息子のメンタルチャージ息子のレジリエンス
たまご、ウィンナーレタス、キャベツとハムのサンドイッチ。
朝5時に起きて息子のために作ったお昼ごはんは、私の朝食になった。
それが何を意味するのか。
春休み前、息子に不安定の波がきていた。
3月4月はその波が起きやすいことは、ガッテン承知の助太郎だ。
「今日、居場所に行きたくない」
そんな日がずっと続いていたから、その日の朝にポツリと飛んできたその言葉にもそこまで動じないでいられた。
でも、やっぱり何度聞いても気落ちする言葉だ。
「居場所に行っても誰も僕の相手をしてくれない。誰も頼れる人がいない。家でも頼れる人がいないし。みんな僕から離れてく」
そんなことはない。
けど、息子の中で今そんな状態のなのだ。
確かに、居場所の先生はみんな忙しそうだ。
事務作業もあるし問い合わせもあるし。
息子みたいなタイプの子は他にもいるから息子だけに付き添うのも無理な話だ。
私は・・べったり居場所での付き添いはもう無理だ。しんどい。
家にいる時も、大門未知子ばりに「お母さん、相手したくないので」オーラじゃんじゃん出してるし。
全てを察している息子はきっと、「寂しい」という気持ちでいっぱいになってしまったんだろう。
「○くんがさ、手伝ってっていうから手伝おうとしたらやっぱり他の人にやってもらうからいい、って言われるし。○くんが一緒に塗装しようって約束したのにゲーム始めちゃうし。先生は手洗ってくるって行ったまま戻ってこなくて他の人と話してばっかりで。誰もそばにいない。何すればいいの。何もすることがない。だから行きたくない」
出るわ出るわ息子の今の気持ち。
息子は夫に半分泣きながら気持ちを吐き出していた。ずっと胸の中でモヤモヤしていたんだろうなぁ。
私は夫に息子からは見えない位置でメモを書いて見せた。
『アドバイス✖️。ひたすら受け止めて』
夫は頷いた。
私が入ると何か言ってしまいそうなので、洗濯物を干しながらお口チャックで話を聞いていた。
話を聞いていたら、そんな息子の、なんていうか、、葛藤というか、そういうものを感じて涙が出てきてしまい、見つからないように洗面所で泣いた。
少し前までは居場所に1番に行くと言ってあんなに笑顔を見せていたのに、こんな急降下。
ちょっとずつ「寂しい」と感じる場面が重なって、その気持ちが膨れ上がって、楽しい記憶は簡単に塗り替えられてしまったようだ。
「そんな日もあるよね」と思いたい。
記事にも何度も何度もそんな風に綴って自分を励ましてきた。
でも、
「そんな日じゃなかったらどうしよう」という気持ちがすぐに顔を出す。
あの楽しそうにしている息子を見たら「もう大丈夫だ」って思ってしまうから、期待してしまうから、気持ちが急降下な息子を見ると本当に落ち込む。
何度も何度も同じようなことを経験してきているのに。全く慣れない。
息子が洗面所のドアをコンコンと叩く。
慌てて涙を拭う。
「お母さん、、、行きたくない」
「うん、じゃあ、まぁ、お母さんとまた、、、ジャッキーチェンの映画でも見る?」
「・・・・・・自転車の鍵をつけるキーホルダーが欲しい。あと、ランチしたい」
ジェッキーチェンよ、さようなら。
居場所、お休み。
弟は預かり保育の予定だった。別に居場所に行かないのなら預ける必要もないのだが、、、なんとなく預けてしまった。
兄貴がこんなにしょぼくれてゴネゴネしているのに、弟は鼻歌なんぞ歌いながら靴下を履いてあっという間に出掛けて行った。
頼もしい。
本当にありがとう。
はぁ。
不安定の波が来た時の対応ってどうすんだっけ。
私は、ペアトレを受けていた時のノートを引っ張り出した。

1ページ目に書いてある。

『メンタルチャージできれば、また頑張れる』かぁ。
もう1年以上前になる。息子を理解したくて、8ヶ月のペアトレを受けていた。
あの頃は学んだこと全てが新鮮で、私は魔法にかかったかのように一生懸命取り組んでいた。
今はどうだ。
・・・NG対応ばっかりしている気がする。
凹むなぁ。
『安定するまで付き合う』なんて、こちらが元気じゃないと出来ねぇよ・・・・。

花まる。
花まる。
当たり前のことに花まるだ。
これならできるかな。
気持ちを伝えてくれたことに、花まるだ。
息子はタブレットを使ってゲームを作り出した。
私の膝の上で。

キーホルダー買いに行かないのだろうか。
重いなぁ。
腰が痛い。
私は私で息子を膝にのせたまま花丸noteを読み返していた。
しばらくそんな時間が続き、
「買いに行く」
とポツリ。
やっと行くそうだ。
ふぅ。
私の靴が壊れてしまい、ついでに修理屋に寄った。そこのお兄さんが息子にたくさん話しかけてくる。
「春休み?」
「何歳?」
「飴ちゃんいる?」
「将来の夢は何?」
息子、無言。
私は、ごめんお兄さん。と思いながらどうかあの質問はしないでと願う。
「学校楽しい?」
私の願いはお兄さんに届いたのであろう。
その質問は、飛んでこなかった。
ホッ。
修理屋の後は、たっぷり時間をかけてキーホルダーを選んだ。
「ランチどうする?」
「マクドナルドがいい!!!」
思い出す。
仲良しnoterしいもちゃんのあの記事を。
家に戻って、美味しそうにチーズバーガーを頬張る息子。

息子に笑顔が戻った。
よかった。
「居場所さぁ、もっと人数が少ない日に行ってみる?」
居場所は春から体制が変わり、人数が10人くらいの日を設けるらしい。その代わり、週3が週2になる。人数が減ればそれだけ先生の対応も手厚くなるだろう。
「うーん・・・人数は今くらいの方がいい。だって誰かと遊べるし。ただ、横に誰かいて欲しいの。何かあったときいつもすぐに相談できるように。だけど今は横に誰もいてくれない」
これが息子の現在地。
いろんな人と関わりたいけど、1人では中に入れない。嫌なことがあっても自分で解決できないから隣に誰か居てほしい。常に居てほしい。幼稚園時代に見守り先生がいたみたいに。
それは・・・なかなか厳しいよ・・・。
私?私の出番?
いやいやいやいや・・・無理です、もう。
私が壊れてしまう。
人と関わりたい、遊びたい、でも、1人じゃ無理。
息子はその小さな心で、葛藤している。
私にできることは何だろう。
預かり保育の次男を迎えに行くと、馴染みの先生が笑顔で出て来た。
「ありがとうございました」
「○くん、楽しそうにお友達と遊んでましたよー」
「そうですか!楽しそうでよかったです!次男が楽しんでくれて本当に助かってます。長男が、今ちょっと気持ちが落ちてて・・・」
長男の名前を口にした瞬間ぶわっと涙が溢れ出てしまった。
私は先生の前で泣いた。
事情を知っている先生も目に涙を浮かべながら「○くんは大丈夫よ。大丈夫」と優しく声をかけて下さった。
・・・私にできることは、何?
「お母さんの友だちの息子くんと、オンラインゲームで遊んでみる?」
息子の心がウキウキ楽しくなることを考えた。
息子は大喜びだった。

やっぱり誰かと繋がりたいんだなぁ。
とても楽しそうにオンラインで遊んでいる息子を見て嬉しくてたまらなかった。
『オンラインで遊ぶ』という概念がなかった私にとって、それはあまりにも不思議な世界だった。
春休み前最後の居場所の日。
「今日、居場所、行く」
小さい声が飛んできた。
気持ちが上がってきたのだろうか。
心の傷が癒えたのだろうか。
安心貯金が貯まったのだろうか。
私はいろんな感情が揺れる中で「オッケー」と返事をした。
居場所に着くと、外の芝生にゴロン。

大きなあくびだこと。
そのリラックスした息子の姿に心から安堵した。
再び自分に問う。
私は何をしただろうか。
息子のメンタル回復のために、何を?
答えは、・・・何もしていない。
息子を動かそうとしたわけでも、息子と何かをしようとしたわけでもない。
キーホルダーを買いに行きたいと言ったのも
マクドナルドを食べたいと言ったのも
オンラインで楽しそうに友だちと遊んだのも
息子自身だ。
私はただ、同じ空間の中で一緒に過ごしていただけ。
息子の気持ちが急降下で、私まで引っ張られてしまい涙してしまったけど・・・
息子は自分で気持ちを整えた。
家でのんびり過ごしながら心が楽しくなることを見つけて、傷が薄れていくのを待った。
そして、自分で気持ちを引き上げ、行動した。
ハッ!
これはつまり・・・『レジリエンス』が身につき始めているのではなかろうか。
『レジリエンス』
困難をしなやかに乗り越え回復する力
息子のメンタルチャージ完了。
息子は今、弟と楽しそうに春休みを過ごしている。
明日からいよいよ4月が始まる。
