ついに『天空の城ラピュタ』を息子と見る日がやってきた
今日も息子はソファに寝っ転がり天井をじっと見つめている。
やりたいことがなかなか見つけられないのだ。
天井に何かあるのだろうか。
現在小学3年生の息子は学校に行っていない。
朝のゲーム時間はもう終わり。
以前はひたすら何かを作っていたのだが、今はなかなか創作スイッチが入らないようで、ゲームが終わると時間を持て余すことが増えてきた。
「暇だ・・」と全身で訴えてくる息子を前に、私は思いついたのだ。
『天空の城ラピュタ』を一緒に見るなら今だ、と。
***
私はジブリ作品が大好きだ。
幼い頃、『風の谷のナウシカ』のナウシカに憧れていた私は、蟲笛を真似てホイッスルを空に向かって放り投げていた。
『となりのトトロ』では、「メイんじゃない」と、お姉ちゃん気取りでサツキの真似をよくしていた。
そして、1番好きな作品が『天空の城ラピュタ』だ。
母と兄と3人で映画館に観に行った。
母が時間帯を間違え、途中から観ることになってしまい、母に文句を言いまくったあの日。
途中から入った場面もよく覚えている。
パズーとシータが洞窟に入り石に腰掛けている所。ランプで洞窟に映った大きな2人の影がすごく印象的だった。
金曜ロードショーで『天空の城ラピュタ』が放映された時には兄が録画をし、ビデオが擦り切れる程何回も見た。
そのビデオテープのラベルが『天空の城ラピタ』になっていたけど、兄を傷つけてしまうのではないかと妹心に思って言わなかった。
子どもができてから、いつかジブリ作品を子ども達と一緒に見せたいとずっと思っていた。
ジブリデビューさせたのは、確か息子が4歳くらいの時だ。
まず最初に見せたのは『となりのトトロ』だった。超絶怖がりの息子なので、トトロは大丈夫だろうと思っていた。
が、
まさかのまっくろくろすけで大号泣。
さすが息子。いつも私の想像を越えてくる。
月日が流れ、もう少し大きくなってからトトロを見せた時は、あんなに大号泣していたまっくろくろすけのシーンもゲラゲラ笑って見られるようになっていて、息子の成長を感じた。
それから、『魔女の宅急便』『崖の上のポニョ』を見せた。
着々とジブリ作品をクリアしていっているが、私の本命は、『天空の城ラピュタ』なのだ。
ラピュタにはロボットが出てくる。あのロボットに息子が耐えられるだろうか。
そして・・・ムスカだ。あのムスカの圧に泣き出さないだろうか。
ロボットとムスカに耐えられるくらいになるまで、待とう。
mika、焦るなよ。
一緒に息子とラピュタを楽しむために!
私はじっと何年も彼のタイミングを待った。
それから『風の谷のナウシカ』『千と千尋の神隠し』を見せた。
ナウシカに出てくる巨人、オウム、千と千尋に出てくるカオナシも、息子は大丈夫だった。
これは・・・タイミングきたんじゃない?
***
「○くん!お母さんと一緒に『天空の城ラピュタ』見ない?」
あんまり乗り気ではなさそうだったが、母が滅多に言わない「一緒に」という言葉が効いたのか、承諾してくれた。
『天空の城ラピュタ』を見るためにはレンタルしか方法がなく、後日一緒に見ることになった。
ああ、ワクワクする。
その日から私の脳内は完全にラピュタ一色。
思わず口ずさむ♪君をのせて
♪あの地平線 輝くのはぁぁ
どこかに君を かくしているからぁぁ
(ラララ〜〜)
夫、参戦してきた。
♪たくさんの灯がぁぁ (ラララ〜〜) なつかしいのはぁぁ (ラララ〜〜)
あのどれかひとつに 君がいるからぁぁ (ラララ〜〜)
さぁでかけよう(でかけよう〜〜) ひときれのパン(パ〜〜ン〜〜)
ナイフ(アーー) ランプ(アーー) かばんにつめこんで(アーーーーーー)
夫婦で大熱唱。
夫は合いの手がうまい。
♪父さんが残した 熱い想い(おもい〜〜)
母さんがくれた あのまなざし(ルルル〜〜)
最高だ。
ラピュタ最高。
ちらっと息子を見る。
聞いちゃいない。
「目がぁぁ目がぁぁぁぁ」
ラピュタスイッチが入った夫が突然叫ぶ。
誰もが1度は真似したことがあるに違いないこの台詞。
「見ろ!人がゴミのようだ」
夫のムスカが止まらない。
しかも、結構似てる。
息子は夫の迫真の演技も全く見ちゃいなかった。
***
ついに、『天空の城ラピュタ』を見る日がやってきた。

何年ぶりだろう、ラピュタ見るの。
私は息子そっちのけでワクワクしていた。
もう出だしからドキドキワクワクの展開。

息子をチラッと見ると息子も集中しているようだった。
ああ、覚えてる。
何もかも覚えてる。
何度見ても面白い。
嬉しいなぁ。嬉しいなぁ。息子とラピュタ、嬉しいなぁ。
くるよくるよ!あの有名なシーン。
『ハトと少年』
一緒に歌っていたら、「聞こえない」と注意されてしまった。
すんません。
私の忘れられないあの洞窟のシーンだ。

この『ラピュタパン』の卵のとろけ具合がまた美味しそうなのよー!

「あ!これ、お母さんがよく食べてるやつだ!」
そうです。私はお昼ごはんによく作るんです。
ラピュタに出てくる食べ物って、なんでこんなに美味しそうなんだろ。
ドーラのこのお肉とか。

めっちゃ美味しそうだよねぇ。
こんな本があるらしい。
映画に出てくる料理のレシピ本。
みんな考えることが同じってことだ。
「40秒で支度しな!」

ドーラって、結構好き。
50代らしいよ。・・年齢が私と近いことにびっくりしてる。
駄菓子菓子、パズーがかっこいいのですが!!


こんなかっこよかったっけ。
めちゃくちゃいい男じゃないか。惚れちゃう。
全力でシータを守るパズーに私はキュンキュンした。
「パズーかっこいいわぁぁぁぁ・・・ねぇ???」
息子は、ふっと鼻で笑った。
物語は進んでいき、パズーとシータが海賊船タイガーモス号に乗って働くシーン。
シータが調理場で働いていると、ドーラの息子たちが続々とやってくる。


そこで息子は初めて声を出して笑った。
夜、船の上でパズーが見張りをしていると、シータがやってくるシーン。
寒そうにしているシータ。
パズーが自分がまとっている布の中にシータを入れてあげる。

「パズー優しいわぁぁぁぁ・・・ねぇ???」
息子は、また鼻で笑うので、今回は諦めずにもうひと推し。
「○くんも、誰かを守るパズーみたいな優しい人になってね!」
「え・・やだ」
息子らしい返事が返ってきた。
パズーの年齢調べたら、13歳くらいらしい。
13歳といえば中学1年生か・・・。
こんな中学1年生いるぅぅーーーー?!
いたら絶対好きになっちゃう。
どうか、息子がパズーみたいになりますように・・。
さてさて、物語はクライマックス!あの名言連発のシーンに突入する。

「はっはっはっはっ・・どこへ行こうというのかね」
ムスカ、キターーーー!!!
世のお母さんたちが、子を追っかける時に1度は真似したことがあるに違いないこの台詞。
ムスカの年齢も調べたよね。
なんと・・・・28歳!!!
マジで?
ムスカ28歳なの?!
老けてるな、ムスカ。
「3分間待ってやる!」
ムスカ優しくない?って当時は思ったけど、ただ銃弾詰めたかっただけらしいよね。
ムスカめ13歳の子どもをもて遊びやがって!
ハッ
完全に息子忘れて物語に夢中だった。
ムスカ!ムスカの圧に息子ビビってないか?
チラッと息子を見ると、彼は真剣は眼差しで物語の行く末を見届けようとしていた。
私は息子の成長を感じた。
いよいよ・・滅びの呪文を唱える時がきた。
3文字の、あの言葉だ。
みなさん、ご唱和ください。
せーのっ
「バルス!」

っくぅーーーー痺れるぜ!
ああ・・・ラピュタが崩壊していくぅぅぅ!
「目がぁぁ目がぁぁぁぁ」
はい。ムスカ様名言ありがとうございます。
「あ、お父さんが言ってたやつ・・・」
ボソッと小さい声で呟やく息子。
ちゃんと父の迫真の演技を見ていてくれたんだね。
♪君をのせてのエンディングが流れる。
ラピュタはどんどん空高く上り、宇宙まで行っちゃってる絵が流れる。
「いやいや、行きすぎでしょ!!」
息子はしっかりラピュタにツッコミを入れていた。
こうして夢にまでみた息子との『天空の城ラピュタ』鑑賞会は幕を降ろした。
あー楽しかった。
やっぱり名作は色褪せない。
大人になった今でもおもしろいってすごい。
子どもの頃と違うのは、パズーがめちゃくちゃいい男だと強く思ったことだ。
もう一度太文字で言っておこう。
どうか、息子がパズーみたいになりますように。
息子はラピュタを見てどう思っただろう。
聞いても、「普通だった」としか返ってこなかった。
私は知っている。息子の「普通」はその向こうに「感動」が隠れていることを。
チラ見した息子の表情は何かを感じている顔をしていた。
言葉にできなくてもいい。何かを感じてくれていたのなら。
「ねぇねぇ!お母さんと「バルス」ってやろ?」
私はキラキラした目で息子の前に手を差し出した。
「え・・やだ」
息子は躊躇なく私の申し出を断ってきた。
駄菓子菓子、私は諦めない。
いつの日か、息子と手を重ねて一緒に「バルス!」って言うんだ。
私はそう心に固く誓った。
まぁ、「バルス」って滅びの呪文だけどね。
