の緊張をゆるめるキープレイヤー
✅ 芍薬(問9)便秘+腹満(張って苦しい)
✅ 桂枝加芍薬大黄湯(問10)
👉 「芍薬で緊張をゆるめる」+「大黄で通じをつける」の合体技✨
③ “強さ”と“熱”の要素:より強い腹満/いらいら・心下痞🔥
より強い便秘+腹満
→ 詰まりが強いので峻下へ
✅ 大承気湯(問11)いらいら+心下痞(みぞおちのつかえ)
→ 上部の熱・モヤモヤを“下へ抜く”
✅ 三黄瀉心湯(問12)
※「瀉心」=心下のつかえを瀉して(下へ)抜くイメージ💡
🙏 お礼 & 今後について
記事のご購入、ありがとうございました。
今後も需要があれば、他の問題の解説も継続して行っていきたいと思います📚✨
「この問題も解説してほしい」などのご要望があれば、ぜひお気軽にお声がけください🙌
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