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【コラボレーション作品】おどりが好きなあの子

※この作品には流血表現が含まれています

おどりが好きなあの子は
ねむってる
ひとりで
カギをかけて
目を覚ましたら
また眠る



だって




体がいたいの
目に見えない場所から
どくどくと血が


誰かがあの子をつかまえ
目隠しをした
後ろから
痛いものをつきさした

あの子は押さえつけられ

口の中に布を詰めこまれ

エビみたいに反って

電気じかけみたいに

ふるえ





…それから、死んだ  




あの子はもう
おどれない
ほんとうは
おどりたいの

なのに
まるでこわれた人形

みっともないとみんなが笑うの  





長い長い間
そこには
だれも住まなかった
崖の上の
氷でできた牢獄
一千年の、見えない罪により
閉じこめられている


こわい人が
きませんように

こわい人はこない

でも

やさしい人もこない

だれもこない

海鳴りの聞こえる檻で
眠り続けた
長い長い間








ねむってるあいだに

ずいぶんな時がすぎて

わたしはすっかり

おとなになっていた



檻から出て
外の空気を吸う

日差しは肌を刺さない
人に笑われることはない

こわいひとは
もういない    


いやな人が
いやなことをしてきたら
武器をもって
たたかえばいい
だまってることないの
もう
こどもじゃないんだもの  


呪いが解けた
ぎくしゃくなんてしてないわ

わたし
にんげんだもの

人形じゃない

その手は
もうふるえない

足を踏み締め
立ちあがれ




長い時を
炎のように燃やせ

輝けなかった時間を
ストールにして打ち振れ

ステップを刻め

それは怒り  



いたずらに重ねてきた
歳月の重みをはねのけ

ドアを破れ

檻を壊せ

踏みつけた戸板の上
焔と化して
怒りのボレロ


笑え

踊れ

叫べ

奪われた感情が帰ってきたのだ

もてなせ

祭をおこなえ


光の中で、踊りきれ

生きているから



命の焔を捧げきれ    




word:きいろ
illustration:みどりーぬ
layout:みどりーぬ  


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