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第1章―1 突然の宣告──『まさか私が』信じたくなかった診察室の言葉

もし、明日突然「がんです」と言われたら――
あなたなら、誰に最初に伝えますか?

胸に小さなしこりのような違和感を覚えたのは、いつからだったんだろう。
忙しい毎日の中で、最初に感じた時期さえ思い出せない。

朝は子どもを起こして朝食を作り、学校へ送り出し、そのままパートへ向かう。
帰ってきたら買い物、洗濯、夕飯の支度、宿題を見て、お風呂に入れて、寝かしつけ。
母親に「休み」はない。
どこか体調が変だなと思っても、「明日でいいか」と思いながら、気づけば1週間、1ヶ月、1年が過ぎていた。

胸の違和感を感じてからも、私は「大丈夫」と自分に言い聞かせていた。
ホルモンのバランスが悪いのは昔からだし、胸の張りなんて生理前にはよくあること。
そんなふうに、都合よく自分を納得させていた。

それでも、どこかでずっと、心の奥に小さな不安はあった。
お風呂上がりに鏡の前に立つたび、そっと胸を触る自分がいた。
「大丈夫だよね」
毎回そうつぶやきながら、何も変わらない日常に逃げていた。

ある朝、いつも通り子どもを学校に送り出した後、私はいつものようにコーヒーを淹れた。
だけど、その日だけは胸の奥にジンジンとした熱を感じた。
触ると少し熱いような気がして、鏡を見たら、胸に赤い小さな湿疹ができていた。

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