水無月某日日記
某日。
出かけると駅前に人だかりができていた。
飲むと無敵になれるタイプのエナジードリンクの無料配布が行われているのだ。
若者も多い街だが、年配も多い街。
渡されるものがなんだかわかっていないようなおじいちゃんおばあちゃんが無料という言葉に惹かれてか、キリッとした化粧のお姉さんからいかついデザインのドリンクを次々と貰っていく。
そのコントラストたるや。
おじいちゃんが飲んで心臓とか血管にダメージが出ませんように。
おばあちゃんが夜眠れないと嘆きませんように。
余計なお世話だが心配でドキドキしてしまったのだった。
某日。
ある仕事が完成したので、息子たちに見てもらう。
たまにどんなことをしているか見てもらって、まあ子どもたちが遊んでいる横でごにょごにょやっていることがこんな形になっているんだよというのをわかってもらおうという意図もあったり。
見終えた後、上の子は「へぇすごいね。ママのこと見直した」と、小学生らしい、いっちょまえのコメント。なんか知らんけど見直されてよかった。
それを聞いて、下の子は「ママが死んでも、忘れないよ」と真面目にひと言。
そっか、死んでもこの仕事は覚えててくれるのか。
思わず笑ってしまった。
きっと上の子みたいに、気の利いたような言葉を言いたかったのだろうなと思う。
いっちょまえのひと言も、たどたどしいひと言も、どちらの言葉も覚えていよう。
某日。
久しぶりに、ライブに行く。アジカン。
声を出せないので、最初の方はどうのればいいか戸惑いもあったが、距離なく集えることが嬉しい。
この2年、配信のライブは何度も見たけれど、腹に、胸に響いてそのまま自分の鼓動に繋がるような音はやはりリアルでしか味わえないとつくづく感じた。
いつもはギターを持ってスタンドマイクの前から動かず歌っているボーカルのゴッチが、最後の最後にギターを置いて、マイクをスタンドから取ってステージ上を自由に動きながら「Be alright」と歌う様子にわっと胸が熱くなった。
自由でいいし、大丈夫。
自分より年上の人たちがそんなメッセージを発してくれることのありがたさ。
