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おはなしを読むこと聞くこと

読み聞かせボランティア歴(もうすぐ)30年

今どきは「〝読み聞かせ〟は押し付け感があるので、〝読み語り〟と言った方がいい」などと言われたりしますね。
AIに聞いてみたら、こう言われました。

読み聞かせと読み語りには、本を見せながら物語を語るという行為としての大きな違いはありません。

AIによる概要

ですよねー。私もそう思います。どっちだっていいじゃん。
でも、「〝読み聞かせ〟って上から目線に感じられて嫌な気持ちになる」という方もいらっしゃるでしょう。
言葉のニュアンスというのは難しいものです。
まぁでもここでは「読み聞かせ」とします。
私はずっと「読み聞かせボランティア」として活動してきたので。

読み聞かせに救われました

激しく手のかかる長男の育児(それもワンオペ)はそれはそれは大変でした。
寝ない、泣いてばかり、ずっと立って抱っこかおんぶ、その間に家事もやらなきゃいけないし…。
自分の自由になる時間が全くなかったことが本当にストレスだったなー。
毎日つらくてつらくて、この地獄がいつまで続くのかと思うと、ちょっとしたことで泣けてくるんですよね。
当時の家が2階だったので、何度もこいつ(息子)を窓から投げ捨ててやろうかと思ってました。虐待一歩手前です。
そんな私を救ってくれたのは絵本の読み聞かせでした。
地元の書店の読み聞かせボランティアは託児があり、我が子を預けて他の子たちに絵本を読んであげるのです。
私が読む本に夢中になっている子どもたち、「おもしろかったです。ありがとうございました」と声をかけてくれるお母さん。
どんなに子育てをがんばっても誰も褒めてくれない虚しさに鬱々としていましたが、「私のスキルが役に立っている」と思えたおかげで前向きになれました。
そして何より、自分の声で絵本の世界を表現することがとにかく楽しかったのです。

私の所属する読み聞かせグループは、複数人で登場人物を分担する朗読劇風のスタイルが特徴です。
音楽もふんだんに入ります。
仲間はみんなごくフツーのお母さんたちですが、みんな芸達者!
特に音楽担当のメンバーがお話にぴったりのオリジナル曲をピアノで弾いてくれたり、打楽器で効果音を入れてくれたりするので、お話の世界への没入感がすごいのです。
こうして、絵本の読み聞かせは私のライフワークになりました。

声でおはなしを聞くということ

「読み聞かせ」「読み語り」のほかに「読み合い」という活動をなさっている方もいます。
児童文学者の村中 李衣さんです。

昨年、村中先生の講演を黒姫童話館に聞きに行ってきました。


村中先生の声は、温かく優しく、ちょっと面白みもあり、とても安心感があるのに、「くらーいくらーい」とお話しされた時は一瞬で暗い部屋の風景が見えました。すごい!

「さわっていい?」という本を会場の皆さんの声で聞いたのですが、文字で見ると「さわっていい?」という一種類の言葉なのに、いろいろな声で聞くと、「さわっていい?」がいろいろな「さわっていい?」になるんです。

声って風景が見える。しかもその人の声でないと見えない風景がある

村中先生の言葉

私は話し方講座のようなものを頼まれたりするのですが、キレイな声でアナウンサーのように流暢に話すことを望む方が多く、私としては「その人がその人の声で話すからこそ伝わるのにな…」といつも釈然としない思いを抱いていました。(そもそも「キレイな声」の尺度も人それぞれですし)
村中先生のおはなしをお聞きし、「あぁ、私が普段思っていることを大事にしていいんだな」と勇気づけていただいたように感じ、今後も「その人の声でないと見えない風景」を大事にしていきたいと改めて思いました。

余談ですが、黒姫童話館ってステキなんですよ!
ちょうど「柿本幸造展」をやっていて、どうぞのいすが置いてありました。

2021年に書いたこと

2021年の年明け、Facebookにこんなことを書きました。

2020年がこんな年になるとは思いませんでした。
例年20〜30回あるおはなし会も軒並み中止。
でも、感染拡大が落ち着いていた昨年秋は3つの学校に呼んでいただきました。

ある小学校では司書の先生からアラビアンナイトのリクエストがあったので、私が小さい頃読んでいた『世界の童話』シリーズを実家から持ってきて四十数年ぶりに再読。
幼い私はこの本の中の『ダイヤモンドの少女』というお話が大好きだったんです。
そこで、長男にも「小さい頃一番好きだったおはなしって何?」と聞いてみたところ、「うーん、うちの本はあんまり僕の好みじゃなかったんだよね。だから幼稚園で『おおきなかぶ』と『ぐりとぐら』を繰り返し読んだなー。あのカステラが食べたくってねー」と。
がーん。そうだったのか…。
昔ながらの名作ってやっぱりすごい…。
子ども達が小さい頃に読んであげたうちの本はほとんど私と夫が買ったものです。大人の価値観で選んでいたのかもと、ちょっと反省しました。  

私の育児うつを救った読み聞かせ活動ももうすぐ30年。
仲間にも恵まれ、いろいろな思いで取り組んできました。
私たちのグループは何より選書に力を入れてきたので、これまでも決して間違った方向性ではなかったと思っています。
でも、ちょっと考えてしまいました。
「おもしろおかしい話で子どもにウケがいい」「自分が読んで感動したから子どもにも聞かせたい」などなど、大人の都合で本を選んでいないだろうか…。

絵本専門店の方の「子どもたちの心身の奥底に届いてその後の人生の喜びや悲しみにきっと寄り添えるような作品を並べることが専門店の役割。大事なのはその場での反応ではなく後からでもその子の心にちゃんと届く内容。物語の力を信頼してほしい」というコメントがすごく心に響きました。

今どきの人気絵本でこどもたちが大笑いして楽しんでくれるひと時もいいと思います。でもそればっかりじゃなくて、幼い私が世界に入り込んでドキドキわくわくしたように、子どもたちには物語の世界に没頭する経験をして欲しいんです。
だからこの頃は、本を選ぶ時に今の私の価値観だけじゃなくて、幼い私を思い出すことにしています。あの頃夢中になったお話は何だっただろうかって。
これからもお話の世界を味わう豊かな時間を、子どもたちとともに過ごせたら嬉しいなと改めて思いました。

2021年1月のFacebookより

そして今

私が読み聞かせを始めた頃、私達のボランティア団体のメンバーはみんな若いママ。他の団体と比べて若手の部類でした。
それが今や、一番若くて40代後半、ボリュームゾーンは60代、おばあちゃんの世代になろうとしていいます。
↑「2021年に書いたこと」をFacebookに投稿した時から4年が経ち、私たちの老化もずいぶん進みました。
それなのに、今でも私たちの団体は若手なんです。恐ろしい…。
この30年で共働き&フルタイムで働く方が増え、新たなボランティア団体を立ち上げるような状況ではないのでしょう。
そんなわけで、私たちはいまだに子育て支援、小中学校、福祉施設などあちこちから声がかかりお話の読み聞かせに行っています。
家族の形も価値観も多様になり、年上ばかりだった学校の先生たちもみんな年下になってしまいました。
私達のようなオバサン(おばあさん)が行うおはなし会は時代に合っているのだろうか、子どもたちは楽しんでくれているのだろうか、ボランティア活動自体も今後どうしていったらいいのだろうか…。

近頃、折にふれてそんなことを考えていたのですが、先日私の所属する一般社団法人アナウンス発声協会EACOの絵本セミナーに参加して、ちょっと未来が見えた気がしました。
講師はEACO副理事長の茂木亜希子さんです。
茂木さんは「おはなし作家もぎあきこ」としてもご活躍中ですが、ここに至るまでのストーリーがすごかった…。人に歴史ありですね。

EACO主催「絵本読み聞かせセミナー」

茂木さんがお話を書いた『はやくちレストラン』を参加者22名(みんなプロのアナウンサー)でリレー朗読しました。
やっぱりその声だからこそ見える風景があります。

セミナーの中で茂木さんがさまざまな絵本を紹介してくださったのですが、私たちのグループで読んでいる本と重なるものも結構あって、「あ、私たちもあんまりズレてないかも」と思いました。
さらには、参加されたみなさんがご自身のお子さんの学校で活動なさったり、それ以外でもおはなし会を開催されたりしているというお話をお聞きして、数年前(いや、数十年前…)の私を思い出したり。
おはなしを楽しむことは時代年代に関係ないですね。

悶々としていましたが、引き続き読み聞かせ活動を続けていこうとちょっと元気が出ました。

私が個人的に好きなおはなし

声に出して楽しい話とかストーリーに没入しちゃう話が好きなんです。
思い立った順に箇条書き。

  • 『ゆかいなさんぽ』…好きすぎる!これは声で聞いてこそ!絵のインパクトもすごい。 でも絶版なのが残念。ある小学校で読んだら誰よりも校長先生が大爆笑してました。

  • 『ジュマンジ』…小学校1年生から大人まで楽しめます。ゲームの中に入っていくところの声の演出と、効果音がポイント。

  • 『パパゲーノとパパゲーナ』…音楽隊大活躍。絵もキレイ。

  • 『かさぶたってどんなぶた』…詩集です。特に好きなのが「がいらいごじてん」これは工夫のしがいあり。あと「お経」これは木魚とお鈴を入れると盛り上がります。

  • 『よかったね ネッドくん』…参加型。ジェスチャーや合いの手が楽しい。

  • 『きりぎりすくん』…「おはようぐみ」が異彩を放っています。

  • 『たべものやさんしりとりたいかいかいさいします』…絵がサイコー。本屋さんで立ち読みしてて、笑いを堪えるのが大変でした。即購入。

今どきのおはなし以外でも、アンデルセン、イソップ、グリムやその他外国の昔話、もちろん日本の昔話、落語、怪談、おじいちゃんに語ってもらった地域の民話とかも面白かったなー。

書き出したらキリがないので、このくらいで。

結局、おはなしは読んで楽し、聞いて楽し

でも、私としては、どっちかっていうと「読んで楽し」がやや強い感じ。
登場人物の話し言葉を読む時、「こんな声かな」「こんな話し方かな」って自分でキャラ設定して、表現して、それに対して聞き手のリアクションがあって…という事がとにかく楽しいのです。
先日『だいおういかのいかたろう』を読んだのですが、いかたろうは「こおりを とかして くれなイカ?」とか「そりゃ、イカした かんがえだ!」とか言うんですよ。
で、途中のいかダンスは聞いてくれている子たちにも一緒に踊ってもらおうという話だったので、私もノリノリで「みんな一緒に踊ってくれなイカ」とか、「準備はイーカ」とかアドリブ入れたりして。
『いただきバス』シリーズの「おはようございバス」も読んでて楽しい〜。
『おいてけぼり』で奥さんがのっぺらぼうに変わるところのセリフとか、『りょうりをしてはいけないなべ』のなべの気だるい感じもお得意です。

そんなこんなで、結局自分が楽しいから続けてるってことですかね。
チームで取り組んでいるってことも楽しい一因だと思います。
私たちの読み聞かせボランティアグループは、奇跡のチームなので(自画自賛)。
なんとなく活動に後ろ向きになったりすることもあるけど、やっぱり今年度もがんばろっと。

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