答えを探す読書から、自分に出会い直す読書へ。
最近何しているの、と訊かれたら、「養蜂を学びながら、本ばかり読んでいます」と答えている。読む本に決まった傾向はなく、小説、エッセイ、時代考察本から、社会学の新書まで、そのときの気分でひろく手を伸ばしている。
20代のころの読書は目的がはっきりしていて、社会をどう生き抜くかの正攻法が書かれた自己啓発本を選び、読み方も答えを探すような読み方だった。経験の引き出しが増えた今、本を開くたびに、心に触れる場所が変わっていっている。
読書は、自分の中の「何か」に出会い直す時間
例えば、柚木麻子さんの『BUTTER』を読んだときのこと。
女性の生き方は多様になった。むしろ、定まった正解がなくなったとも言える。「女なんだから〇〇であるべき」という規範自体が、時代とともに揺れ動き、私自身もその歪みの中にいた。なんとなく感じてきた棘ある違和感の正体を小説の中で追体験すると、向き合わざるを得なくなる。そして、「こうあるべき」と自分を厳しくジャッジし苦しめていたのは、ほかでもない自分自身だったことにハッとする。
物語を追っているつもりで、いつのまにか自分の内側を深くのぞき込んでいた。空気のように感じていた違和感やずっと当たり前だと思っていた決まりごとが、じつは「ここ数十年ほどで生まれた当たり前」にすぎなかったのだと、本の中で気づかされる。
本を読むことは、知識を身につけること以上に、すでに自分の中にあったものに名前をつけていく作業なのかもしれない。読書は私にとって、自分の中の「何か」に出会い直す時間になっている。
ひとりで読むだけでは、届かない場所がある
本を読んだ後は、日記に書いたり、友人との雑談で口に出したりと、あえて「言葉にする時間」を作るようにしている。言葉にしてみることで、自分が本当に気にしていることや、確かめたいテーマが鮮明になってくるからだ。
また、そうやってわざわざ言葉にするのは、自分の中にある個人的な違和感や感情が、自分ひとりだけの問題とは到底思えないからだ。同じ時代を生きる誰かと共有できるんじゃないか。共有することを通して、ひとりでは気づけなかった「自分の続き」に出会えるんじゃないか、という予感がある。
Still Reading Book Club、はじめます
Studio Stillnessを運営するFuyutoさんと一緒に、ブッククラブを始めます。(正確に言えば、Fuyutoさんに「ブッククラブ、やらないんですか」とゴリ推しした)
名前は「Still Reading Book Club」。Stillには「まだ読みかけ」という意味と、「静けさ」という意味を重ねている。
「読む」という行為は、本を開いているあいだだけのものではないと、最近つよく感じている。読み終えたあとも、誰かと本について語るあいだも、言葉が腹に落ちていくまで、私たちはずっと読んでいる。こんな読書体験を誰かと共有したい。
このブッククラブでは、ひとつのテーマを起点に、それぞれが読みかけの本を持ち寄ります。積んだままの本でも、付箋だらけでも、書き込みがあってもOK(むしろ歓迎です)。まずは持ち寄った本を、いちど互いに交換して、30分間静かに読む。それから、気になった一文を紹介し、そこから思い出した自分のことを、少しだけ話してみる。そんな時間にしたいと思っています。
いま自分が感じたことを起点に、少し深いところで、誰かと響き合ってみたい。そんな風に感じている方に、お越しいただけたら嬉しいです。
【開催概要】
日時:2026年8月5日(水)19:00 – 20:30頃
場所: slo Nihonbashi
参加費:2,000円(ワンドリンク付き)
定員:10名程度
初回のテーマは「心地よさ」。テーマに響く、読みかけの一冊を持ってくる。それだけでOKです。少しでもテーマ「心地よさ」と接点がありそうな本だと嬉しいです。読みかけでも、積読でも大丈夫。ご自身が言葉から連想する一冊をお持ちください。ファシリテーターが持参する本はこちら。選書の参考にしてみてください。

ご興味のある方は、こちらからお申し込みください。
