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私のヘッドホン経歴を振り返る part.1

経歴:まとめ

  • ヘッドホン

    • 2003年:Pioneer SE-380

    • 2004年:オーディオ・テクニカ ATH-W1000

    • 2005年:Victor HP-DX1000

    • 2005年:SONY MDR-SA5000

    • 2009年:DENON AH-D7000

    • 2022年:MDR-Z1R

  • DAC/AMP

    • 2005年:Roland UA-25

    • 2005年:オーディオ・テクニカ AT-HA2002

    • 2013年:Pioneer N-50

    • 2024年:Sabaj A20d

    • 2025年:Luxman P-750u mk2

今回は、色を黒くしたヘッドホンたちの思い出をすこし振り返る。

ヘッドホンに目覚める夜明け前

大学受験に失敗し、初めてした一人暮らしは予備校の寮であった。薄い壁で音楽を楽しむ為に、なけなしの小遣いで買ったのが、PioneerのSE-380であった。確か3000円くらいだったが、それでも十分な出費だったことを覚えている。近所の家電量販店で、ちょっとかっこいいデザインを選んだ。当時の感覚だと、ヘッドホンなんて高くても1万円位の物なのだろう、そんな感覚であった。

翌年無事大学に合格した。予備校の寮に持っていけなかった愛機のMacのHDDの中には、リッピングした数多の音楽が詰まっていた。初めてのアルバイトは電気屋での日立のPCの販売説明員だった。土日をほぼフルに使って稼いだお金。初めてのお給料は8万円くらいだった。自分のご褒美にと、梅田のヨドバシカメラに1万円位のヘッドホンを買いに行った。一人暮らしの部屋で、音源を楽しむのにちょうどよいと思ったのだ。たしか2004年の10月頃。そこから、私のヘッドホン人生が始まった。

「5万円のヘッドホン?馬鹿じゃないの?」

今でも忘れはしない。梅田のヨドバシカメラの確か3階だったと思う。ヘッドホンの視聴コーナーがあり、そこには様々なヘッドホンが並んでいた。とりあえず手に取ったオーディオ・テクニカの1万円位のヘッドホン、ATH-A500、700、900…徐々に値段が高くなっていく。確かに音がちょっと良くなって行く感覚があった。そして一番横を見ると、きれいな木のハウジングのATH-W1000(5万円)があった。

私はそれを見て鼻で笑ったのを覚えている。たかがヘッドホンに5万円って馬鹿じゃないのか、と。一体こんなものに誰がこんな大金を払うのだろう。そして興味本位で耳にかけた…そして私は一瞬で恋に落ちた


当時の写真。携帯電話で撮ったものだと思われる

ヘッドホンから始まったピアノジャズ

いつの間にかATH-W1000を私は買っていた。標準プラグの6.3mmを挿せる機器が無くて、変換プラグをまた電気屋に買いに走った。そして、Macのヘッドホン端子に繋いで聴いていた。当時とにかくいろいろな音楽を聴いた。その中でも、好きなアニメのカウボーイ・ビバップのオリジナル・サウンドトラックをお気に入りで良く聴いていた。実際にATH-W1000で聴くと、ジャズがものすごく芳醇な音に聞こえたのだ。

ジャズに興味を持った私は、大学が終わった後に、友達とふらっと行った梅田のタワーレコードで、ジャズの名盤を一通り買ってきた。Chalie Paker、Miles Davis、Sonny Clark、そして、Bill Evans。ATH-W1000で聴くBill Evansは特に良くて、片っ端からCDを買い漁ったのだった。

もっと良い音で聞きたくなって…アンプに手を出す

せっかくの良いヘッドホン。そこに電気信号を出力しているのが、Macのミニプラグであることに疑問を感じてくる。ヘッドホンの性能の半分程度しか活かせていないのではないか、と。すると、当時ATH-W1000と相性最高といわれた2002年の限定モデルのヘッドホンアンプのAT-HA2002が欲しくてたまらなくなった。

お正月に実家から帰省したその足で、梅田のヨドバシカメラに行き、ガラスケースに展示されていた最後の1つを店員さんに頼んで出してもらったのを覚えている。そして、当然ヘッドホンアンプだけでは意味はなく、ちゃんとRCAでつなげるオーディオ・インターフェイスを色々と調べ、Roland UA25を購入した。

HA2002が約10万円弱、UA25が2万円ちょっと。合計で12万円。一生懸命溜めたバイト代が一瞬で飛んでいった瞬間だった。

なんとなく聴いて、また恋に落ちる

ATH-W1000を使っていて満足していたのだが、やはりそこにも疑問が出てくる。インターネットを調べると、もっと評価の高いヘッドホンが数多ある。今でも名機と愛されるゼンハイザーのHD650はその代表だっただろうか。

2005年の7月末か、8月のはじめ頃だと思う。とても暑い日だった。ゼンハイザーのHD650を視聴したくて日本橋のシマムセンにふらりと立ち寄った。ゼンハイザーの音は、どこかベールがかかったようで個人的には好きになれなかった。店主に「ピアノジャズにおすすめのヘッドホンってありますか?」と、なんとなく尋ねてみた。すると、発売されたばかりと出してもらったのがVictorのHP-DX1000。これでWaltz For Debbyをかけてもらった。そして、また一瞬に恋に落ちた。その音の立体感やピアノの厚み、ATH-W1000と何度も聴き比べて目を丸くした。当時預金管理していた郵便局のATMに走り、ほぼ全財産の10万円を下ろしてそのまま購入して帰った。

スピーカーで聴いているような体験をヘッドホンで出来るようにと開発されたその音は自分の感覚にとてもピッタリだった。世間ではやや中音域が盛られすぎているとか、高音は曇り気味で低音の量は多いが下まで出切っていないかまぼこ型とか、色々言われていたが、とにかく自分にはピッタリで、ピアノジャズのピアノのフォーカスがドンピシャだったのだ。

次のバイト代と親からの仕送りが来るまでの間、殆どお金がなくて、ひもじい思いをしながらも、HP-DX1000の奏でる芳醇な音でお腹を満たしていた、そんな記憶を今でも鮮明に思い出せる。

ATH-HA2002とHP-DX1000のコンビは、それから約17年もの間、私のヘッドホン環境として君臨し続けることとなった。

2015年頃、生まれたばかりの長男と寝る枕元にはHP-DX1000があった

開放された窓の外は雪の用に冷たかった

さて、ATH-HA2002とHP-DX1000のコンビはとにかく最高だった。ずっと夜な夜なBill Evansを聴いては浸っていた。その一方で、インターネットでも色々ヘッドホンの情報を調べたりもしていた。すると、密閉型は音場が狭く、開放型の広さには勝てないとか、開放型のほうが歪みが少なくて音がピュアとか、そんな事が書かれていた。

私が持っているのはATH-W1000とHP-DX1000は2つとも密閉型で、開放型の音場の広さや、ピュアな音がどうしても欲しくなってしまった。そして、当時SONYが出していた手に届くハイエンドヘッドホンのMDR-SA5000がセールで安売りしており、衝動買いしてしまった。

2005年の年末、大阪でも雪が積もった。だから配達されるのが遅れて、なかなか届かなかったのを覚えている。そして、やっと届いたそのMDR-SA5000の音は…なんとも雪のように冷たかった

2011年頃。一番奥がMDR-SA5000

密閉型のHP-DX1000が奏でる音の情熱みたいな物が一切無く、低音は必要最小限でただただトランジェントだけが高く、どこまでも透き通っているのに、どこまでも冷徹。坂本龍一の裏BTTBとかをコレで好んで聴いていたけど、Bill EvansやSonny Clarkといった鉄板ジャズピアノは全く楽しめず、結局HP-DX1000をずっとメインで使う、そんな日々が続いた。

言葉では説明できない好み

そこからは、主にiPodとイヤホンに投資が向かって、据え置きはそれなりに安定し、特に新しい情報もウォッチしなくなった。

ただ、その中で気になった機種。同じ木のヘッドホンで圧倒的な低音が鳴ると話題だった、DENONのAH-D7000。中古で頑張って競り落とし、鳴らしてみた。確かに良い音で、HP-DX1000と比べても明らかに解像感は高く、低音はどこまでも下まで伸びていきドスンと響いた。悪い機種ではなく、個人的な評価も悪くない。ポップスを聴いたりする時は多分AH-D7000の方が良いと思う事も多かった。

でも、私はHP-DX1000が手放せなかった。とにかくピアノを聴いたときに自分の心を震わすのがHP-DX1000だった。周波数的には低音は出ていないのだが、HP-DX1000は空気を震わすのが上手いような、音の濃密さというべきか、空気感というべきか、それに伴う音の立体感というべきか、とにかく自分には何者にも代えがたい魅力があった。

ちょっとオシャレに写真を撮った物。多分2015年頃

AH-D7000はHP-DX1000ほどではないが、お気に入りといえばお気に入り。その後もそれなりに使われたが…出番はそこまで多くなかった、そんな印象だ。

結婚と家庭。そしてヘッドホンからすこし離れる

結婚し、家庭を持ち、働き出すと、なかなか高音質で据え置きヘッドホンシステムを聴く機会が無くなっていく。通勤時のイヤホンがメインで、据え置きはあまり使われる機会も無くなり、すこし雑な扱いになってしまっていった。

特に第一子が出来た後は、とにかく子供ファースト。転職して大きく減った給与で贅沢も出来ないという事情もあった。

しかし、2018年から在宅勤務を開始すると、その扱いは一変。HP-DX1000をメイン、サブにAH-D7000と、この2台は何度もイヤパッドを交換するほどにガッツリ使い潰されていくのであった。

在宅勤務を始め、独身時代に良いヘッドホンシステムを組んでおいて良かったと、心からそう思う日々であった。

part.2につづく

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