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大きな君の手のひらは【二次創作BL小説シリーズもの】#3

「かっちゃん、油断しちゃったの」
 君ともあろうものが僕をからかいながらクウの頭に手を置いた瞬間だった。
 ボン、という音を立ててまるでデジャヴュのように、小さいかっちゃんの姿が目に飛び込んで来た。
 顔の赤いクウは、花粉症だというネネの言う通り、くしゃみの格好のまま、前回のよう大きくなってしまっていた。
「あたしちゃんと忠告したからね!」
 僕にしがみついたネネは、それでも前回の事を覚えているのか、僕に身体を隠している。
「……………………おい」
「ひゃい、くし」
「服寄越せ」
「ネネ〜、服、取って来て〜」
「貸しイチだからね、クウ」
 丁度前回借りた服を返しに来ていたところだ。タイミング良いのか悪いのか。
「デク!クウにダイナマの服貸してあげてよ」
「うん、それがいいみたいだね」
 多少負い目があるのか口を噛み締めているネネの頭をぽんぽんと叩いてあげながら、ネネの意を汲んであげる。ああ、かっちゃん、本当にガキには甘えなって顔。
「性分だからね」
「へいへい」
「もー、二人の世界作らないで!」
「ごめん、ごめん。行こうか」
 まだ口を噛み締めているネネの手を繋いで、クウの服を取りに行く。
「あたし、ちゃんと言ったよね。クウ、花粉症で熱出て個性上手く制御出来て無いって」
「うん、ネネのせいじゃないよ。かっちゃんちょっと油断しちゃったんだと思うよ。かっちゃん、ここが、孤児院が、子供が好きだからね」
 それに子供の僕との一夜を思い出して、照れたんだと思う。ネネには言えないけども。僕の幼いキスの後どうしても僕がかっちゃんを抱き締めたくなって、黒鞭と浮遊使ってかっちゃんと夜を共にした。かっちゃんが思い出して照れちゃう位のことはしちゃったし言っちゃったかなと思います。
「デク?」
「あああ、何でもない何でもないです。うん」
「もー、あたしだって反省くらいするんだからね」
「うん。かっちゃんにも、抱き着いてあげてね。かっちゃん喜ぶから」
「えー?ほんとにい?」
「はは、ああ見えて、子供好きだからね」
 ホントかなあって言いながら、クウの私室の扉を開けるネネ。
「ダイナマってさあ、デクのどこが好きなの?」
 クウの私服を物色しながら、中々の質問。うーん、かっちゃんに聞かないでくれてありがとう。僕の心臓が持たない。
「どこ、なんだろね。かっちゃんは僕のどこが好きなんだろう」
 結婚して結構経つけど、自分でも分からないや。
「僕がかっちゃんの好きなとこなら、幾らでも思い浮かぶけど」
 憧れに従順で、今でも一途に追い続けているところとか。
 ある時から僕に掛ける笑顔がとてつもなく柔らかで確かな熱を帯び出したところとか。
「うーん、またもや二人の世界の気配」
「え、そ、そうかな。はは」
 最近の子はっていうか、ネネは鋭いなあ。女の子なんだな。
「訳分かんない納得してるのはいいけど、もう、選んだわ」
 クウの私服を抱き締めて、多少晴れやかになったネネは、早々に部屋を出る。
 うーん、女の子って難しい。

 二人の待つ部屋に帰ると、クウはかっちゃんの替えの服を借りたのか着替えていて、かっちゃんはだぶだぶの服を着たまま待っていた。
「かっちゃん、クウ、お待たせ」
「おう、待ったわ」
「はい、着替え。ダイナマの趣味には合わないと思うけど」
「御託はいいわ、着れりゃあよ」
「もー、態度わるーい」
「うるせえ」
 ネネとかっちゃん、いつも通りかな。やっぱり子供好きだよな、かっちゃん。
「あんだよ」
 服の腕を通しながら、こちらを伺うかっちゃん。
「うん。かっちゃん、着替えたら帰ろうか」
「いいんかよ、ガキ共待ってるやろ」
「うん、こっちの子供優先したくなっちゃった」
 かっちゃんの頭をぽんぽんと叩いて、しゃがんで顔を合わせる。
「甘いわ」
「ふふ」
「二人の世界作るなら帰ってからにしてよ!!」
 ネネに急き立てられるように、孤児院を後にした。
「おまえは、俺に甘い」
 帰り道。手を繋いで、二人の家に帰る。
 こちらに寄せられた身体と瞳が、柔く熱を帯びている。
 愛おしい。
「君ばっか犯罪者にするわけにいかないしね」
「ばあか」
 浮遊と黒鞭使っていそいそと家路を急いだことを許して欲しい。

 乱れた一夜を過ごした早朝、二人のベッド。
 元に戻った君がいる。ああ、全部が愛おしいんだ。
 すうすうと健やかな寝顔を晒す君が愛しくて、そっと頬に手を当てて、キスを送る。
 君がそっと瞳を開くまでキスを送った。
 ゆるゆると瞳を開いて、その赤を日に晒す。
 ああ、綺麗だ。
「おはよう」
「……おはよう」
 君はいつも丁寧に朝の挨拶を返す。
 それはどんな時でも。
 僕が君を乱したその後も。
 眠さをこらえて丁寧に。
 大きな君の手のひらは、それでも僕を手に取って、握り返してくれた。



大きな君の手のひらは

プロヒ結婚済出勝。孤児院訪問。クウとネネというモブの子供が結構喋ります。

かっちゃんが個性事故で子供になります。

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