宿命と絶対美

夥しく刑戮された者たちの怨執の器として生を受けた天草四郎時貞。時貞の信を得て付き従う、幕府より密命を受けた伊賀者の男。反乱の布石と機運が熟す中、男は次第に時貞の凄惨たる宿命と絶対美にデウスの神秘を見出していく。伴天連も参戦し酷烈を増す籠城の戦、莫大な死傷に背水となる幕府方、窶れと共にさらなる妖艶を纏う時貞。現世を超越するが如き影響が九州諸侯に蜂起の兆しを現ぜしめ、延いて天下が修羅の業火にまた還らんとするとき、男は少年と相死ぬ覚悟を決する。
「儂が死なば救いSALVAも滅するのだぞ」
神羔頌を誦読し終わった、まだあどけない少年の口が半ば息を切らしながらささやく。
戦の魔境が最高潮に達し、愛と破壊、死と救済が交わり合う中、屍山血海に聳える原城にその夜が来る。


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