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撮影現場で知った「見えないところ」のつくり方

なぜ、本物そっくりじゃない胸パッドを商品化したのか?


PREMA BODHI(プレマ・ボーディー)の商品写真を見て、こう思う方がいるかもしれません。

「これ、胸に見えない」

確かにそうです。

世の中には、本物の乳房に近い形や質感を目指して作られた乳房補整パッドがあります。

それに対して、プレマ・ボーディーは三角形です。
肌のような質感でもありません。
本物の胸とはかなり違う素材、形をしています。

それでも私は、この形の商品を世に出したいと思いました。

なぜなら、最初から目指していたものが違うからです。

日常のほとんどは、服を着ている

胸パッドを実際に使う場面を考えてみると、日常生活の圧倒的に長い時間、私たちはその上に服を着ています。全裸や、裸に近い状態で過ごす時間は短い。

仕事に行く。
買い物に行く。
食事をする。
友人と会う。
旅行に出かける。
運動をする。
海やプールへ行く。

そのとき、胸は丸出しではありません。ほとんどの場合、服やウェアを着ています。

服を着たときの身体全体のシルエットを整える

だったら、裸の状態の時に本物の乳房にどれだけ似せることができるか、よりも、服を着たときに自然なシルエットになることのほうが、日常では重要なのではないか。

そして、毎日使うなら、
扱いやすいこと、動きやすいこと、洗えること、自分の身体や服装に合わせて調整できることが、想像以上に重要です。

プレマ・ボーディーは、そこに目的を絞りました。

撮影現場で知った「見えないところ」のつくり方

私は、社会人になってほぼずっと広告の制作を仕事としています。

ファッション関係の撮影案件もよくありました。
華やかに聞こえる仕事ですが、その裏側には、驚くほど現実的な工夫だらけの現場があります。

服のラインをきれいに見せるために、見えないところをピンやガムテープで留める。衣類や背景だけではありません。衣装をより見せたい形に整えるために、場合によっては、モデルさんの衣装の下は、カラダ中ガムテープが貼られていたりします。
もちろん、カメラに収められた完成形からは、そんなこと、考えも及びません。
広告の撮影現場では、それは当たり前のことなのです。

そんな撮影現場の裏側を、あるサーファーの言葉を聞いたとき、ふと思い出しました。

「片胸がなくなったことはもうどうしようもない。でもね、お気に入りの水着を着てサーフィンしたいんだ」

目的は「裏側まで本物そっくりの胸を再現すること」ではありませんでした。

水着を着た時に、どう見えるか。
荒波の中でサーフィンした時に、大丈夫か。

胸パッドを考えているとき、私はファッション系の撮影現場の感覚を思い出しました。

胸パッドそのものを「本物の胸」に近づけることと、その人が服を着たときに「調子が良い」ことは、必ずしも同じではない。

サーファーが海で必要としているのは、後者でした。

胸そのものではなく、日常を見る

もちろん、本物に近い形や質感が求められる場面もあるでしょう。それこそ、ヌードやセクシーな衣装の撮影の時とか、胸元が見えるパーティードレスを着る時とか。一般人であれば、公共の温泉や大浴場に入る時には本物に近い方が嬉しい場面など、シリコンなどで本物そっくりに作られた製品が役立つ場面もあり、プレマ・ボーディーは、それを否定しません。

私たちが考えたのは、別の役割です。
スポーツシーン、そして、毎日の普通の生活の中で、日常的に使うギアとしての胸パッドです。

服を着て過ごす。
ウェアを着て身体を動かす。
汗をかく。
プールや海に入る。
洗濯する。
また翌日使う。

特別じゃない日常の中で、毎日、大して気にもせず、気軽に簡単に使えること。

そのために、
素材を選び、
形を考え、
抗がん剤の影響で太ったり痩せたりした彼女が、いちいちそのたびに買い替えなくて良いように、サイズも自分で大きくしたり小さくしたり調整できる構造にしました。

見た目のリアルさより、日常的に使用する前提で、上に服を着た時のシルエットと使い勝手に、目的を振り切った。

それがプレマ・ボーディーです。

衣類側は汎用性のある面テープ、体側には汗をかいても滑りにくいサーフィン用ウェットスーツで使用する素材を使用。裏と表、両側でズレを防ぐ、独自のダブルすべり止め構造で、たとえ水の中で運動してもズレにくい胸パッドを実現しました。

見た目は、本物には似ていません

だから、プレマ・ボーディーは本物の胸そっくりではありません。
目指したのは、
それを身につけた人が、服を着て、いつもの日常で、いかに普通に使えるか、毎日の生活に溶け込めるか、です。

胸パッドのことを必要以上に意識せず、最小限の手間だけで、できるだけ手術前と同じような流れで一日を過ごせること
そうでなければ、続かないと思ったのです。

実際、彼女が最初に購入した専用下着とシリコンの水中対応胸パッドは、数えるほどしか使わなかったそうです。
また、別の方も、購入しても専用下着に馴染めず使わなくなったのだと話してくれた人も1人2人ではありません。

そもそもブラジャーやブラトップで愛着のあるものというのは、買うときに色々考えて、試したり比較したりして選んで買って、毎日使ってきているものです。ヨガのウェアやサーフィンの水着だってそう。
下着だけではありません。下着に合わせて購入した衣類やウェアもあったりしませんか。

いきなり、それらすべてが使えなくなるなんて、実はとても大きな喪失感を伴うことなのです。

だから、プレマ・ボーディーは、専用下着を作らず、手持ちのもので使える仕様にこだわりました。
もちろん、形や素材によっては使うのが難しいこともあります。でも、できるだけ、自分らしく、自分の愛用しているもの、ひいては自分そのものを大事にしてほしいのです。

私たちが作りたかったのは、そんな、
いつもの自分に自信を持つための日常生活ギア。

とても便利な胸パッドができたので、この胸パッドを通じて一人でも多くの人が、胸をなくした喪失感に溺れ続ける淵から立ち上がり、自分らしく人生を歩けるとしたら、そんな助けができたら、どれだけ嬉しいことでしょう。
そんな思いから、商品化に踏み切ることにしたのです。


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